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FOODBOXは食・農業界にどんな未来をもたらすのか? ―CEO中村圭佑―

農家さんの悩みは、新規取り組みや販路の開拓など新しいことを始めたいのに時間がない、進め方が分からない、きっかけがないなど人それぞれ。
私たちFOODBOX(フードボックス)株式会社は、そんな農家さん一人一人に伴走し、挑戦を応援していく会社です。
このnoteでは、FOODBOXの活動及びメンバーの紹介、食・農業界をもっと詳しく知りたい方へのお役立ちコラムなどを、これから少しずつお届けしてまいります。
今回は、当社CEOの中村圭佑が、FOODBOXをなぜ立ち上げたのかと、取り組みに寄せる想いについてお伝えします。

農家の倅に生まれて~FOODBOXをどうして立ち上げたのか?~

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 私の実家は福岡県久留米市に4代続く果樹専業農家で、特に以前は、九州でも随一の梨の生産農家でした。その家の長男として生まれた私は、周りから家業を継ぐことを自然と期待されていたと思います。ただ父はそれを言いませんでした。むしろ農家にはなるな、と。天候に左右されやすく、労力に対して売上も上がらない、この仕事の厳しさを肌でわかっていたからでしょう。
 私自身も、次第にある疑問をもつようになりました。良い農作物を作れる人は世の中にたくさんいる。でもその「良い農作物」にどう価値をつけていくのか、どう売ったらよいのか。さらに、例えば販路を海外に広げるなど、食・農業界の構造を変えるような取り組みが必要ではないか…。

 高校生の頃にはこの課題意識が強くなり、進路として選んだのは明治大学農学部の農業経済学科。この分野の第一人者の教授陣から、経済や経営の目線で農業界を学び、考えていきました。そして起業のイメージも抱きながらも就職活動へ。業界にどっぷりと浸かれる農業関係のメーカーで、かつ即戦力としてさまざまな現場に携われるような規模のところを探し、「日本農薬株式会社」に入社しました。
 ここでは在学中の留学で身につけた語学を活かして、中国での子会社設立に第一線で関わるなど、全力で取り組む毎日でしたが、このときのさまざまな経験、そしてその後のキャリアが、一貫して今の仕事に繋がっています。今思い返しても本当に恵まれていたと思いますし、FOODBOXの立ち上げに向けて良い流れを作れたな、と思っています。


FOODBOX流・農家さんのサポートとは?

 2017年、31歳の時に日本農薬を退社しました。会社勤めの傍らオンラインで学べる大学院にも通ってMBAを取得していましたが、起業や会社経営のためのスキルを身につけるため、退社後はコンサルティング会社で2年ほど働きました。ここでも中小企業やベンチャーの伴走支援を軸にしている会社を選び、その知見を起業後の農家さんへのサポートに役立てようと思いました。

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 少し話は逸れますが、今FOODBOXが順調に運営できているのには、いわゆるコンサルティング・スキルが業務の土台になっていることが大きいと思っています。会社として安定的に収益を生み出せるだけでなく、FOODBOXが描いているより大きなビジョンのファーストステップとして、コンサルティング的なアプローチが農家さんとの最初の接点を作るのにとても役立っているんです。

 とは言え、私たちはいわゆる一般的な農業コンサルとは違い「農家ファースト・現場ファースト・地域ファースト」の伴走者であることを大切にしています。
 「フードカタリスト」と名乗っているのもその考え方を体現したものです。(「フードカタリスト」についてはこちらの記事をご覧ください)。

 つまりFOODBOXは、農家さんから無理な金額を集めることで成り立つ事業モデルであってはいけないと思っているんです。実は農家さんから私たちがいただく料金は、農家さんの「いい値」。こちらからご提案するサービスとサポートに対して、農家さんご自身に金額を判断して決めていただいています。

規格外品の農作物を、新たな商品として蘇らせる!

 私たちFOODBOXによる、農家さんのサポート事例を一つご紹介します。あるレンコン農家さんから、これまで廃棄していたレンコンをどうにかしたいというご相談を受けました。

 農作物の生産過程では、味は同じでも見た目や形のために市場に並ばない農作物が必ず出ます。これらは全体の生産量の20%にもなると言われており、何もしなければただ捨てるしかありません。いわゆるフードロスです。これが農家さんにとっては一つ大きな悩みの種なんですが、私たちは農家さんと相談をしながら、それに伴うさまざまな業務を一つひとつ支援していくことができます。例えば農作物の一次加工先の選定、加工品の評価分析、生産物の販路開拓のための営業資料の作成など、サポートできる範囲は多岐にわたります。
 このレンコン農家さんの場合、レンコンをスライスし冷凍するか、液状のピュレにするか、あるいはパウダーにするか…、などの一次加工の方法をFOODBOXでリサーチ。その中で最適な方法を検討し、パウダー化を選ぶことになりました。現在は、そのレンコンパウダーを販売したり、別の業者さんに飴などの形で商品化してもらったり、といったところにまで進んでいます。これまでただ廃棄するしかなかった農作物が、加工によって新たな価値をもち、利益をもたらす存在へと生まれ変わったのです。


