【超短編】理想の家
柔らかいソファーに沈み込む。
妻も隣に座って他愛もない話をする。
子供たちは部屋を走り回り、追いかけっこをしている。
今いる部屋はリビングで、20畳はあろうかという広さで、とても気に入っている。
20年も安月給で休みもほとんど無く働いて、やっと理想の家で家族と共に過ごしている。
あー、これが幸せなのか。
一生、ずっとここでこうして居たいな。
私は目を閉じ、いつものようにリビングで眠りにつくのだった。
「毎日家族で来て、何時間も居座られると困るんですよ!!」
急に怒鳴られて目が覚めた。
とうとう、モデルハウスのおじさんを怒らせてしまったようだ。
理想の家に住んでいる気分を味わいたいだけなのだから、そんなに怒らなくてもいいのに。
私達は「二度と来るな!」と言われ、追い出されてしまった。
迷惑だったのなら仕方ない。
近くにもう一つモデルハウスがあったから行ってみようと思う。
サポートしてくれたらとても嬉しいです。