2月観たもの読んだもの

『さよならテレビ』
映画。初めてユーロスペース使ったのだけど、あそこは椅子ががっくんってなるし、頭の後ろまで椅子がないタイプなので自分の気をしっかり持たねばならないと学んだ。あと、座席番号が見にくい。さよならテレビの感想はフィルマークスに存分に書いたので割愛。

バレエを、観にいきました。
セルゲイポルーニンが出ている気満々だったんだけど、出てなかった。直前にプログラムがいろいろ変わって、セルゲイを見られなかったんだけど、初めてバレエをちゃんと見たので、初めての連続だった。めちゃくちゃに跳躍するんですね。すごく優雅だった。し、面白かった。
始まる前に、オーケストラの人たちが、顔だけ出してお辞儀をするのが、新鮮で可笑しかった。

ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』上・下
書籍。ずっと読まなきゃって思ってたんだけど、友達と読んで感想を話すって約束をして集まったのでちゃんと読んだ(正直言って、会った時は途中までしか結局読めてなかった)。
要は、土地によって技術の発達の速度が様々だったのはなぜかというのを地理的条件から導き出すという話で、基本農業の話をずっとしている。歴史ってより地理で勉強したことを思い出した。世界史と地理を合わせて勉強すると、この世のあらゆる物事は密接に結びつき合って、複雑に絡んで1つの事象になっていくのがよくわかるので楽しい。
読んだ中で面白かったのは、そもそもの環境によって、その土地にできる文化が変わるという点が良かったけど、集団についてが面白かった。下巻の最初の方に、アボリジニとニューギニアの話として出てくる部分。

『アイリッシュマン』
映画。ずっと観ようと思ってたんだけど、あんまりにも長いし、Netflixだし〜〜と思っていた。
やっとみたけどやっぱり長かった。自分が、『ゴットファーザー』長すぎて1しか見てないの思い出した。

ドミニク・チェン『未来をつくる言葉』
書籍。しっとりとした手触りで、力強くどくんどくんと脈を打つような言葉たちにあふれている。ドミニク先生の、優しいトーンの声を思い出す。
明るい光が柔らかく差し込むような一冊でした。web連載の時から、娘さんとのフランス語の会話についてのエピソードがすき。
人と人のコミュニケーションとは何か、の考えが深まってきたのを感じる。面白い。

細谷巧『自己矛盾劇場』
書籍。人のふり見て我がふり直せ、な話なのですが、元々どちらかといえばメタな視線でがんじがらめになって何もできないタイプの思春期だったので、あんまり……って感じだった。
本書はあらゆる自己矛盾を挙げ、いかに自己矛盾であるかを示しまくるスタイルで、自己矛盾を一刀両断している。が、そういう自己矛盾ってもっと根深いし複雑なのでは…と思ったり、なんでも自己矛盾だからと言って批判すべきかはまた難しいな……と思った。
あと、メタな視点があることを知るのも大事だけど、その実例はそこそこにして、メタな視点の習慣化とかを、もっと丁寧に書くべきでは?とか。あと、自己矛盾を嫌う態度って冷笑的なので、あまり何も生まないかな……という気もしている。反省やフィードバック、トライアンドエラーとかが、自己矛盾を語る上で大切な気がする。

劇団あはい『どさくさ』
演劇。本多劇場で鑑賞。前日にゼミの岡室先生とドミニク先生が話題にあげていたので、急いでチケットを取って見に行った。今見に行かねば、と思ったので急いで行ったけど、正解だった。全然関係ないんだけど、多分2列斜め前に長谷先生がいた。
落語の「粗忽長屋」を演劇にして、1人が複数人を、複数人が1人を演じる演劇。能のスタイルも取っているみたい。面白かった。

ロロ『四角い2つのさみしい窓』
演劇。超、よかった。いつも書いているnoteは大体、頭の中や携帯のメモでざっくり構成を決めて、いきなりがっがっと書き出すんだけど、ひさびさに、紙に書き出して考えながら書いた。ここにあります。

しぶやらくご
ずっと落語が見たかったので、友達に声をかけて見に行った。行ってよかった! これはハマる。まず第一に面白くて、笑える。その次に、古典と新作とあって、古典は同じものを他の人ならどうやるか、みたいな違いが面白いし、新作はコントといった趣があって面白い。流派の違いとかも、もろ好みなので、今年はとにかく毎月1回は観たいな。
台所おさん『大工調べ』
柳家わさび『ガマの油売り』
立川吉笑『ヘリウム工場横裁判所』
隅田川馬石『宿屋の富』