一般企業の農業参入支援、自治体の農家さん向け事業への参画

 先ほどのレンコン農家さんの事例は、FOODBOXが掲げるゴール「食・農業界に新たな選択肢を!」をそのまま現したものです。
 人的リソース、知識、ネットワーク、時間、進め方のノウハウなど、農家さん単独では不足していること、実現が難しいことを見つけ出し、その部分でできることは協力する。そして課題の解決に向けて伴走する。そして農家さんに新たな選択肢を提供することが、私たちFOODBOXの役割と考えています。

 そしてFOODBOXにはもう一つ、「新たな選択肢に農業を!」というゴールがあります。
 こちらは、農業参入をしたい異業種の企業の方々に向けた言葉です。農家さん同様、企業様からの相談件数も日々増えていますが、事業として参入するための市場性調査や農地の確保、農作物の選定などの検討からはじまり、実際の生産や栽培のサポート、農作物の販路開拓まで一気通貫で支援しているのがFOODBOXの特徴です。

 こちらも事例を一つ紹介したいと思います。横浜市のある企業様が農業参入を検討しておられました。それに対してチームでサポートをしていきましたが、具体的な内容については農業アドバイザーとして関わらせていただいている、マイナビ農業様の記事で詳しく取り上げていただいたので、ぜひご覧ください。


 さらに、FOODBOXでは官公庁・自治体(県や市)様の事業運営にも参画しています。これまでに、地域の農家さんやそのご家族の方向けに開催するセミナーなどにおいて、企画や講演の講師をお引き受けしてきました。これをきっかけに、その地域の農家さんや農業法人さんとの新たな出会いがたくさんありました。それが次の事業や大規模プロジェクトのきっかけになってくるケースもあり、とてもおもしろいなと思っています。


食・農業界の共通課題に共に向き合い、伴走したい

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 FOODBOXという会社を作るにあたり、最初に行ったことの一つが実際の農家さんへのヒアリングでした。どんな規模の農家さんが、どういった課題をもっているか。地域や農作物ごとに何か違いはあるか。それらを理解した上で、FOODBOXとしては、若手の農家さんで、ある一定規模以上の売上がある人を対象にさせていただいています。
 年代的には、親世代から事業継承し、新しいことを始めようとしている方たちです。例えば5000万円から1億円の売上規模を目指す層、あるいは1億から3億、5億を目指す層の方々が多い状況です。この規模の農家さんは、一定品質の農作物を作る生産技術は既に持っている。ではその農作物をどうしていくかという販路の部分。そして家族経営から会社経営にどう移行し組織化していくかについて、共通した課題を持っています。

 私たちFOODBOXは、この層こそが日本のこれからの食・農業界を支える基盤だと考えています。この層の農家さんは、ご自身の事業のことに加えて、根底には業界全体の課題や危機意識もしっかりと持っていらっしゃるなと感じています。

 農家さんがより自由度の高い農業経営を実現することはもちろん、日本の食・農業界が、よりワクワク・ドキドキする、すごい世界になってほしい!
FOODBOXは、そうした未来を作るために、これからも全力で取り組んでいきます!

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CEO、フードカタリスト
中村圭佑 / Keisuke Nakamura
福岡県の果樹農家出身で、大学卒業後は約7年間農薬メーカーに勤め、中国を中心に活躍してきました。農薬メーカー時代にMBAを取得&中国語をマスターし、その後コンサル業界に転職。2019年7月にこれまでのキャリアを生かしてFOODBOX(株)を起業しました。
農家さんと等身大でコミュニケーションをとり、本当に良いものを農家さんが本当に望む形で実現できるように、日本全国で東奔西走しています。農業の現場を知った上で、あえて枠に囚われず、新しい視点で農業界をもっとワクワクさせることを目指しています!困ったら何でも相談したくなる、そんな雰囲気の持ち主です!

聞き手・編集
FOODBOX広報部O
出版社の編集から現在フリーに。食や農業に興味をもってきましたが、本格的に関わるのは今回が初めて。FOODBOX広報部の新人アシスタントとして、勉強させていただきながらがんばります!

~私たちFOODBOXについて~
下記サイト、SNSを日々更新中!ぜひご覧ください!
■ 食・農業系オンライン コミュニティ #FOODlab

Instagramでは、日々の活動や業務の様子を発信しています。
■ FOODBOX 公式 Instagram

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また、本記事でご紹介したゴールは2020年7月以前(株式会社になる前)に定めたもので、2021年7月から2期目になり、ゴールや使命、私たちの行動指針も一新しました。こちらの記事も併せてお読みください!


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