哲学対話「書く」の開催レポート
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哲学対話「書く」の開催レポート

毎月第4土曜日にオンライン哲学対話を実施しています。2月27日(土)の様子をレポートします。

哲学対話の概要

哲学対話とは「普段はあらためて考えない疑問」、「すぐには答えが見つからなそうな疑問」について、みんなで語りあって思考を深めていく場です。一人ひとりが自分の経験や考えを、自分のことばで表現することを大切にします。それをお互いに聴き、問いかけ合いながらともに考える場です。

哲学対話は、近年いろいろな所で行われています。当日集まった参加者から出してもらう「問い」について対話をする場合もあれば、主催者が事前にテーマや問いを決めて実施する場合もあります。

我々の場合は大きなテーマだけを事前に決めておき、当日そのテーマに関連して「問い」を出し合って、選ばれた問いで対話をスタートするというやり方で行っています。

過去のテーマはそれぞれ「対話」、「時間」、「夢」、「言葉」、「弱さ」、「笑い」、「つながり」、「学ぶ」、「遊び」「信じる」「読む」など。12回目となる今回のテーマは「書く」で、参加者は11名でした。


問いだし

冒頭に哲学対話の進め方とルールをお伝えし、各自テーマに関連した問いを出してもらいました。当日出された問いは以下のようなもの。今回はたくさん問いが出ました。

1. なぜ、書くことで、頭の中でもモヤモヤしていたことがスッキリするのか?
2. どんな時に書きたくなりますか?
3.「私」にとって「書く」とは何を意味しますか?
4. みんな何を書いているんだろう?
5. みんな書いて何をしたいんだろう?
6. 書くことで私たちは何ができるだろう?(可能性を探ってみたい)
7. 紙に書くことと、キーボードで書く(打ち込む)事の違いは?
8. 筆記用具や紙質は書くことに影響をあたえるのか?
9. なぜ人は「書く」のでしょうか?
10. 書くことは得意ですか?
11. メモを書くことの意味は?
12.「書く」とは何か、「描く」との違いは何か?
13. 普段書いていますか?
14.「書く」ことでどのような変化がありますか?書く前と書いた後。
15. SNSなどの発信は書くことですか?
16. 手紙とSNSで自分の思いを伝えることの違いは?
17. 思考をまとめるため書くことが役に立つのは何故か?
18. 何のために書くのか?
19.「書いて伝えること」と「話して伝えること」の違いは何か?
20. 書いて考えるのと、書かないで考えるのとで違いはあるか?あるなら何が違うのか?
21.「書く」ことがもたらすものはなんでしょうか?
22. 書くことは好きですか?
23. 話すと書くの違いは?
24. 最近なにを書きましたか?
25. 何を使って「書く」ことをしますか?

同じことを問うているものについては合体し、1つずつ順番に、どうしてその問いで考えてみたいと思ったか、「問いの背景」についてコメントをしていただきました。

同じテーマでも、人によって様々な捉え方があるということが、この問いだしの時点で見えてきます。そうか、そんな風にとらえているんだな、自分はどうだろうか、などと、この時点ですでに哲学対話は始まっています。

これらの問いの中から、投票で19.「書いて伝えること」と「話して伝えること」の違いは何か?が選ばれ、その問いから対話をスタートしました。


当日の対話の流れ(発言の一部)

・「話す」と「書く」はどちらも得意というよりは、どちらかになる人が多いんじゃないか?

・「話す」はインタラクティブ(双方向でやりとりがある)。伝わらないときはすぐ補足できる。リモートワークでも「話す」方がチャットよりも速い。ただし、記録に残らないというデメリットがある。逆に記録に残ることが書くことのメリットになる。

・いざ話すと、思ってもいない方向に行くことがある。反射、思いつきで進んでいくことがある。書くときは深く考えることができるし、読むときも深く解釈して考えることができる。苦手かどうかについては、話すについては、1対多だと緊張するので苦手感がある人が多いのではないか。

・書くことは、読み手の都合にあわせて読んでもらうことができるのがメリット。話すのはお互いの時間が拘束される。

・話すといっても、どういう形態で話すのかによって異なるのでは?

