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XR技術で未来のファッションショーを実現!

島精機とKDDIで、衣服の3DデザインをXRと連携させることで、アパレル向け販促パッケージを提供する取り組み「XRマネキン for APEXFiz」がはじまった。現物サンプルなしで360度確認可能なデジタルカタログやVRショールームなど、新たな顧客体験を実現することで、業界のSDGsやDXに寄与する事業である。アパレル3DCAD「APEXFiz」からKDDIのXRプロダクトに直結するソリューションの提供をするフローの中でFMBもその事業に参画している。

このソリューションは、アパレル業界向けにさまざまなデバイスで商品イメージを自由視点で表示し、APEXFiz(3DCAD)で企画・デザインした衣服の3D・画像データ(以下 バーチャルサンプル)を用いたデジタルカタログやXR(AR / MR / VRを組み合わせて利用可能)コンテンツによるショールーム、店舗のデジタルによる拡張が可能になる。つまり、展示会などでのバーチャル提案、在庫レス型ショールーム店舗の展開や、ECサイトでの便利な購買体験などを実現する。店頭の余剰在庫削減やスペースの有効利用等、新たな販売機会の創出につなげることも可能となる。さらに、5G等高速広域通信網と組み合わせ、バーチャルサンプルを着たモーション付きCGモデルをクラウドレンダリングストリーミングで配信し、高精細なバーチャルファッションショーをユーザーのスマート端末等を通してホログラム(立体映像)で開催することができるようになる。このようにして制作されたバーチャルファッションショーは2022年9月1日から和歌山本社にて開催の島精機60周年記念イベントで公開中である。また、島精機60周年記念特設サイトからも閲覧が可能のため、この機会に体験していただきたい。

 この施策に至る背景として、これまでのアパレル業界では、商品の企画、デザインの段階において多くの実物サンプルを制作してきたという事実がある。これには多大な時間とコストがかかるだけでなく、生地などの原料の無駄も大量に発生し、廃棄処分を行う場合がある。販売の段階においても、店頭では、コンシューマーのニーズに応えるためさまざまなサイズ・色の在庫を取り揃えており、余剰在庫が発生するケースもある。また、マネキンや多くの商品を陳列しスペースや人労のコストも大きい。島精機の「APEXFiz」は、生地もない状態で糸のデジタル画像から3Dイメージを生成し、実物サンプルを作らずにデザイン検討ができる。サンプル制作時に消費される資源とリードタイムを最小限に抑えることができ、環境に配慮したモノづくりが可能である。また、KDDIでは2022年5月に、Google Cloud※協力のもとアパレル販売向け高精細XRマネキン等を開発し、店舗サイネージやスマートフォンなどのさまざまなデバイスで商品を立体的に自由視点で表示可能とし、店頭のスペースや労働力の効率化をはかれる技術を完成させた。これらにより、アパレル業界における製品の企画デザインからサンプル試作、生産・流通、販売といったサプライチェーンを一気通貫したDXソリューションを提供できるプラットフォームが完成したのである。こういった取り組みは、余剰在庫削減や商機喪失の軽減によるサステナブルな社会の実現と、消費者が安心して商品を購入できる体験との両立を目指し、今後機能やサービスの充実を図ってゆく。

さらに「APEXFiz」で企画したデータは、島精機製作所ならではのホールガーメント横編機で物理的に生産する事も出来るため、カットロス削減やオンデマンド生産も可能となり、資源の無駄を更に最小限に抑えた生産で環境への負担の軽減につながる。また、インタラクティブ・デジタルサイネージやECサイトのスマート端末表示に商品の詳細を表示するデジタルカタログ等で店舗機能の拡張をデジタルで実現してゆける。いよいよアパレルファッション業界のDX化の実現が現実的に加速し始めた。

 

※Google Cloud は Google LLC の商標です。

文責:小畑正好

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