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ふらっと神保町読書会(第3回)- 太宰治入門編読書会 -

はじめに

ふらっと神保町の第3回読書会。
なんと今回はふらっと神保町としては、はじめての「文学」を種本にした読書会です。

レポを書くのは大学生メンバーのHanaです。
読書会コミュニティに所属しつつ、文章能力は量産型文系大学生という感じなのでどうかお手柔らかにお願いいたします...🥺

1.読書会のテーマと経緯

今回の発端はふらっとのメンバーの1人、高校生の子の、
「文学でも読書会をやりたい!」という一声。
彼女の声をもとに企画した今回の読書会。実は6/19の太宰の誕生日に合わせての企画でもあるんです。

太宰治を読んだことがないメンバーも多かったので、短編集の中から。
その中でも、太宰曰く「作家生活の出発」の『魚服記』を種本に選んでくれました。

2.生まれた会話、学び、気づき

はじめに、文学が大好きな主催者からの「魚服記」プレゼン。

主催者以外は太宰初心者という中で、太宰やその友人たちを
とてもわかりやすく、そしてユーモアあふれる形で紹介してくれました!
作家・太宰治を偲ぶ日、桜桃忌の説明から師匠の井伏鱒二への敬愛が暴走しちゃったエピソード。
また、檀一雄の「小説 太宰治」より、彼らの関係性を表す一節を抜粋し
紹介してくれました。

メンバーも思わず声を出して笑ってしまうほどの素敵なプレゼン✨
彼女の太宰愛も伝わるあっという間の20分でした!

そして発表が終わった後は、思ったことを言葉に出すTime。
事前に種本を読んで見て思ったことをざっくばらんに伝え合いました。

「一発じゃ何が書いてあるのかうまく読み取れない」という本音も。

そんな中、メンバーが注目したのが
「疼痛」
の前の空白。

たしかに、、1行不自然に空いています。
この「疼痛」というキーワード。このお話のクライマックス。

その前にあるこの空白が、読者に考える時間を与えている。
この空白、このたった一行で主人公スワに、そしてこの物語で何が起こったのか。
考えさせられる。
ぐっと作品の中に引き込まれるんですよね。
この空白がなければ、この先の展開へのドキドキ感が全く違うものになっていただろう。

そんな意見が、飛び交いました。

ざっくばらんな感想の言い合いも落ち着いたところで次に、

NHKで1998年1月12日に放送された、長部日出雄さんが解説する

『太宰治への旅2 「魚服記」の秘密』を鑑賞しました。

この番組は、「魚服記」の舞台、青森で撮影されたもの。
小説家の長部日出雄さんが時代背景の解説もまじえながらストーリーをわかりやすく解説しています。

この動画を見た後の意見交換で、メンバーの中で盛り上がったのが

「実存主義」というワード

無邪気に生活するスワの描写。そしてその後成長して、当たり前の生活に疑問を抱きはじめるスワ。

そこには、ただ父に反抗する娘というだけでなく
「世の中の不条理に抗議する若さ」を彼女がもっていることがわかります。

戦争に向かっていた日本。
今よりずっと不景気で就職先も少なかった世の中...


「生きる意味とは何だろうか...?と考える若者には彼女の反抗する様子はどのように映ったのでしょうか。

そして、この魚服記の衝撃のラストを、彼らはどのように受け止めたのでしょうか。

魚服記が、当時多くの若者の胸に刺さり、絶賛された理由がよくわかりますね。

3.総括

文学の読書会というのは、私も初めての経験だったのですが、思っていた100倍盛り上がりました。

文学を読むときは「難しいな?」とか「なんか自分には合わないな?」という感情で済ませるのではなく、その時代背景も一緒に調べ、「なぜその作品がその時代の人に刺さったのか?」というところまで考えると、新しい発見がありそうです。

彼の短編作品は難しくて、最初はなかなかページが進まないのに、
読破しても、もう一度最初のページに戻って読んでしまいますね。なぜでしょう。
さらにさらに、彼の生涯を知ると、より一層読みたくなってしまう。これは沼ですね~。
おすすめも聞いたので、少しずつ太宰沼に沈んでいきたいと思います。

4.次回読書会のご案内

<第4回読書会>

小松理虔『地方を生きる』(ちくまプリマ―新書)
開催方法:zoom
申し込みフォーム:https://forms.gle/2VmR6NhqJqanuJYj9
日時:2022/08/01(月)20:00~
参加条件:読んでこなくてもOK。本は手元に。

推奨記事:
① #05_ただ「いる」ことが許される、「ゆるく弱い居場所」の可能性をあきらめない|

② #09_観光を「だれかを受け入れる側」として捉えたときに見えてくるもの|

③ #10_地方に「都市」をもたらし、世界を開く場所としての書店のこと|

<週末読書会・神田カルチェラタン>


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