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僕が見つけたいもの

この世で一番綺麗なものってなんだろう。
世界遺産、女優、夜景...上げるとキリがない。
勿論、感性は人それぞれだ。
僕が一番綺麗だと思うものは“”である。

「広瀬すずが一番だ!」
「いやいや橋本環奈でしょ」
「結婚したけど石原さとみじゃない?」
「吉高由里子も個性的だよね」

たぶん、芸能人で考えるとキリがない。
皆美しい。けれど、好みは人それぞれだし。
まあ、芸能人はもう一般人ではないと思う。
その点、月は唯一無二の存在だと思う。
比較対象がなく自分の居場所を保持している。
土星や火星とは階級が違うのかな?
そっか、月は地球唯一の衛星だったっけ。
“唯一無二”が重要だと個人的に思った。


世界遺産も綺麗で美しい。
スペインのサグラダ・ファミリア。
アメリカのグランドキャニオン国立公園。
ペルーの空中都市マチュピチュ。
エジプトのギザのピラミッド。
どれもまだ見たことはないし、見てみたい。
全部貴重な遺産だということは知っている。

それでも、月には勝てないと思う。
だって、月は宇宙にあるもん。
スケールが違う。月は世界遺産じゃない。
辿り着くのが難しい。遠くにあるもの。
自分と距離があると、どこか神聖に思える。
“距離感”も重要な要素だと思った。


夜景も勿論、綺麗だと思う。
でも星や月があって成立するものでしょ。
夜は暗いんだから。彼らが光らないとね。
彼らが光るからこそ、黒が映えるんだよな。
星空って皆、星を見てるはずだからね。

夜景というより、星じゃないのかな。
星を見ていても、月が目に入る。
大きさもだけど、存在感がある。
地球に一番近い星だからだろうけど。
“関係性”も大切な要素なんだ。


唯一無二、距離感、関係性...
これらの要素を全て兼ね備えている人。
そんな人、果たしているのだろうか。
いたら好きになっちゃうかも。
いや、間違いなく好きになる。

好きと尊敬は紙一重。
憧れは理解から最も遠い感情、らしい。
自分との距離が遠いとしんどいのかも。
物理的にも心理的にも離れると辛いもん。

でも、月は程よくそばにいてくれる。
それに、月は飽きさせてくれない。
毎日違う表情を見せてくれるから。
新しい部分を見れることは幸せなんだ。
良い部分を見つけられる自分が嬉しいんだ。

相手を好きになるだけじゃないんだよ。
恋愛は自分を好きになる作業でもあるんだな。
なら、僕は誰かを好きになれない。
まだ、自分を愛する余裕がない。
これも言い訳になってしまうんだろうか。
そうやって月日が過ぎていく。
自分のことなのに他人事なんだね。

太陽も月も遠ざかるのは嫌だ。
あれ、なんで僕は「月」が好き?
僕の名前に「陽」が入っているからか?
太陽と月が対の関係だから?
僕を理解できる女性なんているのかな?
共感をされないから孤独に感じるのかもな。
ある意味僕はモンスターなんだろうな。

誰か、僕を見つけてくれ。
誰か、僕の良さに気づいてくれ。
誰か、僕を愛しいと思ってくれ。
もう僕は、僕は、僕は…




また一つ、綺麗なものを思いついた。
夏の夜空を彩るもの。
夏の代名詞みたいな。
そう、「花火」だ。
花火を綺麗と思える人間でよかった。
ただのうるさい光と思う可能性もあったから。
でも、しばらく花火を見ていないな。
最後に見たのは高3の冬だった気がする。

「花火好きだから見に行こうよ」
これを言う人は少し信用できない。
ちょっとだけ嘘をついてると思うから。
花火が好き、という人間はいないからだ。
花火を横で見てるその人を見たいはず。
恋愛か友情関係だろう人の顔を。表情を。

花火なんて思い出作りに消費されるだけだ。
花火より行った人との思い出が強いだろうし。
花火好きなら一人でも行けるでしょ。
周りの雑音が邪魔になるからね。
周りの雑音込みの花火を見たいくせに。
横で笑う好きな人の顔を見たいくせに。




こうなると、月が好きも嘘っぽくなる。
これは、夏目漱石にも原因がある。
「月が綺麗ですね」
彼がこの言葉に新たな意味を込めたから。
なんで、これが遠回しの告白なんだよ。
本当に月が綺麗なのを伝えたいのに。
勘違いされちゃ困るんだよな。
なんで I love you. をそう訳したのか。
もうこの世にいないから聞けない。
言葉は進化する、じゃないんだからさ。




結局、一番綺麗なものって何?
そんなものわからないんだよ。
皆がみんな、正解を持っている。
その人の正解が正解だから。
僕は正解を探す作業を放棄している。
それじゃ正解は見つからないよな。

正解を探しに行かなきゃ。
探って、話して、触れ合って。
距離を詰めて、関係性も作って。
正解を見つけるのではないのかも。
その人と過ごす時間を正解にするんだ。
正解はどこかに落ちていない。
正解は自分の中で育むものなんだ。




心から愛せる人が僕を愛してくれたら。
僕はその子と旅に行きたい。
僕が見つけた唯一無二の君と二人で。

スペインのサグラダ・ファミリア。
アメリカのグランドキャニオン国立公園。
ペルーの空中都市マチュピチュ。
エジプトのギザのピラミッド。

二人で綺麗なものを見に行きたい。
手をつないで程よい距離間で。
他愛もない感想をお互いに話して。

夜はレストランでディナーを。
その後は山道を登って高い丘へ。
星空が広がる素敵な夜景を二人で。
流れ星にお願いを、関係性も深めてね。
偶然見えた花火で盛り上がれたら最高。

たくさんのすばらしさに気づけるだろう。
でも、僕はその時に気づくのかな。
一番綺麗なものは、横にいる君だって。
たぶん、お月様は僕を笑うだろう。
そして、月は僕の耳元でこう囁く。

「月が綺麗ですねっていいなよ」




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