これからの【店のあり方】。僕らは何を差し出すべきなのか。
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現在新型コロナの猛威が日本において少しずつ弱くなっており、今後の第六波に備える動きこそあれど、日常を【取り戻す】流れに向かってきていると思います。
上に書いた取り戻すは、以前の生活様式を復活させると言う意味ではなく、新しいルールの中で活気ある生活を再構築すると言う意味です。
コロナ禍で一時的ですが流行った新しいサービスは、ここ最近あまり話題にも取り上げられなくなりました。
以前私が書いた(テイクアウトはブームである)と言う内容の通り、
今飲食店は【何に力を入れていいのか分からない】状態なのかと思っています
これは飲食店に限らず洋服屋においても同じで、次の新しい生活様式を現在日本国民が構築中と言う状況なので(どうすればいいか模索中)と言う状況はどの業種も同じように見えます。
この中で私が料理人と言うこともあり今回は飲食店に重点を置いて、これから先私たち料理人もしくは飲食店経営者は何をお客様に提供できるようになればいいのかを変えてみたいと思います。また同じく飲食店経営において今後何が最も大切なのかも考えていきたいと思います。
僕らは何にお金を払うのか。
僕らは何にお金を払うのか。
これはとても簡単で(価値)です。
それでは(価値)とは具体的に私たちの生活の中で何なのでしょうか。
きっとそれは【これに高いお金は払えない】や【これなら高くてもいい】といった金額と言う物差しの上で測る自分にとっての重要性だと思っています。
例えばフライドポテトに1000円は払えません。なぜならマクドナルドならクーポンを利用するとポテトのLサイズが190円で買えるからです。
このように他に比べる対象が多いものに対しては私たちは(その対象物の価値)に対して物差しをおき値段を差し図ります。
それとは逆に普段経験できない芋掘りのような、お金を払ってでも自分が働くようなシステムには私たちは価値を見出しお金を払います。
しかしながらその値段もスーパーで売っている芋の値段より少し高い範囲が可能な限界値であり、経験を得るとは言っても5000円札が使われるような状況は私たちはあまり好みません。
私たちは新型コロナの猛威がふるっている中、飲食店として何を経験できたのでしょうか。
緊急事態宣言が解かれ新型コロナの猛威も落ち着いてきた今、私たちはつい最近経験した苦しい状況を糧に今、新しい飲食店の提供価値を手に入れているでしょうか。
私は多くの飲食店がそれができておらず、V字回復を狙うような単発的で過去を再現するような行動しているように見えます。
ここ最近Uber Eatsを使っている利用客もUber Eatsとして運んでいる配達員も6ヶ月前より本当に少なくなりました。
Yahoo!ニュースではUber Eatsの配達員の歩合賃金がどんどん少なくなっていると言うニュースも見ました。
確かにフードデリバリーやテイクアウトという流行は落ち着きを見せていますが、それが何も残さなかったと言うわけでは決してありません。
選択肢としてデリバリーを使わないだけで、私たち消費者の中にはデリバリーと言う選択肢は消えてはいません。
それが残っているうちは店頭で販売している料理もデリバリーの料理も無意識かで同じものとして存在しています。
はっきり言ってここから先飲食店が絶対に提供しなければいけないのは(そこだけ)と言う価値です。
今までもその価値はあったものの、これから先は料理のおいしさと言う当たり前の状況を土台として、なぜそこに行かなければならないのか、なぜその人ではなければいけないのかと言うホスト的な理由での絶対的価値が必要になってきます。
逆に言うと、お客様に媚びると言う必要も特になく、わが道を行くと言う個性たっぷりの飲食店がこれからは注目を浴びていくと思います。
それは悪い意味で言っているのではなく、鳥羽シェフのような(人柄や愛情)といった皿の上では表現できないような人間性のあるレストランがこれからの飲食店を引っ張っていくのじゃないかと思っています。
価値も上げて値段もあげれる。
飲食店経営者にとって喉から手が出るほど欲しいけど、なかなか実行に移すことが難しい事の1つに高い価格設定があります。
少し前にホリエモンが焼肉店の値段はいずれ必ずあげなければいけないとおっしゃっていたように、料理人自体が料理の価値を上げながら料理の値段を上げなければいけない未来は必ず訪れます。
今までの料理人は素材を選定し価値を上げること。値段を変えずに素材を少しグレードダウンしたものを使い、その分技術で補うと言うことをずっとやってきました。
利益率と言う観点から確かに対策としては合っているのですが、これから先は(値上げができるスキル)が確実に必要なってきます。
それは営業の途中から値段を釣り上げるのではなく、そもそも市場価格よりも少し高い水準で料理を販売すると言うスキルです。
吉野家と同じ水準の牛丼を吉野家の倍の値段でどう売れるか。またその値段の背景にはどんなストーリーを持たせ、お客様にどう納得して召し上がっていただけれるかと言うことも今後の必須技能です。
安売りをすることで料理人の賃金を下げ薄利多売と言う販売システムを構築してきた今までの料理人業界は、結果として多くの若者の夢を奪い、独立してもひたすらにしんどい状況を作り出してきました。
その状況を今後変えてこれから先の料理人が夢を持ち楽しみながら飲食店を作っていけることもそうですが、
全体的に商品の価値とともに販売価格も少しずつ高くしていき、日本経済全体を上向きにできるのは飲食業界だけです。
何を【差し出せるのか】
上の2つの内容から私たちが今後差し出せるものはその場の存在意義と付加価値のさらなる創造による消費者の価値基準の向上です。
隣と同じような利益率の良い唐揚げを売っているようなその場しのぎの方法はこれから先何も幸せを生みません。
鳥羽シェフの展開している【Hotel‘s】で提供してるハンバーガーは正直言うと【たっけぇー】と思いますが、店舗の立っている立地、働いているスタッフのサービスの細やかさなどから、きっとその席に座るとハンバーガーの値段は妥当だと感じるのではないかと思います。
これを見ている消費者の方には申し訳はありませんが、私たち料理人はこれから先(販売したい価格)から逆算して価値の創出やプロモーションを考えていかなければいけないと思います。
料理を召し上がっていただく方からすると、単純に食事の値段が上がるだけではなく食事の値段が上がってもこれなら満足できると思う空間づくりやサービスづくりが私たちの課題です。
今までよりも少しお金を出していただくのであれば、私たちが差し出すものはその2倍でなければいけません。
この日本において等価交換と言う概念では飲食業はまだ語れませんが、差し出す2倍のものは食事の量ではなく(楽しかった)と言う思い出でもいいと思います。
新型コロナの猛威がおさまった現在テイクアウトブームも少しずつ治まりかけてきている今、
私たちがお客様に提供できる最初の価値は(外出してよかった。外で食べてよかった。)と言う思い出の始まりだと思います。
ここから先は
¥ 300
働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。