・自己表現として、思いを伝えるとか、何かを発信する上で話すときと、書くときではどう違うのか?

・子どもは必ず、書くことよりも話すことを先に覚える。話す方が基本的な能力。

・微妙なニュアンスを伝えたいときは、メールは避けている。熱量、語調、ニュアンスなど、話さないと伝わらないものがある。

・人が話したものを文字起こしすると、びっくりするほど支離滅裂なことが多い。それでも伝わるのは、言葉以外のものによって伝わる割合が多いということ。

・ノンバーバルなものが言語を補っている。同じ言葉でも、どういう表情で言うかによって、伝わり方が変わってくる。反面、書かれた言葉は、情報が限られるので、読み手のインスピレーションが広がるというメリットがある。

・チャットでも、言葉尻で伝わり方が変わるが、それはある種のテクニックの問題で、大事なことは、相手との関係性によって伝わり方が変わるということではないか。人は相手を評価している。受け手の解釈は、話し手に対する評価によって変わる。

・書かれたものを読むときに読み手のインスピレーションが広がるという点について、行間を読む人が減っている気がする。読む側の教養がないと、誤解が出たり、ボタンの掛け違いが起こる。その点、話す場合はその場で確認ができる。

・書かれたものは読み飛ばすことができるという利点がある。議事録は、必要な人が必要な情報を得るために書かれている。受け取り手が取捨選択できるというのが、書かれたものの特徴。

・議事録を書いていると、話がめちゃくちゃなことがよくある。そのまま書くと、読む人に自分がめちゃくちゃに書いていると思われるので、修正しなくてはいけない。なので、議事録は画面共有しながらとって、言ってることあってますか?とその場で確認する。

・日本人はハイコンテクストなので、コミュニケーションコストが低い。コミュニケーションにおいて、しっかり伝えようというのが少ない。それくらいわかるだろうという前提になってしまっていることが多い。

・村社会や同じ会社の中だと「あうん」で済んでしまうことも多いが、知らないうちにズレが生じることもある。なので、書いて伝えると支離滅裂が減るのではないか。

・自己実現の方法として、話すことと、書くことは、何を意味するか?

・話すときはその場の反射やノリで話してしまうことが多い。書くことで、しっかり自分の本当に言いたいことを自分でつかむことが大切な気がする。話すにしても書くにしても、自己実現という点においては、「自分の声を聴く」ことが、何より大事なことではないか。

・書くことは時間をゆっくり使うことでもあるし、自分の考えを文字に残して可視化することでもある。そういう意味で、自分自身であるためには優越な方法なのではないか。

・書くにしても、話すにしても、その目的が大切ではないか。

・書きながら思考していく。そういう時間を取ることで自分の考えが進歩していくことがある。書くと脳を自由にしてあげることができる。


2時間の対話を終えて

「書く」ことは、私にとって、「最も」と言ってよいほど興味のあるテーマです。今回、みなさんの話を聴きながらメモをとっていたものの、自分のなかでもいろいろな考えが湧いてきたり、自分が発言しているうちにメモがおろそかになってしまいました。なので、対話の流れやつながりがわかりにくいものになってしまっています。ご参加のみなさま、すみません。

大きくは「発信する上での書く、話す」についてと、「受信する上での読む、聴く」についての話がされていました。今回対話の中ではふれられませんでしたが、みなさんが出してくれた他の多くの問いについても話をしてみたいです。

終わってからも、アナログにノートに書くときとPCやスマホなどで書くときはどう違うのか。誰かに向かって書くときと自分の考えや気持ちを整理して書くときはどう違うのか。書くことが苦手とかつらいと思うときはどんなときか。書く前、書いているとき、書き終えたあと、どう自分が変化するかなど、もっともっと考えたいことが出てきました。ですので、また同じテーマで対話の場を設定できたらと思っています。


次回開催の予定

次回は3月27日(土)10:00~12:00の予定です。テーマは「聴く」。募集開始したらお知らせします。こちらに掲載します。

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大前みどり

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対話ファシリテーター、ワークショップデザイナー。考えたこと、体験したこと、学んだこと、記憶の断片の記録。