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東京都立大学MBA入学体験記(振り返り①修了前)

年明けに提出期限が迫っている修士論文も見通しがつきつつあるなかで、国内MBAに通った意味について考える機会が多くなりましたので、これから何回かにわけてビジネススクールでの学びの振り返りをしていきたいと思います。

私が国内MBAに通った理由は、以前、別の記事で書きましたが、3つありました。一つ目は自己成長、二つ目は探究心、三つめはキャリアです。あと数カ月で修了(卒業)という今、改めて振り返ってみると、入学前にそうだと思っていたことが、まさしくそのとおりだと思うこともあれば、少し違っていたと思うこともあるように感じます。今回はそのあたりを自身の備忘録も兼ねて、書いてみたいと思います。

 まず、自己成長に関してです。経営に関するさまざまな知識が増えたことで今まで広角90度くらいだった視覚範囲が、180度くらいに拡張された感覚があります。社内でビジネスに関する議論をする際や、ニュースや本を読む際に、それらを複眼的な視点で考えることができるようになったことで、発言の質や深みが増したのではないかと思います。実際にそういった場面で私の発言が取り入れられたり、或いは議論の流れを変えたりすることが多くなりました。

さまざまな業界や職種の同級生との、授業でのディスカッションやグループワークなどを通じた交流も、成長のための素晴らしい経験でした。もちろん仕事でも、他社の方と協働することは多々あるのですが、多かれ少なかれ、立場の違いがありますし、大学院のように完全にフラットな関係性であることはほとんどないと思います。多様で対等な同級生のなかで、自分がどのような役割を果たすことができるのか、チームのアウトプットにどのくらい貢献できるのかを知り、自分自身を相対化することは、長らく同一の日本企業で働いてきた私自身の今後の成長にとっても非常に有効であったと思います。

逆に、各科目ごとに専門家といえるほど深く学べるのかというと、そこは必ずしもそうはいえないのではないかと思います。特に社会人大学院の場合、平日夜や週末といった非常に限られた時間で授業を受け、課題をやり、時にはグループワークをおこなうことになるため、実務で即戦力と言えるまでに一つの領域を深く学ぶということはできないと思います。この点に関しては、恐らくどこの社会人MBAでも同じだと思いますが、興味をもった分野に関しては授業の内容に加えて、+αの自主学習をおこなったり、卒業後も継続的に勉強をして、実務的な経験を積み重ねていく必要があるでしょう。

 次に、探究心です。私は入学前に海外での業務経験をとおして、イノベーション創出につながり得る日本人に適した人材マネジメントを探究したいと考えたわけですが、これは修士論文で追求できたのかなと思います(まだ執筆途中ですが・・・)。いずれこちらのnoteで記事にしたいと思っていますが、ごく簡単に内容をご紹介させて頂くと、最近、実務の世界でも注目を集めている、いわゆる「探索」と「深化」の両利き経営が、現在議論されている組織レベルだけではなく、個人の行動レベルでも起こり得るという海外の先行研究を下敷きにして、日本の大企業ホワイトカラー就労者を対象とした定量調査によって、統計的にその認知的なメカニズムを解明するという内容になっています。尚、海外の先行研究では、両利き行動が高いレベルでできている「両利きの就労者」はパフォーマンスが高いことが示されていますが、こちらに関しても日本での追試をおこない、同様の結果を得ています。

構想から執筆まで1年以上の時間と労量を割いて、先行研究や自分自身と会話をしながら、一つの問題を追求していくというのは、少なくとも私は初めてでしたし、貴重な経験でした。ただし、自分が探究したいことが明確になっている場合と、いない場合とでは、修士論文の執筆に対する苦楽はかなり異なると思います。実務からの問題意識もなく、修了のために必要だから、深い関心はないけど、とりあえずテーマを決めて書くというのは恐らく、相当苦しいのではないかと思いますし、そこから得られるものも限られるでしょう。

そういった意味で私は恵まれていたかもしれません。私は自分自身も対象に含めた人材マネジメントに強い興味がありましたし、学校選びもそういった軸で選びましたので、そこは最後までブレなかったのかなと思います。

ところで実は、私は入学前にもう一つ他のテーマと少しだけ迷った経緯があります。あくまで上述したイノベーション創出につながり得る人材マネジメントに関するテーマが本命でしたが、もう一つは脱炭素に関するものでした。後者については近年、ESGやSDGsの文脈で大変注目を浴びているテーマですが、私は仕事で長らく再生可能エネルギー領域に関わっていたので、企業が脱炭素のために費やすコストと、それによる中長期的なリターンの関係性に関心がありました。ですが、これを追求する場合は戦略かファイナンスを選択することになりますし、組織行動での修士論文は書けなくなります。自分のなかではMBAで学ぶ科目のなかで、最も身近で実用性が高いのは、組織行動(人材マネジメント)であると考えていましたので、自分の心に従って前者を選択することにしました。もし後者のテーマを選んでいた場合、選ぶ大学院も変わっていたかもしれません。尚、結果として、都立大ビジネススクールの授業でも、後者の内容にあう内容を深く学べたので、その点も非常によかったと思っています。

最後にキャリアについてです。ビジネススクールとキャリアでいうと大きく2つの観点があると思います。まずはMBA取得による直接的な効果です。つまり、MBAホルダーになることで市場価値が上がるということです。この点に関しては、正直まだわかりません。最近、転職エージェントと面談をする機会があったのですが、国内企業に関しては、職種にもよりますが、少なくとも表面的には採用で優遇されるといったことは無いのかなと思います。企業との面談でもMBAについて質問されるといったことはまずないと聞きます。外資企業に関しては少なからず優遇されることがあると聞きますが、実際に選考を受けたことがないので何とも言えません。いずれにせよ市場価値という観点では、やはり実務経験がものをいう世界なので、当たり前ですが、職務経歴書をきっちり精査して自分の価値を高める&しっかり伝える必要があります。
もう一つはMBA取得による、間接的なキャリアの向上効果です。これはビジネスに関する広い知識の習得や修士論文の執筆で視座が上がり、ビジネスパーソンとしての思考や行動の質が高まることで、よりよいキャリアが得られるといったことが挙げられると思います。あとは授業で学んだことや同級生との交流から、仕事に関する興味関心が広がったり、自分自身の新たな強みに気付いたりすることで、キャリアの選択肢が拡大するということもあり得るのかなと思います。


以上、あくまで現時点で感じていることを、心のままに記載しましたので、雑駁な内容になってしまいましたが、国内MBA受験を検討している方の参考になれば幸いです。

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