逆に「選ばれし者」説。
先週まで何事もなかったのに、職員用出入口の暗証番号入力ボタンの反応が鈍いと気づいた月曜日。
まごついている私の後から上司がやってくると、さっきまで反応しなかった機器がピカッと光り、スムーズに解除できたから、ただの接触不良かな? と思ったのだけれど……
次の日もまた反応しなかったため、ドアのガラス越しから職員にジェスチャーで助けを求め、内側から解除してもらった火曜日。
明日も開かなかったどうしよう……と、もはや仕事そのものより、自分でドアを解除できるかどうかを不安に思いながら寝付いた翌日、ちょうど同じタイミングで入ろうとしていた職員がいたため慌てて駆け込み、事なきを得た水曜日。
一瞬光ったのに、私と気づくや否や全く反応しなくなり、周囲を見渡しても助けを求められそうな職員もいないため、先に着いた職員が開けてくれていた表の入口からなんとか更衣室に辿り着いた木曜日。
軽く見積もっても半世紀はここで勤めていそうな年齢不詳の事務職員さんと、たまたま更衣室で出くわしたため、ここ数日の出来事を相談してみた。
「他の職員からは、そんな苦情、聞いてないけど……」
と訝しげな表情をしつつ
「まあ、あの機械、人を選ぶからねえ……」
と意味深な言葉を告げられた。まじか……!
その日は送迎の担当だったため、用務員の温厚なおじさん職員にも悩みを打ち明けると、仕事の合間を縫ってドアを解除する練習に付き合ってくれることになった。
実際に私がやってみると開かない。
おじさんがやっみると開く。
「ボタンの押し具合なのでは?」と、優しいおじさんは言うけれど、私が触れようとすると機器はもはや光りもしない。
コイツ、まじで人を選んでやがる!!
それでも根気よく押す練習を繰り返す。
開かない、開く、開かない、開く、開かない、開く……
開いたーーー!!
その瞬間、織田裕二バリに叫びそうになった。(周りの目もあるため自重したけれど、少なくとも織田裕二の気持ちは理解できた気がする。)(どこ共鳴しとんねん。)
おじさんは、笑顔で拍手してくれた。
にしても、私オンリーで開かずの扉って何なんよ! そんなオンリーワン求めてないから……!
ドキドキしながら迎えた金曜日。
昨日、練習した通りにボタンに触れると、すんなり反応し、解除を示すランプが緑色に……光った! 開いた!!
全くなんだったんだよ…
この一週間の苦労は……
ドアが開かないストレスで会社辞めようかと思うほど悩んだんだよ、こっちは!
しかし、よくよく考えてみると、その頃の私はまだ試用期間だった。
もしかしたら仕事に対する熱意が、まだまだ足りなかったのかもしれない……
人を選ぶ機械もさることながら、生き字引のような事務職員さんのお告げが私は今でも忘れられない。
曜日ごとの出来事が前後しているかもしれないけれど、恥ずかしながら嘘みたいな本当の話。
そして、今となってはその暗証番号すら全く覚えていない私なのであった。
他の方の記事でお見かけしたジェネレータを見て、この話題にぴったりやー! と思い早速使ってみた。検証というより、ただの実体験だけど……(番組もほとんど見たことない……オイ!)
もう自分がハプニングメーカーであることは自覚済み(当時は「明日こそ開けゴマ!」と願いながら眠りについてたなあ…)なので、こういった出来事には事欠かない。また○○説シリーズとして更新しよっかな🤔?
《おしまい》
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