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評価において大切なこと(その8)

前回の続きで、「評価者が陥りがちな心理的エラー」の後半です。
評価者が陥りがちな心理的エラーには以下の6つがあるということを前回の記事に書きました。
 1.ハロー効果
 2.寛大化傾向
 3.中心化傾向
 4.対比誤差
 5.論理的誤差
 6.期末効果
今回は、後半の3つについて解説します。

まずは「対比誤差」から。
この言葉を見ただけでは、ちょっと内容が想像つきにくいですよね。
これは、「評価者が被評価者を自分の能力や特性と対比させて評価してしまい、自分に対する評価と逆の方向に評価してしまう傾向」のことです。
たとえば、自分自身がとても几帳面だと、標準レベルより几帳面な部下を几帳面とは認めません。逆に、自分がルーズだと、普通レベルの部下を「規則正しい」と評価してしまうなどといったことが起こります。これが対比誤差です。自分を基準にするのではなく、会社としての評価基準に基づいて評価することが大切です。

次に、「論理的誤差」です。
これは、「一見、論理的に関係がありそうな項目を、推定的に評価してしまう傾向」のことです。
たとえば、
 専門知識が豊富→だから「理解力」が高いはず
 営業成績が良好→だから「積極性」が高いはず
などです。
専門知識と理解力は確かに相関はあるかもしれませんが、別々に分けて客観的に判断する必要があります。営業成績と積極性についても同じで、どちらか一方がもう一方を規定するとは限りません。
一つひとつの評価項目を事実に基づいてしっかり評価し、それを本人にフィードバックして改善や育成につなげることが大切です。

最後は、「期末効果」です。
これはわかりやすいですよね。「評価期間の終わりの頃の職務行為が評価対象の中心になってしまう傾向」のことです。
たとえば、評価対象期間が4月〜9月の6ヶ月間である場合に、5月に大きな成果をあげたAさんより、9月に同程度の成果をあげたBさんのほうを高く評価してしまうような傾向です。時間的に近いほうが印象が強いので、ついついその印象で評価してしまうというエラーです。
年末に発表される「流行語大賞」などにもよく見られる傾向ですよね。
評価の場合は、対象期間全体を見渡して、公正に評価することが求められます。

評価において大切なこと、
その8は「対比誤差、論理的誤差、期末効果に留意する」です。

以上、6つの心理的エラーについて紹介してきましたが、これを一年中覚えておく必要はありません。どこかに書き留めておいて、評価の時期になったら思い出して読み返してから評価に臨むことを、弊社ではお勧めしています。

いかがでしたでしょうか?
次回は「評価を受ける側のメンタリティー」について書いてみたいと思います。

株式会社F&Lアソシエイツ
代表取締役 大竹哲郎
https://www.fl-a.co.jp/

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