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食の課題を変えるハンサムウーマンとは ASTRA FOOD PLAN

1.推しとの出会い

職場の同僚の紹介で、加納さんとお話しする機会を得ました。
現在は私の職場自体は変わっていますが、親しくお付き合いとお手伝いをさせていただいています。しかし、推したい理由は、そうした関係性によるものではなくて、会社が生まれるに至る物語、食品産業における役割、それから社長がハンサムウーマンである(これ重要)という三つの理由に拠ります。

2.エピソードゼロに惹かれて

知り合った最初の打ち合わせは事務的なものだったのですが、ほどなく加納さんからお食事のお誘いを受け、そこでこの会社のエピソードゼロのお話を聴きました。

加納さんのお父様である加納勉さんは、セブン-イレブン・ジャパンで常務まで勤められた方で、同社の成長期を支えておられました。しかし、子供のころの千裕さん(以下、お名前で書かせていただきます)が学校で添加物についての授業を受け、コンビニの商品には添加物が入っているの?とご自宅で質問されてから、勉さんは添加物をつかわない加工食品をどのようにしたら作っていけるのかということを長く考え続けることになります。

https://forbesjapan.com/articles/detail/62522

専門的なことは、私は書くことができないのですが、物質を加熱すると酸素と結びつく反応が起こり、食品は加熱によって酸化し、そこから劣化がじはじまっていきます。小麦粉は保存できますが、パンは長くはもちませんよね。風味も落ちていきます。昨日の焼き魚、昨日のステーキ、食べられなくはないですが、焼きたての香りや風味は残っていません。
よって、とにかく「酸化させずに加熱する」ということを実現することが添加物をつかわない食品の入り口になるということを勉さんは考えていくことになり、やがてASTRA FOOD PLANの千裕さんによる設立に至ります。

この想いを抱いてから、吉岡さんという突き抜けた技術パートナーを得て、今日、さらに未来に至る物語は、本当に朝ドラになるくらい波乱万丈で語りつくせぬものですが、そこは私の語るべきことではありません。
とにかく私が心動かされたのは、このエピソードゼロの論理的な明確さでした。

コンビニエンスストアのおかげで、私たちはどこでも一人暮らしができ、あらゆる時間帯の仕事に身を入れることができ、親が共働きでも子供は食事ができ、夜の町は明るくなり、子供から老人までにとっての欠かせぬインフラになっています。中でもパン(冷蔵保存によるフレッシュな具材のサンドイッチも発明品でした)やおにぎりは、生命線で、そこにまさに注力しているときに、娘の疑問を受け止めて、考えていくことをはじめられたことは、すごいことだと思います。私が勉さんの立場でしたら、安全な食品を求める人はその分手間とコストを惜しまなければ手に入るのだ、許容可能な範囲の添加物を使ったもので社会が豊かになるのであればそれはそれでよいはずだと、当時であればこたえたのではないかと思います。

添加物を減らし、風味のよい加工品を作るために酸化させなければよいという一見実現不能ながら、明確な論理で技術開発が続けられたことが、この会社の推しポイントであり、循環型社会・環境負荷低減で何か事業をしたいなというところから無理やり新規事業企画を立てていくビジネスプランに比べて圧倒的な力強さと魅力があると感じています。

3.食産業における役割の大きさ

現在ASTRA FOOD PLANでは、過熱蒸煎機という機械を用いて食品残渣を乾燥させ、粉にするビジネスモデルで事業を行っています。
過熱蒸煎というのが、ついに実現された上記の「酸化させないで加熱」する手法で、超高温に加熱した水蒸気を用いることで、無酸素状態での加熱及び同時に高い殺菌効果を実現するもので、シャープのヘルシオの技術をより発展させた内容となっています(ここも私の説明するべきところではありません。わかりやすさのため過熱蒸気についての論文を張っておきますが、同社の技術については同社の資料等を参照ください。)。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal/128/2/128_2_97/_pdf

最初この乾燥粉のサンプルをいくつかいただいたときに、衝撃が走りました。しいたけ、しょうが、キャベツなど、どれも香りがはっとするほど鮮烈で、一般的に売られている乾燥粉との差は歴然でした。
技術がどれくらいすごいのか、本当に無酸素になっているのか、本当に殺菌ができているのか、どれだけ劣化しないのかなどは私にはすぐには分からないことでしたが、粉の風味が普通ではないことは、すぐに理解できました。

