起業して、5年目。デザイナーから、起業家としての挑戦へ。
こんにちは、起業家/デザイナーのふぉれすとです。「カチノデ」というちょっと変わった名前のデザイン会社の代表をしています。3月にやっと大学を卒業してちょうど半年、先月をもって4期目が終わり、10月からなんと5期目を迎えます。早すぎて怖い。節目のタイミングだったので、良い機会と思い、noteを書く事にしました。経済産業省のデータによると、起業後4年の生存率は46.5%らしいので、まあなんとか半分以内には入ったかな、という感じです。
株式会社カチノデとは
Kachinodeは、「新しい『価値のデ』ザインをする」をコンセプトに、スタートアップなど新規事業の立ち上げをデザイン領域でトータルサポートしています。インキュベーション施設「名古屋大学オープンイノベーション拠点(OICX)」の企画運営、ビジョンの具現化やピッチデックの作成、会社設立やサービスリリース時のロゴ、VI、Web、プレゼン資料などのデザインを行なっています。
起業のきっかけ
なぜ、僕がデザインの仕事を始めたのか、そのきっかけは大学の頃。芸大でデザインを勉強していたのですが、(なぜ芸大なのかという原点を辿るのはまた別の機会に。)学内だけでは本当の意味でのデザインを学べない、と感じていました。デザインは社会やビジネスの中で扱われるものなのに、クライアントの居ない世界で一人で研究をしていくような制作だけでは、どうしても学べる範囲に偏りが生じます。そこで、積極的に学外の活動にも参加するようになりました。
いろいろな活動に参加する中で、巡り巡って、今では自動運転業界を牽引する伝道師、ティアフォー創設者/CTOでもある加藤真平先生と出会います。現在(2020年9月時点)なんと累計175億円を調達するティアフォーですが、当時(2016年)はその面影もなく、学生が代表を務める子会社を複数社立ち上げようとしているタイミングでした。
自動運転には画像解析やセンサー、三次元地図といった様々な技術が必要になるのですが、個別の技術に特化した研究者や学生に子会社の代表を務めてもらい、良い技術や人材が見つかれば親会社のティアフォーが吸い上げるというかなりコスパの良い仕組みを構築していました。
部活の勧誘のような軽いノリで、そのうちの一社として「デザイン分野の子会社を設立してみるのはどうか」というお話があり、ぜひやらせてください!と飛び込みました。当時20歳で、就職の選択肢も残しつつ、大手広告代理店やデザイン事務所、テック系ベンチャーにインターンしていましたが、今改めて振り返ると、かなり大きな選択をしたのかな。と思います。(2019年8月にMBOし、現在はティアフォーとの資本関係はありません)
最初は自動運転のコンセプトカーのデザインスケッチ(プロダクトスケッチは専門外なんですがw)をしたり、
ティアフォーグループの、他の子会社のロゴや名刺を作るお仕事をはじめました。
右も左もわからない中で、とにかく試行錯誤をしながら目の前の仕事をこなす日々。大学を約2年間休学し、会社にフルコミットできる環境を作り、創業から今に至るまで関わってきたお仕事は、大小ありますがおそらく200件以上。2期目あたりまでほぼ一人会社状態だったので、相当手を動かした気がします。
クライアントさんに相当な迷惑をかけたり、鬱になりかけたり、色々と大変な時期もありました。笑 納得できるような仕事は本当に少ない気がしますが、いままで携わった(今も携わっている)中から、いくつか思い出に残っているお仕事をご紹介します。
今までのお仕事(抜粋)
SAXIDENT!! ロゴ・フライヤーデザイン
2016年〜2019年
身内以外でのはじめてのクライアントさん。継続的に毎年お手伝いしています。今年はコロナの影響で開催ができず、やり場の無い思いでした。特に奏者の皆さんはとても辛い思いをされたと思います。来年は無事開催できることを祈っています!
昆虫料理研究家 篠原祐太さん(地球少年)の活動サポート
2016年〜2017年
コオロギラーメンがメディアでもかなり話題になった、ANTCICADAという昆虫料理レストランのオーナー。実は学生の頃、昆虫料理にかける想いやビジョンに共感し、彼の活動をサポートするためのポスターやポートフォリオなど制作していました。
もともと自分も、今までマイノリティだったものの捉え方を変えて世の中に発信していくことに興味があり、昆虫食をテーマにコンセプトデザインをしていたんですが、その時に会いに行った昆虫食研究家の一人が篠原くんでした。
一般社団法人未来マトリクス ロゴ/パンフレット/プロモーション映像
2017年8月〜2018年8月
「学生のアイデアを企業の技術力で具現化する」ワークショップやセミナーを開催する未来マトリクスさんのプロモーションツールのデザイン。僕が起業する最初のきっかけとなった存在でもあります。ティアフォーの加藤先生に繋がるきっかけや、インターンでお世話になった、annolabの藤岡さん、トライエッティングの長江さんと出会うきっかけはこの未来マトリクスさんのプロジェクトへの参加でした。
オプティマインド ロゴデザイン
2018年4月
今や名古屋を代表するテックベンチャーに成長したオプティマインドさん。2年前、ロゴのリニューアルをさせていただきました。当時、同じオフィスに入居していた代表の松下さんから、「なんか今のロゴが微妙で、もうちょっと今風に、きれいにできたりする?」とお話をいただき、その場で作ってスピード納品した記憶があります。
名古屋大学オープンイノベーション拠点『OICX』
ロゴ・Web・空間などのトータルデザイン、オフィス運営、イベント企画
2017年10月〜現在
名古屋駅直結のJRゲートタワーができるタイミングで、加藤先生から「ゲートタワーに入るから空間デザインしてほしい」とお話をいただいた時は、震え上がりました。立ち上げメンバーとして関わらせてもらったのをきっかけに、今では現場担当として、オフィス運営、イベント企画、コミュニティづくりを進めています。今では、大学発ベンチャーを中心に17社が入居するインキュベーション施設に。