ヨシタケシンスケ『思わず考えちゃう』
書籍。クリーム色ベースに赤いリンゴのイラストが印象的な、哲学的、みたいなことで話題になった絵本の作者さんだと思う、たぶん。
イラストベースのエッセイって感じで、日常の細々したことがプワァって書いてあってさっと読める。本当は読むつもりなかったんだけど、出先に本を忘れて、たまたま出かける前に父親のおつかいで図書館の予約本を受け取っていたので、これ読むか、と読んだ。

『東京ノート』
演劇。面白かった。というか、これが名前を聞いていたあの作品か…と思いながら観た。やっぱ舞台上で急に別々の会話を2組の人がしだすとぎょっとするので、自然な会話だぁ、と思って普段演劇の会話を聞くことがあるけど全然自然ではないですよね……ですね…。になる。
カメラオブスクラの話と、照らされたところだけが映る話と、おばさんがカメラを持っていることや、土に頭を突っ込んだダチョウの部分が、一番わたしは聞いていて面白かった。
今の時代だな、と思ったけどそれもまたわたしが観たくて見ているもの、なので、別の人は違うように受け取っただろうなと思う。フェルメールの作品が窓の方に向いていることに対する作中人物の会話のバリエーションのように、人それぞれだと思う。分かり合えない、についての本今読んでいるけど、平田オリザ作の『わかりあえないことから』は、読んでいないから読もうかなと思った。

『セナにさよならと伝えて』
後輩の、小説集。めちゃめちゃに、よかった。表題作が卒論なのだけれど、一番面白かったな……。長くたくさんかけるということは、本当にそれだけで素晴らしいのに、とても面白いし、文章が小説の佇まいをしていて、読んでいて言葉がしんしんと染み込んでくる。最近わたしは演劇か映画でフィクションを摂取することが多くて、書籍は小説でないものを読むことが増えてきたのだけれど、言葉だけで物語を受け取るってこういう素晴らしさだったよね…、と思い出した。小説が一番、心の芯にふっと手を触れるのが上手いと思うし、孤独な良さがあるなぁと思う。良くも悪くも、小説にはあなたとわたししかいなくて素敵だった。

烏丸ストロークロック『まほろばの景』
演劇。べらぼうによかった。F列だからそこそこ後ろよな〜って思って会場に行ったら、F列が一番前のタイプだった(前の座席が退けられてて省略されるパターン)。能のことを考えていたので、神楽……かぐらかぁ…ってなった。
久しぶりに不条理のことを考えた。人の行動も、わからなくて不条理なんだな、と思うシーンもあり、どうにもならないことを目の前にして、夢のようだなぁと思ったり、ものすごく怒ってみたり、諦め切れなくて納得したくなったり。やりくりする人間をまじまじとみた。
神に捧げる踊りっていうのは、やっぱなんか理由あるんだな、鬼気迫るな、と思わされた。身体性って、やっぱすごいな……。となる。唸る。水を使ったパフォーマンスも、生演奏も、よかった。

佐久間裕美子 若林恵『こんにちは未来 〜テックはいいから〜』
ポッドキャストで最近聴いてる。めちゃ面白い。個人的には雑誌の話ししてる第5回が今の所面白い。(←月半ばくらいに書いたかな)
結構進んで月末の時点で第21話まで進んでる。ルポールのドラァグレース観てても思ったけど、アメリカとか作品でめちゃめちゃ舞台として触れているので知ってることも多いはずなんだけど、ぜんぜん知らない文化がたくさんあるので、都度、おもしろいなうぐぐぐ…と聞いている。

村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』第1部、第2部
最近、村上春樹の小説が何を言わんとしているのかすんなりとわかるようになってきた、と思う。生きながらにして、何も感じられなくなることへの恐怖感が強いなというのと、激昂はしないが、社会のある面に対して強く批判てきな気持ちを抱いている、というのを強く感じる。カフカ以降を読んでいなくて、かつ、カフカを読んだのも中学生の時とかでちんぷんかんぷんだったので、最近の作品とかはどうなんだろうな、と思う。普通に、いろいろ村上春樹の評論を読みたいな、と思った。3部は間に合わず…!あとちょっとで読み終わる。

アリ・アスター『ミッドサマー』
いっちょ、みときますか!ってみたけどそこそこでした。A24の作品って観る前の期待値高いけど、観てみたら雰囲気オシャレ感強いだけだったかも……ちょっと微妙だったな……ってなることが心なしか多い。
この作品もツイートしたけど五月の蝿的な、鬱屈とした気持ちをばーんっとぶつけた、みたいなシンプルなストーリーがどんってあって、それをいかに映像で表現するかが巧みだったんだな、と思うけど、もっと複雑でも良かった…とちょっと思っちゃう。でも、トリップする時の映像めっちゃ良かったし、この監督の本気ホラーは怖くてみたくないな(つまりヘレディタリー)って思った。

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