私は、当時農水産品の生産者の方や食品企業の悩みごとを伺い、技術紹介をするようなことを6年ほど会社の担当で行っており、個人としても色々な方にお会いしていましたが、果樹(ドライフルーツの高額さはみなさんご存知かと)、野菜カット、養殖、食品加工、畜産などあらゆるもので、残渣が湿っているということがボトルネックで循環ができていない(乾かすのにかかる電力コストが循環の価値に見合わない)、環境負荷の問題だけではなく、折角栄養分や美味しさが残っている残渣を換金できず、処理コストだけかかって収益性の面で損をしているというのを実感していました。Noteをはじめて最初に乾物の記事を書いたのも、そこに起因するものです。

家庭における生ごみ処理なども気になっていて、ナクスルさんのマネーの虎などみて、こういうものが手軽に発展していくにはどうしたらよいだろうと思っていたところでした。

超短時間で、フリーズドライ乾燥より圧倒的低コストに乾燥と、従来は同時にできていなかった殺菌ができるこの技術では、残渣を換価できる余地ができるうえ、この風味であれば、人間が食して美味しいものにアップサイクルできる、それがどれほど大きな食産業への恩恵であるかは疑う余地がなく、ASTRA FOOD PLAN社は、添加物をへらすための加熱を出発点に、時代の変遷を経て、まさに循環型社会と食産業業の持続可能な収益性確保という現代の課題の中心にたつことになり、多くのベンチャービジネスに関する賞を獲得することになります。

SDGsビジネスの中でも、どれだけ芯を食っているのか、強く推したい点です。

4.ハンサムな社長

インタビューをご覧いただくとわかる通り、千裕さんは中性的な犬顔で、字義通りハンサムだなという印象を持たれる方も多いと思います。

ですが、私が申しあげたいのはGood-Lookingであることではないです。
Longman English Disctionary には、Handsomeについて以下のように意味が説明されています。

1a) a man who is handsome looks attractive
b) a woman who is handsome looks attractive in a strong healthy way

Longmanすごくないですか。簡潔で、ときどき泣きたくなるような素晴らしい説明が入っています。千裕さんの魅力を説明するもっともシンプルな言葉まさにこれだなと思っています。

私は2000年代から金融業界にいたので、お仕事でベンチャー企業の社長の方には、沢山お会いした方だと思います。熱く夢を語る方、強いリーダーシップ、リスクを怖れぬ積極性、そうしたmanly(having qualities that people expect and admire in a man, such as being brave and strong)な方が多くいらして、計画的で細かく数字がみれる右腕といった感じのコンビを組んで、従業員を叱咤激励しながら進んでいく物語は、情熱大陸やガイアの夜明けでも皆さんご覧になったことがあると思います。こうした会社が大きく発展したものの、社長のやり方につかれて右腕が力尽きたあたりから衰退していくのも少なくないことです。イーロンマスクによるXはどうなるのか、気になるところです。

他方で、千裕さんはVisionは明確で、決断力はありますが、端的にいうとおらつくことからは遠いです。Visionは語りますが、いま考えていることと事実に基づいていて、特にそれ以上に「盛り」ません。
何か古いものを積極的に否定したり、攻撃することもないです。
トラブルがあっても、何か理不尽なことがあっても、へこたれませんし、さっと忘れて次に向かえる強さを持っています。相手と認識の差があれば訂正しますし、不当なことがあれば主張しますが、それ以上の攻撃性はないです。クールですが、心のひだがあって、人の心情や仲間を理解し、適性に応じた仕事ができるよう配慮しますが、経営者として必要な判断に感情が混じることもないです。

Longmanでは、healthyについてused to describe an attitude, feeling, or behaviour that is natural, normal, and sensibleと解説していますが、上記はまさにぴったりです。どうですか、私が彼女をhandsome womanと称することがいかに論理的かご理解いただけるかと思います。healthyなリーダーがいれば組織もhealthyですし、自ずとhealthyな仲間も集まります。忙しい最中でも棚田での研修など、楽しいこともしています。

上記はどれも特別なことではないですし、令和の新しいリーダーたちは、男女問わずこうした態度を志向し、実際備えている方は多くいらっしゃるのではとも思います。ですが、実際黎明期のベンチャーの葛藤の中で、あるいは人としての自己承認欲求や、あらゆる人間関係の中で、healthyであり続けることは、会社の未来を支えるうえではものすごく重要であるものの、とても大変なことだと思います。シンプルで明快なVisionがこの強さの支えでもあると思っています。

これらが私がASTRA FOOD PLANと千裕さんを推す理由です。
最後に、現在ブレイクしているこの会社に、Longmanからもうひとつ私の好きなことばを捧げたいと思います。

Breakthrough:
an important new discovery in something you are studying, especially one made after trying for a long time.

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