2年前はOICXの内装レイアウトはフレキシブルに動く形で、OICXの空間を使ったイベントを開催していました。
今はNAGOYA INNOVATOR'S GARAGEさんと共催という形で、ピッチイベントを開催しています。
名大社 ジモト発見&インターン SNSプロモーション企画
2018年8月〜2019年2月
共同代表を務めていたmicsというクリエイターチームと一緒に、広告の企画から、SNS戦略、特設Webサイト、映像コンテンツ、記事コンテンツ、多岐にわたる制作を、クリエイティブディレクターとして携わらせていただいたはじめてのお仕事。色々な課題が浮き彫りになり、広告・デザインの仕事の難しさを痛感した案件でした。
Brooklyn Beauty/Fashion Labo
J-COLLABO.ORG
Gallery Online
2019年9月〜現在
ニューヨーク・ブルックリンのコンセプトショップBrooklyn Beauty/Fashion LaboのWebサイトデザイン、アート事業の立ち上げ、日本文化をブルックリンから世界に発信する非営利団体J-COLLABOのグループ展企画運営、アーティストプログラム運営など、アートに関わる事業領域での立ち上げをサポートしています。コロナ禍において、展示活動がしづらいアーティストのためにオンラインで展示ができるGalleryOnlineの開発、コラボレーションイベントの実施を担当しています。
NAGOYA INNOVATION GATEWAY ロゴ&VI・Webデザイン
2020年9月〜10月
名古屋市が推進するスタートアップ育成のための拠点作りやエコシステム形成のための事業『NAGOYA INNOVATION GATEWAY』のロゴ・VI・Webをデザインさせていただきました。
これから何をするのか
さて、過去の話はこれぐらいにして、未来に向けての話を。ここから5期目のカチノデは何をしていくのか。デザイン会社という立ち位置は残しつつも、起業家として、ひとつ大きな事業を作りたいと思っています。
今まではクライアントさんからデザインなどのお仕事をいただく機会が多かったのですが、これからは、これまでの知見を活かしつつ、デザインの力で実現できる新しいプロダクト(またはサービス)を開発していきます。そして、ゆくゆくは上場できるようなレベルの会社にしていきたいと思うようになりました。小学生が東大合格を目指すような目標設定ですが、宣言するのは自由なのでとりあえず勢いに任せて言っておきます。笑
最近Goodpatchさんがマザーズ上場を果たしました。デザイン系の会社としての上場はとても珍しく(史上初?)、個人的にとても印象に残る出来事でした。実は大学在学中に1社だけ就職の選考を受けたのですが、その会社がGoodpatchさんでした。(最初の課題であっさり落ち完全に門前払いでした。笑)
ここに入社できなかったら自分の会社で、と腹をくくったきっかけでもあるので、嬉しかったのと同時に、絶対に超えてやる、という気持ちが湧いてきました。
事業を作るというのは、ユーザー、サービス提供者、投資家、関わる人すべてがハッピーになれる仕組みを作ることで、結局「デザイン」というものを極めていくと、そこにたどり着く気がしています。お金を稼ぎたいとか、注目を浴びたいとか、そういう俗っぽい欲望が一切無いといえば嘘になりますが、それよりも、少しでも未来に希望が持てて、ちょっとだけでもこの世界にいい感じのポジティブなエネルギーが満たされるような、そんなことがしたいという想いが強いです。
僕は幼い頃に何か原体験があるとか、絶対に解決したい課題があるとか、そういうタイプでは無いのですが、逆に、誰だって起業家になり得る、ということを証明できる存在になれるのでは、と思っています。僕を含めた役員(今後仲間になるであろう人も含め)数名が、死なない程度のリスクを取るだけで、何千人何万人の人がハッピーになれるなら、それって素晴らしいことです。2年前まで、こんなこと一切思ってもいなかったので、自分でもちょっと驚いています。
日々、インキュベーション施設のOICXで頑張っている仲間の影響は、確実にあると思います。起業家がたくさんいる空間に身を置くと、いままで起業を考えたこともなかったような人でさえ、エネルギーが伝播して、自分が目指すべき道が見えたり、やりたかったのにできていなかったことに挑戦しようとしたり、そんな事例も今後は確実に出てくる気がします。
かなり抽象的な話だったので、最後に少しだけ具体的な話と、宣伝をさせてください。
カチノデでは、今月(2020年10月)から、1週間でニーズ調査〜アイデア出しをして仮説を立て、1週間でプロトタイピングして検証する、という「2週間の仮説検証サイクル」をはじめる予定です。
<1週目>
課題とニーズの調査
↓↑
サービスのアイデア出し
↓
<2週目>
プロトタイピング
年末までの3ヶ月で、まずは具体的なプロダクトの方向性を探り、来年1月〜3月で、確度の高いプロトタイプ、オペレーションの仕組みを実装していきます。
そこで、ここに協力してくださるユーザーインタビューのサポーターを募集します。
①課題のヒアリングを受けてくださる方
②プロトタイプのユーザーインタビューを受けてくださる方
③ビジネスモデルの壁打ちをしてくださる方
を大募集しています!
ご興味ある方は Twitterで @forest05art まで、どしどしDMをお願いいたします!!
そして、デザインの仕事については、従業員やパートナーメンバーにデザイナーがいるので、引き続きお受けしています。いままでやってきたことは、万全の体制を整えつつ、これからも継続していきます。デザインのお仕事も、ディレクターさん・Webデザイナーさんも、募集中です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
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