見出し画像

ガンダムから娘の名前をつけるんじゃない

皆さんは『機動戦士ガンダム』シリーズを観たことがあるでしょうか。

1979年放送開始以後、多くのシリーズを生み出している大人気ロボットアニメですね。時代性も反映されながら、変化や派生を伴いつつも長く愛され続けている代表的なアニメ作品の一つと謳われています。

ちなみに、私は一度も観たことがありません。

私自身はアニメや漫画が大好きで、「推し」と呼べるようなキャラクターや作品もいくつか存在します。世代ではないけれど有名な作品、といったものを勉強がてらに観る・読むこともあります。
それでもガンダムに関しては、一部の名シーンや名セリフを知るのみに留まっていました。

しかし、私の父は違います。

御年56歳となる彼は、数多くいるガンダムファンの一人です。最近では『鬼滅の刃』なども楽しんでいるようですが、子どもの頃から身近だった作品に関しては思い入れも多いことでしょうね。

だからでしょうか。
私の名前がガンダムから命名されたのは。

初めてその事実を聞かされたのは保育園児の頃でした。
「自分の名前の由来を聞いてみよう」みたいな、ありがちな企画に応えるべく、純粋な気持ちで父や母に由来を尋ねました。
当時はガンダムという作品を知りませんでした。そして、まさか自分の名前がアニメキャラクターをもとに名付けられたものだとは思いもしません。幼いながらに、それなりに衝撃を受けたのを覚えています。

さて、ではそれはどなたなのかというと……

「ミライ・ヤシマ」さん、なのだと。

そして私の名前は「大地未来」、ガンダム風になおすと「ミライ・オオジ」となります。字数まで一緒かよ。

ミライ・ヤシマさんをご存じない方はぜひ検索をしてみてほしいです。
設定としては、地球連邦軍元高官の娘、いわゆる良家のご令嬢とのことです。立ち居振る舞いに品があり、おだやかで優しく、18という歳のわりに大人びた印象の女性。特別美人というわけではないものの、3人もの男性と恋をしていて意外に「モテ女子」「勝ち組」などと評価されているのだとか。

……こうして設定を並べていると、自分が褒められているような錯覚に陥ってしまいますね。
あかんあかん。私ではない。少なくとも彼女のような長所は私にはない。モテていたわけでもない。


ミライ・ヤシマさん自体は別に良いんです。彼女に罪はありません。詳しい物語は分かりませんが、素晴らしいキャラクターなのだろうとも思います。

問題なのは父の伝え方でした。
幼い私に向かって、馬鹿正直に「アニメキャラクターから付けたんだよ」だなんて、もうちょっと考えてほしかったものです。そして、できれば取ってつけたようなものでもいいから何かしら他の意味もあってほしかった。
幼い私は「あにめ……きゃら……みらいのなまえにはいみがない……」とほんの少ししょんぼりしていたのだから。

しかしこの出来事こそ、私が「言葉」そのものに興味を持ち始めたひとつのきっかけでした。
勿論これだけではないですし、他に比べたら小さな小さな感情の動きだったけれど、きっとこれが「さいしょ」の興味関心だったのだと思います。


ここまで文句を並べてはいますが、私はこの名前が気に入っています。
苗字も合わせると「宝塚みたいな名前ですね」などとこれまでに十数回は言われてきているけれど、気に入っています。

願わくば、ミライ・ヤシマさんのような穏やかながらもかっこいい女性になりたいものです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?