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〈教師の私〉だから出来ること

私が教師として子どもたちに伝えて続けていることがあります。

それは、インドで出会ったストリートチルドレンのことです。

このインドでの出来事を伝えることが、私の教師としての一つの使命だと思っています。

生きるために物乞いをするインドの子どもたち

インド門(デリー)

インドの観光地であるインド門を訪れたときのことです。私たち日本人留学生が歩いていると数人の子どもたちが近寄ってきました。

私たちがその場に立ち止まると、子どもたちは手を出して”Please! Please! Money!” と詰め寄ってきました。私はどう対応していいのかわからず、たじろぐばかり。

そこへ現地のスタッフがやって来て、”No! No!” と子どもたちを遠ざけました。
そのスタッフは、「物乞いをしてくる子に一度物をあげると『もっともっと』と執拗に後をつけてくるから最初に断ったほうがいい」と私たちに言いました。

私は、物乞いをする子どもたちに出会ったのはそれが初めてだったので、驚きと戸惑いとなんとも言えない感情で胸が締め付けられました。

またしばらく歩いていると、別の子どもたちがやってきて同じように手を差し出してきました。中には背負っていたリュックを引っ張ったり、服を掴んでくる子もいました。

私たちが少しお菓子を分けてあげることで空腹が凌げるのなら、あげた方がいいんじゃないかと自問自答しながらも、何もすることができず、ただ”No.” と言い続けてながらその場を後にしました。

バスに乗り込んだ後、しばらく涙が止まりませんでした。 

物をもらうことが最大の幸せ

インドでの滞在期間中、至る所で物乞いをする子どもたちに出会いました。

バスが信号で止まると、バスの横に子どもたちが駆け寄って来て、縄跳びをしたり、逆立ちをしたりパフォーマンスをしてお金を要求してきます。無邪気そうな笑顔で芸を披露している子たちも、私たちがカーテンを閉めたりNOと伝えると、途端に無表情になり去っていきます。

駅の側では、手足を失った子どもがお金を求めるダンボールの看板を持って座っています。現地の人に聞くと、観光客の同情を誘うために、親がわざと子どもを傷つけることもあるそうです。

留学中にインドの州知事とお話をさせていただく機会がありました。
私はどうして子どもたちがこのように物乞いをしなければならなくなったのか、どうしたらその子たちを救えるのか尋ねました。

物乞いをする子どもたちの親も子供の頃からそうして人から物をもらって生きてきた。
だから、子どもたちは生まれた時からそれをすることが当たり前で、物を得ることが最大の幸せという環境で育ってきた。
今日食べる物を得るために物乞いをする。
学校にも行けない。
学校に行けないから、文字も書けないし読めない。
だから仕事につくこともできない。
そして、またその子どもも同じ運命を辿るしかない。

彼らに食べ物を与えたら1日は空腹をしのげるかもしれない。
でもまた次の日空腹に苦しむだろう。
彼らを本当に救うには、彼らが通える学校を建てて、教育を受けさせることしかないんだよ。

知事の話より

物をもらうことが最大の幸せ。それ以上の幸せを知らない子どもたち。友だちと学校に行って勉強したり、サッカーをして遊んだり、そんな日本では当たり前のことさえ許されない子どもたち。

知事の話を聞いてからずっと、私ができることは何かを考えていました。

教師だからできること

学生である私が今すぐ学校を建てることはできない。今から大統領になって国を変えることも現実的ではない。では、教師を目指している私ができることとは…

世界には学校に行きたくても行けない子どもたちがいること、
読み書きができないから仕事にもつけず、
物をもらうことで日々暮らしている子どもたちがいることを、
日本の子どもたちに伝えることはできる

そして、私の話を聞いた生徒の中で一人でも、将来この様な子どもたちを救うために働く人がいてくれれば

そんな願いを込めて教師になった今、毎年1年の締めくくりの授業でインドの子どもたちの話をしています。

この話をする時、生徒は真剣に真っ直ぐとした目で聞いてくれています。

最後に

私がしていることは、あのインドで出会った子どもたちを直接救うことにはなっていません。
話をするだけじゃ何も変わらないと思われるかもしれません。

でも、ほんの少しでも、たとえ意味がなかったとしても、あのインドで出会った子どもたちのために今できることをしていきたい。
そう思って教壇に立っています。

最後まで読んでくださりありがとうございました。


人生をよりハッピーにしていくための『はぴねす通信』を発行しています。

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