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ちょっとした空き時間用の仕事「テプラ作成依頼シートを作る」(知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ハック)~ 総務からはじめる、障害者雇用ノウハウ ~

はじめに(チームより)

「こどもたちのために、日本を変える。」事業開発、政策提言、文化創造の3つの軸で、こども・子育て領域の社会課題解決活動と価値創造を行う国内最大規模のNPOである「認定NPO法人フローレンス(詳しいご紹介はこちら>>)」において、総務関連チームで障害者雇用スタッフのサポートを担当しているジョブコーチ*1の和田です。自己紹介はこちら>>

知的障害・発達障害のある社員が持つ悩みに対して、本人やサポーターが今日から取り入れられる「ちょっとした、お仕事ハック」をご紹介しています。

フローレンスの障害者雇用についての視察や講演などの問い合わせは、 https://florence.or.jp/contact/ の取材・広報申込みフォームよりご連絡ください。


▼本日のお悩み
「障害のある社員の仕事をサポートしているのですが、定常業務が早めに終わった時に、お願いする仕事が無く困っています。どんな仕事を準備したらよいでしょうか。」

お仕事ハック①15分で出来ることをストックしておく

障害のある社員は、定常業務の空き時間に自分で仕事を見つけることが難しい場合があります。また「時間が空いたのですが、何をやりましょうか?」と聞かれるサポート社員も、急に仕事を探すのは大変です。

そこでおすすめしたいのは、10分から20分程度の仕事を「時間が空いたら行う作業」として洗い出し、スケジュール登録をしておくことです。そうすることで、空き時間が発生したら、障害のある社員自ら確認して、上から作業すれば良い状態をつくることができます。

「時間が空いたら行う作業」のスケジュール例

作業は「すぐには困らないけど、やってあると嬉しい作業」をリストアップしましょう。

・シュレッダー作業&シュレッダーのゴミ袋を変える作業
・領収書等への押印作業
・備品の在庫を数える
・複合機への用紙補充
・植木鉢への水やり
など、探せば他にもたくさんあるのではないでしょうか。

全く空き時間がなく、リストアップした作業が出来ない週もあるかもしれません。「いつでもいいけど、週に1度は必ずやってほしい」作業は、金曜日に必ず行う時間を設けておくと、抜け漏れを防止できます。

フローレンスの障害者雇用チームでは、毎日のお昼休憩後の13時から15分間を「空き時間用の仕事をする時間」として行い、一定以上の作業が進捗するようにしています。

お仕事ハック②後回しにしがちな仕事をルーチン化「テプラ依頼シート」を作る

後回しにしがちな仕事をルーチン化して、ちょっとした空き時間にやってもらう方法もあります。

フローレンスでは、キングジムのラベルプリンター「テプラ」を使っています。多くのスタッフにとって、テプラは年に数回使う程度で、使い慣れていない機械で1枚だけラベルシールを作る作業は効率が悪く、後回しにしてしまいがちです。

スタッフからのそんなお悩み・お困りごとから、組織全体からテプラを作成する作業を集める「テプラ作成依頼シート」を作ることにしました。決まった担当者が作業を行うことで業務効率化にもつなげることを、併せて狙いました。

「テプラ作成依頼シート」スプレッドシートに入力するだけで、翌日には納品される仕組み

依頼方法は簡単です。テプラでラベルシールを作ってもらいたいスタッフは、下記の項目を用意したスプレッドシートに、情報を入力するだけです。翌日には、障害者雇用チームのテプラ作成担当者が納品する流れになっています。

・依頼日&納品希望日
・依頼者情報(部署名や名前など)
・納品してもらいたい場所(部署の社内ポストなど)
・入力してもらいたい文字
・テプラ情報(太さ、文字の大きさ、縦横、書体など)
・備考欄

依頼者の希望の書体やサイズで仕上げて納品します

社内の多くの人にこの便利な仕組みを活用してもらうべく、このようにラベルプリンター本体に「テプラ依頼シート」があることを示して周知もすることで、少しずつ社内の認知が進み、依頼も増えています。

お仕事ハック③よく使うものをストックしておく「宛名ラベルの補充」

「よく使うものをストックしておく」ことも、ちょっとした空き時間に行う作業としておすすめです。例えば、封筒に貼る「宛名ラベルの補充」があります。

差出人としての自部署の宛名ラベルや、高頻度で郵便物を送る先は宛名ラベルを作ってストックしておけば、郵送する際、手書きをせず宛名ラベル貼るだけで済むためとても便利です。

宛名ラベルをストックしておけば、いつでも使えます

下記は、障害者雇用チームで行っている他部署の「宛名ラベルの在庫を数えて、足りない分を印刷しておく」という作業のマニュアルです。月に1度この作業を行うことで、「宛名を手書きする」作業が無くなり、作業が効率化しました。

最後に

わたしが、障害者雇用チームでサポート担当になったばかりのころ。
早めに仕事が終わったメンバーから「あと10分、何かやることありますか?」と聞かれることが多く、「10分で何をお願いしたらいいのか?」と悩んでいました。最初は、“わたし自身”の「やってもらえるとありがたい、ちょっとした仕事」をお願いしていたのですが、1回1回お願いするのは時間がかかっていました。そこで今回ご紹介した「テプラ依頼シート」などの仕組みを作り、それを全社に広げることで、組織全体の業務効率化にもつながりました。ぜひ、お試しください。

*1「ジョブコーチ」 企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう様々な支援を行う人を、企業在籍型ジョブコーチといいます。

執筆の背景

障害者雇用関連の情報は、採用・育成の事例やノウハウばかりで、採用した障害者雇用の社員に「どのような業務を、どうやってもらうのか」のノウハウが足りていません。

そこで、実務ノウハウや、障害者雇用チームの立ち上げ経緯などを公開することで、障害のある社員自身や総務担当者が、はじめの一歩を踏み出せるシリーズを立ち上げました

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