仕事に本格復帰 その2

俺の出勤時間は早い。8時30分始業のところを8時前には必ず来ていた。なぜなら駐車場が埋まる前に来たかったからだ。誰も来ていない職場で退職届を書く。「一身上の都合」とでも書いたか…。書いてやりたいことは山ほどある。どれだけ仕事の犠牲となってきたか。人事担当にメールし会ってほしいと連絡。すぐ返事があり会うことにした。
「辞めたい」そういうと相手はビックリした顔をする。「辞めるなんて言わないで」と涙を浮かべる。ちょっとした押し問答の末、最後は俺が折れた。「とりあえず」休むことにしたのだ。
40代中盤。今まで培ってきたスキルが生きるときが来ているのに辞められると組織として大打撃だという。俺もその辺は判っている。しかも我々の同年代は壊滅的にポンコツ揃いなのだ。まともな人間が一人抜け二人抜け、毎年抜けていっているのも知っていいて、俺も追随したかったのだ。
精神科に電話し診察の予約を取り、その日は帰宅することにした。
翌日、職場の上司たちに呼ばれた。人事から聞いたのだという。ここの上司はかつて別の職場で一緒になったことがある。しかも片方は同期だ。具合が悪いようには見えなかったという。まあ、この職場に来て2週間足らず。具合悪いのもあまり出してはいなかったが、異動の際に人事から体調に配慮してほしい旨、話があったようでとても気を遣ってくれていた。休むことは仕方ないという感じであった。
前の職場では、俺の後任が奮闘していた。何せ中途採用の新人なのだ。この彼には引き継ぐはずだったのに休んでしまい申し訳なく、このあととても苦労したのは言うまでもない。例のポンコツな上司は俺に見向きもしない。というより何しに来たといった風情だ。俺がいなくなった今、まあせいぜい苦労するがよい。
予約を入れといた精神科に行く。2時間待たされてようやく呼ばれた。何を話したか覚えてないがいろいろ経過を話したような気がする。マークシート方式の検査もした。診断は適応障害。鬱ではなかった。診断書を書いてもらい、翌週前出の人事担当と面談した。

つづく…。

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