東京レトロ
この街で僕は何を得たのだろうか。
寝ずに見た夢は
寝て見た夢と同じだった。
それは忘れたくない忘れ物になったが
探しに戻る事など許されず
愛おしさだけが残る。
いつもの道を迷う事もなく
目的地に着くようになって
何かを失った事に気付いたとしても
もう何もかもを忘れる事すら許されない。
記憶が生活を支配している。
消したいと願っても
事実、消したら生きてさえいけない。
新鮮な気持ちが好奇心と向上心と刺激を生み出す。
何も知らない頃に戻れるなら
何も知らないように生きたい。
そう思う反面
忘れたくない事も沢山あるのだ。
地下鉄から地上に出ると
眩しいほどの光に包まれた。
僕はこの街でどうやら
大切な記憶を得てしまったようだ。
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