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オフィスに神棚がある理由~ベンチャーと神様~

株式会社Flucle CCOの本田です。
突然ですが弊社オフィスには神棚があります。

目立つ場所に設置していますが、スタイリッシュで仰々しさがないデザインなのでオフィスに溶け込んでいます。

来社された方から突っ込まれることはあまりありませんが、もしかして気付いたけど触れずに帰られた方もいるかも知れませんし、近年入社したメンバーにも「この神社の来歴」を語る機会はありませんでしたので、オープン社内報として公開することにしました。

神棚と、会社の歴史

株式会社Flucle
・創業は2015年9月
・現在のオフィスは3か所目

オフィスその1 創業は雑居ビル

創業当時のオフィスは、新大阪近くの雑居ビル5階、オフィスと呼んでいいか分からないワンルーム。起業したものの売るものも定まっておらず、とにかくキャッシュを生まなくてはという焦燥感と、いつか成功するという根拠のない野望だけで、研修、WEB制作、イベント運営など、声のかかった仕事は何でも受ける日々でした。

まだ神棚はありません。

中古のオフィス家具と寝袋が転がる、窓を開けると隣のビルの壁しか見えず排気ガスが入ってくる、クイックルワイパーがすぐに真っ黒になる小部屋です。神様に来ていただいても叱責しかされなかったでしょうし、そんな余裕もありませんでした。

オフィスその2 レトロビルへの引っ越し

創業から半年後、天満橋のレトロビルに移ります。知り合いのH社の引っ越しに便乗した物件の間借りです。古いビルを皆でリフォームすることになり、flucleメンバーも間借りする部屋の壁の張り替えやベニヤの塗装に追われます。エレベーターなしの4階で決して便利な環境ではありませんでしたが、自分たちでDIYしたオフィスには何となくの愛着が湧きました。

このオフィスへの引っ越し時に、神棚が設置されました。

設置の背景①レトロビルの空気浄化のため

設置の背景のひとつめは、間借りさせてくれたH社が比較的そのような意識が高く、地鎮祭のような、お祓いのようなイベントが行われたことです。新築ではないため地鎮祭と呼んでいいか分かりませんが、リフォームと引っ越しに当たり、気の流れをととのえて事業発展を願うために行われたイベントです。

その際、H社のオフィスに神棚が設置され、青々とした榊がレトルビルの歴史から来る澱みをさーっと薙ぎ払ってくれたように感じました。Flucleメンバーも何か感じることがあったのでしょう。「うちも神棚つくる?」という声が出ます。

まるでDIYの続きくらいのラフな気分で、Amazonで神棚を購入し、自分たちで塗った壁に打ち付け、大阪天満宮でお札をいただいて、神宮大麻と一緒にお祀りしました。(初期は毎月1日と15日に榊を変えていましたがすぐに形骸化し、簡略化されたことも記しておきます)

設置の背景②日本文化研修事業を行っていた

この頃ようやく「株式会社Flucleの事業の方向性」が見え始めます。(なんと、まだ労務管理ではありません)
「研修事業を中心に展開しよう」という流れが生まれ、商材開発がスタートしますが、単なる研修会社では新規性もありませんから、Flucle独自リソースを活用した「日本文化研修」なる事業を柱に据えます。

ちょうどマインドフルネスという言葉が流行っており、私たちも「疲弊して働く社会から、個が充実して働ける社会に変えたい」という気持ちで、社会人向けの座禅体験やカルチャーセンターの運営に取り組みました。寺社仏閣での合宿やリトリートを提供したり、お茶や書道などの先生と協業したり、慌ただしくも「売るものがなかった」時期に比べるとその活気は天と地の差でした。

「日本文化研修事業」を展開する以上、連綿と続いてきた文化としての「神棚のお世話」は根幹的な行動です。そしてこのときのFlucleにとって、神棚は必要な機能でした。吹けば飛ぶ小さな組織です。智恵と努力だけでは結果が出ない状況下で、「会社が潰れませんように」「キャッシュが回りますように」という切実な願いを託す神様の存在は、潜在意識の中の、最終的な拠り所でもあったと思います。

