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そうやって、今年も僕らは怠惰を謳歌する。

 九月一日。それは昨日のこと。それは、言わずもがな、九月のはじまりの日。関東大震災が起きた日。それは――高校の友達が京都に来る日。

 どんてんもよう。

 そんな言葉がぴったり似合いそうな、雲のかかった空。でも、それだけではない。空は、いろんな顔を私たちに見せてくれる。

 こんな一コマだって、よく空を見てみたら、雲の厚みはまちまち。もしかしたら、雲は人間以上に表情豊かなのかもしれない。そんなことを不意に思わずにはいられない。少なくとも、感情表現とかそういう類のものが苦手な私からすると、余計にそう思われるのだ。

 そんな与太話は放っておこう。いや、与太話では決してないけれど。でたらめだけは言わない。まあ、余談といえば済む話なのだけれど、何となくそれを言いたくなかっただけなのだ。

 一つ前に書いたけれど、私は夜行バスで東京から京都まで帰ってきた。バスは東京を30分遅れで発った。車内ではナイトスクリーンを発動してゲームをしたり、あるいは音楽を聴きながら眠ったり。それを幾度か繰り返した。小一時間程度記憶のない空白の時間がそれの唯一の証明だ。それ以外にこの事実は証明できない。証明する必要などないのだが。これでQ.E.D.じゃないか。まったく、つまらない証明をしたがる癖はなんとかせねば。

 友人を迎える前に、一か月弱放置されていた自室をある程度まで整頓し、ごみを捨て、少し気になるところにファブリーズをまき散らす。結局、家に着いたのが7時位。そうして、この作業が完了したのが12時前。時間かかりすぎだと思うのが大半だろう。しかし、それには反論させてもらう。眠すぎたのだ。そして、思うように体が動かなかった。だから家に着いてからしばらくベッドで寝ていたのだ。決して汚部屋だったわけではない。むしろ男子大学生の一人暮らしにしては綺麗な方ですらある。バスで寝なかったのが悪いのだがそれを言ったら終わり。というか、お金をケチって仕切りもない、リクライニングもろくにできない只の所謂高速バスを選んだ時点でこうなることは決定していたのだ。―—それを言ってしまったらそれこそ本当に終いだ。だからこの阿呆みたいな時間の使い方に異論は認めない。

 またグダグダとつまらない文章を書いてしまった。少し、方向を修正しようか。さて、昼になってちょうどお腹が空いてきた。そこで、帰省していたために家に食材もない、買ってきたとしても作る気力などない私はふら~っと家を出た。そして何を思ったか、最寄り駅で地下鉄の一日乗車券を買った。そして次の瞬間、私は走り出したのです。だって、電車が入線してきたんだもの。改札をくぐりぬけ、目の前の階段を駆け下りる。なんで急いだのか、私にもわからない。乗れなくとも十分も待てば電車などすぐ来るのに。一か月東京生活に戻ると感覚が昔に戻ってしまう。電車は一時間に十本なんてあたりまえ。むしろ15本くらいあっても不思議に思わない。そんな狂った世界からくると都市・京都であっても時の流れが極端に遅く感じてしまうのだ。別につまらないからではない。むしろ私がnoteに最初に投稿した時のような、ノイローゼのような状態を脱して極めて健康――食生活と睡眠、そして人間関係に関しては省かざるを得ない――な生活を送っている今日のわが身からすると、新天地で一人でいること、そして一人旅をすることの楽しさを再発見したわが身からすると、この町はモダンとクラシックだとか、そういうものの共存であったり融合であったり或いはモダン同士の別離であったり、そういったものをすべていっぺんに見られる、素晴らしい街なのだ。ただ歴史があるだけの古都ではない。京都という一つの町が、様々表情を変え、時には時間を超えて自己の存在規定をしているようにさえ私には思えてくる。京都は京都であって京都でしかないのだけれども、京都は決して一人の人間ではなくて、五人、あるいは十人、百人が融合し、あるいは別離しながら今”生きている”街なのだろうと私は思う。街は生きている。これは或いは日本中、はたまた世界中に言えることなのかもしてないけれど、人生経験の少ない身からそんなことを言うのはあまりに身の程知らずが過ぎるだろう。そもそも私は海外に行ったとこすらないのだから。

 ——閑話休題。それにしても自分でも驚くレベルのそれ方をした。今回は。

 さて、ドアが閉まって間もなく、電車は動き始めた。正午過ぎ。昼下がりの京都の日から隠れた狭いスペースを私は時速数十キロで駆けて行く。おかしい。私はただ横を向いて止まっているだけなのに。大学の最寄…とも言えない微妙な駅で降りて、大学に歩き始めた時だった。私は衝撃の事実に気が付いてしまった。2019年9月1日。本日は晴天なり。されども本日は安息日なり。神に背くは大罪なり。皆仕事をするべからず。

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