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先輩≧友達

 友達というものは、同じ年齢の人にしか現れない関係性だと思っていた。自分よりも年齢が上や下であると、いくら仲が良くても先輩後輩という関係性に帰属すると思っていたからだ。でも、もしかしたらそうではないこともあるかもしれない。イレギュラーなことが。

 急に電話がかかってくる。何か怒られることでもしたかなと脳内記憶さかのぼりツアーに出かけていたときに、ずっとLINEを無視してる状態になっていることに気が付いた。本当は友達とのZoomの時にうるさくないようにとLINEの通知を切っていたのだが、そのことを今の今まで忘れていた。電話の相手は先輩だった。怒られるかもと思い寝ぼけていたので電話には出るのをやめた。

 ボロが出ないように顔を洗って頭を起こしてから電話をかけた。その時は電話に出なかったけれど、すぐに折り返しがきた。先輩に怒られるようなことはなく、先輩に起こった出来事や久々に知り合いに会ったことの話を聞いていた。「なんでも”楽しそうですね”って相槌入れるんじゃあないよ!」と笑われながらツッコまれたので、少しだけびっくりした。なんか病んでた時期もあったとか言っていたけれど、話なら聞いてあげられたのにな。

 会話の終盤に、「もう先輩じゃなくて友達みたいな感じで接してよ」と言われた。僕は後輩なので仲はいいけれど、ずっと先輩と後輩という関係性でいるものなんだと思っていたから驚いた。そうはいってもと返したら、「先輩後輩という関係性は中学校で一回終わったんだからいいよ」と言われた。言われてみると確かになと思うことが多かったのと、先輩がこの論争でなかなか折れてくれなかったので、これからは友達という関係性でやっていこうと決まった。どうなっていくかはわからないけれども。

 親に風呂入れって怒られるからじゃあね~と電話が終わった。今日はありがとうとLINEが来ていたので敬語や丁寧語は使わずに「こちらこそ楽しかった、今日はありがとう」と返信した。「なんかロボットがしゃべってるみたい」と来ていたが、確かにそうだなと思った。ただの文字なのにどこか不自然というか、違和感が漂っている気がした。まあ、先輩という人種にためぐちのような口語で話したことがなかったから。そりゃ不自然になるよなとは思った。

 今までは圧倒的に先輩>友達という関係性だった。それを友達という関係性にしてと言われましても、急にスタンスを変えるのは難しい。少しずつ変化させていけるように、まずは先輩≧友達という関係性を築いていこうと思う。発する言葉がロボットにならないように。


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