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ケーキ屋になった理由(わけ)その3

その2の続きになります。

社長が他界し先輩と2人で店を回す様になった。

先輩がマネージャー、自分が製造チーフとして。社長の意思を継ぎこの店の売り上げを更に伸ばす為に…

だけど好き嫌いの激しいマネージャーは機嫌を損ねると周りに当たり散らす。自分やマネージャーに媚を売れる後輩を除いて…

十数人いたスタッフもすぐに全部で6人に

それでも自分はこの店を守りたくて理不尽なマネージャーの後始末として後輩達のケアに回る様になり仕事が増えた。

いつしか業界でこの店のNo.2が店を回してると言われる様になり、有名シェフや県内のシェフ達、業者の役員たちにも知ってもらえる存在になっていた。

あるクリスマスに手伝いに来ていた菓子問屋の営業さんに「群馬でうちの次に何処が頑張ってます?」と聞いたら…

「太田市のLさんが凄い勢いで伸びてます。そこのYチーフが凄い出来る方でもうすぐこの店に追いつきそうですよ。シェフも東京の製菓学校の講師で技術が凄いんです。まだこの店が売ってますけどね。」

⁈そんな凄い店が群馬県内にあったんだ!知らなかった。群馬県トップという名にあぐらかいてる場合じゃないぞ!汗

社長が他界してから3年後。そこそこ売り上げを伸ばしてマネージャーとも仲良くやっていたある日…

スタッフの夏休みの日を決める事で意見がズレて、マネージャーは自分とNo.3の後輩を贔屓したい。自分は休みは何処でも構わないから若い子たちが取り終わってからで良いと…マネージャーは不機嫌になった

更に自分が通常の休みの日に子供をディズニーランドに連れて行くと後輩と話をしていると、「だったら会社で火曜日に行きましょう!」と言い出した。自分の予定は月曜日で予約や現地で専門学校の友人と会う約束をしていたのでずらせない。断った。

するとマネージャーは希望制と言いながら業者も巻き込んでほぼ強制的にスタッフ達に参加を求めた。

自分は会社の命令なら2日連続でも構わないから行きます。希望制であるなら不参加でと伝えると…

翌日の朝、出勤してすれ違う時にいつも通り「おはようございます!」と挨拶をしたら…「・・・💢」すれ違い様にわざと肩をぶつけて無視された。

自分の過去の経験や尊敬する社長さん達からのアドバイスで職場や知り合いに挨拶と返事を疎かにするのはただの未熟な愚か者だと考えていたので流石に腹が立った。まだ若かった自分も振り返り「オイ!今わざとぶつけたのか?俺は仕事にきてるんだぞ!喧嘩売ってんのか?」と…

その日からしばらく他の社員達に気を遣わせるほど空気がピリピリして過ごし、こんな未熟なクソガキの下で社長の作ったこの店と自分の未来は預けられない。現社長になった奥さんに相談しよう!

そう思った終業後奥さんに事の顛末を伝えたら「マネージャーだからねぇ〜。仕方ないのよね〜。…」と…・・・ダメだ…もう諦めよう。流石に飼い殺しにされるのはゴメンだ。社長ごめんなさい。独立しよう!その時に辞める事を伝えた。

その後マネージャーとは和解して元通りの仲になったけどこれ以上尊敬する社長の店が彼ら経営陣のおかげで悪くなるのには付き合えなかった。

ケーキも食べた事のないチャランポランな自由人だった自分が何の迷いも無くケーキ屋を自分で始めようとしていた。

無事に円満退職。

過去からずっといい加減だったけどこれは大事にしてた自分の決め事「男たる者、立つ鳥跡を濁さず」自分が働いてお金を頂いてた職場にプライドを持ち感謝をする。お金を頂いているのに自分の仕事を馬鹿にしているのは自分自身が馬鹿にしているところに使われていて、自分を自ら落とし、この会社からお金を盗んでるのと変わらない。そんな考えの奴が一端の男の大人になれる道理がないと。

新規一転、テナント探しと他のケーキ屋を見てみたいとアルバイト探し!…そう簡単に行かなかった…気に入ったテナントは既に契約済み、繁盛店のチーフが独立する前の腰掛けでは何処のケーキ屋も不採用…

実は辞めてすぐに向こうから唯一声のかかったケーキ屋があのクリスマスに聞いた太田市のLさん。仲介に入ってくれた仲の良い業者さんに条件を聞いたら新入社員と同じ給料。扱いも新入社員と同じ。家から30㎞車で1時間。群馬県トップの製造チーフのプライドもありお断りさせた頂きました。

店を辞めてもうすぐ3ヶ月。流石に無職じゃ腕も鈍る。気に入ったテナントも毎日不動産屋を回り探しているけど見つからない…どうしよう…・・・…何処だったら就職したい?と自問自答しすぐに答えが出た。太田市のLさん!あそこしかない!群馬一厳しいと言われているけどそこで通用したら自信になるだろ!向こうの条件をある程度飲もう!ただこちらにも生活があるので多少は融通してもらわないと。

決めたらすぐに連絡!仲介してくれた業者さんにまだ募集しているか確認。答えは面接してくれる事になった。翌日太田市に向かい面接を受けさせてもらった。

仕事は出来る様になったけど自由さが抜けない俺は、茶髪にヒゲ、ピアスにアロハでハーフパンツ。そりゃ印象良くないよね(笑)わざと評価を下げさせる作戦ですけどね!

何故なら普通を装って期待させるより第一印象の評価が良くない方が評価を上げるのが簡単になるから(笑)

Lさんの社長に面接をして頂き、条件付き8ヶ月のヘルプ採用。向こうからは延長する事はないと。仕込みについては自分で他の社員より上手に出来れば取っていいよと。チャンスは自分でモノにしなければ8ヶ月間新人扱いで終わる。給料はこちらの最低提示額を飲んで頂きました。それでも前の店の3分の1(涙)

噂の凄腕Yチーフに作業場を案内してもらい、他の社員達に挨拶。

全員自分を見る視線が厳しい!作業を見ても前の店よりスピードも綺麗さも段違いに上!特にYチーフは第一印象から正直自信に満ち溢れていて勝てる気がしなかった。

ヤバい所に来ちゃったな。だけど全部仕事奪って8ヶ月より絶対に言わないはずの期間を延長させてやると目標を決めた。

その2日後から太田市のL洋菓子店のスタッフとして第二のパティシエ生活の始まり!

ここでの仕事が今に繋がる事になります!


その4に続く



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