カタールW杯 決勝 アルゼンチンvsフランス マッチレビュー
まえがき
この日、両チームは共に4-3-3のフォーメーションで臨む。
注目は共にチームトップの走行距離を記録しているデパウルとチュアメニ。
チームのために走り、闘い、泥臭くピンチの芽を摘んできた2人。
最後にチームのエースに笑顔をもたらすことができるのは、どちらの黒子役か。
システムは同じ。なぜアルゼンチンのポゼッションだけが上手くいった?
前半20分、印象的なシーンがある。
後ろの選手に対して押し上げてプレスに来るよう手で促している選手がいた。
ジルーである。
まもなく彼は前半41分でデンベレと共に交代している。
前半、フランスのプレスラインは低かった。
時折、ジルーがCBにプレスをかけるシーンもあったが、後ろの選手たちは押し上げようとせず、結局アンカーのエンソ・フェルナンデスを使われて簡単にプレスを掻い潜られる。
システムの話をすると、中盤に関しては数的同数になるため、前線の3枚でパスコースを限定しながらインサイドハーフのどちらかがエンソ・フェルナンデスまでジャンプしてプレスすれば構造的にはボールを奪うことができたかもしれない。
しかし、デシャンは2点取られてもなお、この戦い方を変えようとはしなかった。
結局、前半はアルゼンチンにボールを支配され続け、苦しい展開に。
そして、流れが悪いのにもかかわらず、振る舞いを変えようとしない。
俺たちは、まだ終わっちゃいない
後半25分、フランスは突然新たな顔を見せる。
それが4‐2‐4へのシフトである。
スピードとフィジカルに優れるエムバペ・コマン・コロムアニ・テュラムを前線に配置し、アルゼンチンのDFライン4枚に対して数的同数を作りに行く。
結果的にフランスはその後わずか2分間で2点をとることに成功している。
大胆ともとれる戦術的変更が功を奏した。
もっとも、1発のチャンスを確実に決めきることのできるタレントがいたからこその結果ではあるが。
あとがき
2022カタールW杯の決勝では両チームの象徴ともいえるエースが輝いた。
もちろん、結果的に優勝を果たしたのはアルゼンチンだったが、フランスが勝っても全くおかしくない展開でもあった。
決勝を見て感じたことは、「絶対的エースの重要性」である。
なぜエースが必要なのか。
その理由を筆者なりに考察してみる。
チームにもたらす安心感
「こいつに預けておけば大丈夫」
そんな選手がいればどれだけチームにとってプラスに働くだろうか。
特には短期決戦においては、エースの存在(可能であれば9番タイプの選手)が必要不可欠ではないかと感じている。
スペインやドイツは9番が最後まで定まることはなかったし、日本に関しても言わずもがなだろう。
人は「誰かのために」頑張れる
今大会、まさにアルゼンチンは「メッシを優勝させる」ために全精力を注いでいた。
もしかすると、人は誰かのために頑張ろうとするほうが案外とんでもない力を発揮するのかも知れない。
親が子供の笑顔を見るために汗水たらして働くことを厭わないように。
4年後、日本にもそんな絶対的エースが出てくることを願って、カタールW杯決勝のレビューを締めくくらせて頂こうと思う。
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