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TICAD8のニュースで、アフリカのママを想う(双子子育てストーリーNo.44) 

TICADって知っていますか?

アフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development)のことで、英語を略してTICADと呼ばれていて、1993年から始まって今回が8回目。2022年8月27・28日にチュニジアで行われています。

ニュースでちらりと聞くものの、あまりに遠いかなたのことで関心を持ちづらいかもしれません。私も前職でTICADの関連イベントを担当しこの時期はとても忙しかった記憶はあるものの、今の日常ではアフリカは遠い存在で、特段意識することなく暮らしています。

そんな私ですが、TICADのニュースをきっかけに、アフリカのママたちのことに思いをはせ、調べて、そこから考えてみたことを書いてみます。

1.妊婦や産後ママの現状

アフリカの妊婦を取り巻く状況を示す指標としてよく使われるのは、

①妊婦健診回数
②技術のある介助者による分娩
③産後ケア

です

開発途上国でもこれだけはやりましょうね、とWHOなどが提唱しているのが
・妊婦健診は最低4回は行く
・技術を持った医療従事者に出産を介助してもらう
・産後、特に24時間以内は子宮の回復、排尿や血圧など生理学的状態をモニタリングしてもらう

といったこと

実際はどうかというと、今年発表されたサブサハラに暮らす15~24歳の43,786 名の女性のデータをもとに国ごとの分析した研究では、

・4回以上妊婦健診を受けているのは55.2%
・医療従事者の分娩介助を受けたのは78.8%
・産後2ヶ月以内に産後ケアを受けたのは40%

最も貧困層に属している人は、これらのケアを受ける割合が裕福な層に比べ低いこともわかりました。

日本での
・妊婦健診はおおおそ10回くらい行く人が大半
・分娩は、医師や助産師が対応するのが当たり前
・出産直後のケアは当たり前で、「産後ケア」は退院後の生活や赤ちゃんのお世話をサポートしてもらうイメージ

とはだいぶかけ離れていることがわかります

2.もし私ががサブサハラアフリカの貧困層だったら

妊婦健診も受けられず
分娩は医療従事者に介助してもらえず
産後すぐや数カ月以内に、体の状態もチェックしてもらうこともない

そんな状況を想像してみてください

もし私がサブサハラアフリカの貧困家庭にいたとしたら
・双子とわからず、適切な管理がなされず早産や流産
・妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病が放置され、子どもの発育に影響
・出産で大量出血
・産後、傷口から感染症にかかる

つまり、双子の命、私の命はなかったかもしれないのです

毎週のように妊婦健診に通い、超音波や血液検査で状態をチェックしてもらい、安静指示や入院指示があり、医師の賢明な判断と手術で無事出産に至った私にとって、これらのアフリカの現実は、ただ、ただ、怖い。

3.何が問題なのか?

では、何が問題なのか?以下の原因があります

<医療サービスについて>
・医療機関の数:そもそも絶対数が足りない
・医療従事者の数:全く数が足りない
・医療の質:医療従事者のトレーニングや経験が不十分
・医療機器・医療資材・薬剤:必要な機会・資材・薬が足りない

<アクセスの問題>
・物理的アクセス:近くに病院がない
・経済的アクセス:病院にいくお金がない
・社会的アクセス:宗教や慣習により病院に行くことが許されない

<病院の外の環境>
・食事、栄養:
妊婦や産後ママが必要な栄養をとるための食材がない、経済的理由などで食事を十分にとることができない
・水、衛生:
水が清潔でない、不衛生なために感染症のリスクが増す

WHOなどの国際機関が今年行った母子保健に関する専門家会合によると、妊婦・産後の死亡の5大原因は出血、妊娠高血圧症候群、不適切な中絶、感染症、難産で、出血と妊娠高血圧症候群が死亡全体の50%を占めるとのこと。

やはり身近に、質の高い医療サービスを提供している病院があることが大切なことがわかります。

そして、病院以外でも食事や水・衛生を改善することも妊婦や産後ママの健康を守るうえでとても重要なことは間違いありません。

4.今すぐに、何ができるのか

問題は、これらの課題を解消するまでの道のりが果てしなく長いことです

医療従事者に研修をして、十分なスキルや経験が身につくには何年もかかる、貧しい人でも病院に行けるよう医療の無償化を提案する人もいるけれど国の財政をもっと医療に分配するなんて容易ではない、病院の施設を改善するにもお金がかかる

もっと、今すぐにできることはないの?

私はこう思えてなりません

例えば、
アフリカでも所有割合が100%を超える携帯電話を使って
・妊娠の経過や食事・衛生に関する正しい情報の共有をする
・妊婦がわからないことを質問したりお互いの悩みを共有できるサービス
・遠隔健診を提供する
(実用化と普及を目指している団体もいるようですね)

他にも、
・移動式分娩カー(無理なのかな)
・現地の医療スタッフと都心の経験ある医療従事者とをネットでつないで遠隔出産(これも無理なのかな)

箱モノや人への投資はお金も時間もかかるけれど、もっと早くサービスを届ける方法はあるように思えます。

出産を経て、アフリカのお母さんたちのことが他人事に思えない今日この頃。またいつか訪れたり、ママや赤ちゃんのための活動ができたらと思っています。




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