(補足。日本文化事業をやっていた当時も、労務管理クラウドを開発している現在も、Flucleは「働く人の可能性の最大化」だけを追っています。提供サービスがあまりにも違うので驚かれますが、軸はまったく変わっていません)

オフィス3 現在

2020年1月。コロナ流行の直前に現在のオフィスに移りました。その際に神棚の買い替えが行われ、現在に至ります。

テレワーク中心の組織ゆえに誰も出社しない日もあり、毎日必ず神棚のお世話ができているわけではありませんが、社内マニュアルでは出社した人がお米、お水、お塩を備えることになっています。

年末の大掃除でお札を下ろし、年始には有志メンバーで大阪天満宮にお札をいただきにいくのも、恒例行事となりました。

マインドバロメーターとしての神棚

ベンチャーに神棚は要か不要か、と聞かれたら「不要」だと思います。事業効率や生産性に直結しませんし、「意味あるの?」と思う人がいるのも理解できます。しかしFlucleは、テック企業に方向転換しても神棚を排除しませんでした。

ここからは個人の意見ですが、「ベンチャーに神棚がある意義」をふたつ書いておきます。

自分の心の状態がわかる

神棚のお世話という、たった2分ほどの朝のタスクを丁寧に行えないときは、心の状態が健全ではないかも知れません。神棚のお世話は、丁寧にコーヒーを入れる、観葉植物を窓際に運ぶなどの「急を要さず、業務にも直結しないけれど、心の状態をつまびらかにする朝のタスク」と同等のものと感じています。焦りや面倒さが勝つときは、チームメンバーとの雑談を楽しんだり、仕事環境をととのえたりもできません。その焦りの積み重ねは人生の余白の喪失につながります。

ラッキーを引き寄せられる(かも知れない)

どんなにハイスペック人材がいても、技術があっても、戦略を練っても、ベンチャーの成果は運に支配されることが多くあります。時流に乗れるか、会社の命運を握る人と出会えるか、瞬時判断が必要なラッキーに巡り会えるか…偶然とも必然とも分からない要素が、嘲け笑うように数億を左右します。これは努力では変えられない部分もあり、だからこそ「チャンスの神様」と日頃から仲良くしておく必要があります。将来「あれは運がよかったんですよ」と笑ってインタビューに答えるためにも、神頼みは馬鹿にできません。

この2つはつながっています。
チャンスの神様は、めんどくさがりで、自分の心に無頓着で、小汚い環境にいる人の前には現れません。常に周囲に気を配り、「会社で働くこと」が社会とつながっていて、自分の心の余裕が新しい価値を生むと理解している人のところにやってくるはずです。

だから私は、ベンチャーにおける神棚は、個人の、そして組織全体のマインドバロメーターとしての役割を果たすと考えています。

最後に

まずはステークホルダーの皆さま。ご来社の機会がありましたら、ぜひ窓際の神棚をご覧ください。そして双方のラッキーを増幅させて、誰よりも、どこよりも早く、よいポジションを確立できるよう、協業させてください。

社員&メンバーの皆さま。オフィス一番乗りをラッキーと捉え、初詣のつもりでお世話してみてください。オフィス環境が神社のように清浄であれば、その気持ちよさはチームにも波及します。効率や生産性も大切ですが、私たちの人生は効率化のためにあるわけではありませんから、心を観察する時間として、神棚のお世話を活用してください。

そして、将来「ラッキーがいっぱいあったね」「自分たちの頑張りと、運がうまくリンクしたね」って、笑い合いましょう!


お読みいただいた社外の皆さま、ありがとうございました。現在株式会社Flucleでは新メンバーを募集しております。どうぞ、以下ページより会社情報をご覧ください。




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