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ファン・ゴッホが見た世界を追体験する体感型デジタルアート

はじめまして!
「Experience×Technology(体験×技術)」でデザイナーをしているヤギサワです。
先日、角川武蔵野ミュージアムで開催されている「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」に行ってきたのでその体験レポートをご紹介します

日本初!全身で浴びるアート没入体験
ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー

2022年6月から角川武蔵野ミュージアムで行われているファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー、会期が延長されたので先日急いで行ってきました!イマーシブアート クリエイティブディレクターとして世界中で活躍しているジャンフランコ・イアヌッツィさんが開発に関わり、壮大で幻想的なアート体験でとても楽しかったです。

アートと物語を全身で浴びる没入(イマーシブ)体験。角川武蔵野ミュージアムではグランドギャラリーにおいて、1100㎡以上の巨大空間をあますことなく映像と音楽で包み込む「体感型デジタルアート劇場」を開発しました。第1弾として2021年に開催した「浮世絵劇場from Paris」では、多くの来場者にアートに包み込まれる没入体験を楽しんでいただきました。 34台の高輝度プロジェクターを組み合わせ、すべての壁面と床面をシームレスに繋ぎ合わせた全く新しい映像体験は、映画ともVRとも違う「共有できる」特別な時間と空間を提供いたします。

 【公式サイトより抜粋】 https://kadcul.com/event/77

角川武蔵野ミュージアムに行くのは初めてで、所沢の住宅地をしばらく歩くと、急に視界が開けて隈研吾が手がけた外観がヌッと現れた時の存在感はとてつもないものでした。

角川武蔵野ミュージアムの外観

新しいアートのかたちに触れた展示たち

フォトスポット 無料エリア

まず会場に入って見えたのは一面のひまわり。壁にはゴッホの似顔絵が3体並び、フォトスペースになっていて、皆さんひまわりの花束を持って写真を撮っていました。お客さんの年齢層も全体的に若めで、「どのゴッホと撮る?」など試行錯誤しながら撮影をしていました。

フォトスポットの様子
フォトスポットの様子

私は若者の圧に負けてここは素通りしてしまいました…。

第1会場 体感型デジタルアート

まず入り口のゴッホとパシャリ

入り口のタイトルエリア

エリアの中に入ると360度に広がる映像と雄大な音楽が流れていました。
デジタルハンズアウトやリアルタイム音声ガイドが無料で用意されていたので、スマートフォンでQRコードを読み込み、持参したイヤホンを利用します。

星月夜

会場内は写真撮影が可能だったので、皆が会場内の写真を撮ったり自撮りをしたりと、様々な過ごし方をしていました。場内には椅子をはじめ、クッションやハンモックが用意されており、約30分間の映像をゆっくりと満喫することができるようになっていました。

雄大な音楽とともにゴッホの絵がレイヤーで分かれ、奥行きのある演出がゴッホの絵にさらに新しい生命を吹き込んでいるかのようで、まさに「ゴッホは世界をこう見ていたんだ」という彼と視界の共有ができたかのような感覚になり、不思議な体験となりました。

床にまで投影される映像は壁と一体になり、星月夜はまるで夜空を漂っているかのような感覚になったり、ゴッホが過ごしたフランスの風景のシーンでは、床に石畳が投影、麦畑のシーンでは一面の麦になったりなど、ガラッと会場の雰囲気が変わるのがとても面白かったです。少しの変化かもしれませんが、床の雰囲気が変わるだけで没入感が段違いだったので、色々なお仕事の場面でアイデアになりそうだと感じました!

フランスの街並み

感化された私もせっかくなのでおしゃれに撮ってもらいました。

第2会場 ファン・ゴッホの手紙 ONE-WAY LOVE LETTERS FROM VINCENT

第1会場を抜けると、“知っているようで知らないゴッホの生涯”をテーマに、年表と手紙をもとにその生涯を辿るコーナーが展示されていました。

第二会場入り口

ゴッホが書いた手紙で現存するものは819通あり、そのうち弟で画商だったテオドルス・ファン・ゴッホ(通称テオ)に宛てたものが651通、さらにそのうちテオとその妻ヨハンナ・ファン・ゴッホ=ボンゲル(ヨー)の2人に宛てたものが83通である。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Wikipediaにもある通り、ゴッホはその生涯でたくさんの手紙を送っていました。その手紙がいつ誰に送られたのか、そこに何を書いたかが年表形式でわかりやすく展示されていました。ゴッホの浮き沈みしやすくも芸術に真摯に向き合う人柄や手紙から抜粋された印象的な1文など、見ていてとても面白かったです。

印象に残った手紙のワンフレーズ

ゴッホは親日家で浮世絵を集めていたことは有名な話ですが、ゴッホが集めていたという浮世絵のコピーが展示されていて、「タンギー爺さん」のような写真が撮れるエリアも設置されていました。

ゴッホの集めた浮世絵のコピー 撮影エリア

体験するアートとは?

この体験デジタルアートを通じて、新しいアートの消費のされ方を身をもって体感した気がします。「ただ鑑賞して楽しむ」だけではなく「自分をアートの一部にして楽しむ」ことが近年の流行だな、とソーシャルメディアなどを見て感じていましたが、正直好きではありませんでした。

もともと美術館に行くのが好きで、心に留まった一枚の絵の前でゆっくりと思考したりするあの穏やかな時間が大好きだったので、5分ほどで切り替わってしまう、拡大されて油彩の良さが無くなった映像や、絵画を自分のアクセサリーのように写真撮影を繰り返し、ゴッホの生涯なんて興味なさそうな若者たちを見ていると、なんとも言えない気持ちになったのが正直な気持ちです。

ただ、アートで埋め尽くされた空間で、自分の中にアートを取り込むことができる感覚は、1m四方ほどの絵画を無言で見るだけでは味わえないものでした。絵画を楽しむことではなく、アート空間を楽しむものなのだと理解したら、とてもこの空間が好きになりました。
ゴッホの躍動するような力強い筆遣いや大胆な色使いは、360度の映像空間だからこそ表現できるのだなと感じました。

おわりに

最初は斜に構えて「ふーん」としか思っていなかった展示でしたが、「アートの体験展示」としてはとても面白かったです! 

Experience×Technologyに所属している身としては、自分からアクションを起こせる(絵画に触れる、センサー検知で映像が変わるなど)ほうが、没入感があったのかと感じ、アイデアの引き出しにいろんな体験を追加することができました!

最近は美術館に足を運ぶ機会がめっきり減ってしまっていたのですが、やはり画面越しではなく、自分の体全てを使って物事を体験することはとても大事なことだと感じたので、今後もいろんな展示に行ってまたレポートを書こうと思っています。

ここまで見ていただきありがとうございました!



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Experience×Technology(体験×技術)

面白い海外事例の紹介、今までの実績を振り返りながらの裏話、個性あふれるスタッフたちによるチャレンジ企画やインタビューなど、みなさんが楽しみながらExperience×Technologyの世界に触れていただけるコンテンツを発信していきます。




執筆者:ヤギサワ
株式会社フラッグ コミュニケーションデザイン部デザイナー
新卒からWebデザイナーを経験したのち、フラッグに入社。Webをはじめさまざまなデザイン業務に携わる。趣味は料理と猫を吸うこと。

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