駄洒落小説 『街クジラ』 #シロクマ文芸部
街クジラが溢した涙で、干上がりそうになっていた海が潤ったというニュースを、お調子者の街イルカが軽い口調で吹聴する。
「おい、知っているか? 街クジラのおかげで海が元に戻ったぞ! これでみんなで海に帰れるぞ!」
すると、海中では社長のように威張っていた街シャチが噛みついた。
「それがどうしたってんだ。ただあいつが泣いただけじゃないか」
それを聞きつけた街イカが仲裁に入る。
「喧嘩はイカンぞ!」
「確カニ! 確カニ!」
と同意する街カニ。
「それにしても、街クジラ