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『痛快クレイジーワイフ!?』

僕の妻は正義感が強い。

その正義感のあり方は、僕から見ても真っ当だと思う。

正義感を持ち合わせるのは、とても素晴らしく、人として大事な心のピースだと思う。

僕の中にも正義感は存在するが、妻ほどではない。

なぜそう思うか?

頭を悩ませるような事案に直面した時、僕はそれに対し向き合わなかったり、スルーすることで、そのストレスを過去にするタイプの人間。

妻は違う。彼女はそういった社会の矛盾や不条理、理不尽、ストレスを見過ごせない、いや【見過ごさない】タイプの人間だ。

彼女と知り合い、お付き合いがスタート。とても明るく、料理も美味しくて、家の掃除をめっちゃやってくれる家庭的な印象にとても好感を抱いていました。

ある日、そんな彼女からの提案

『ねぇ、布団圧縮袋ないよね?買わない?あったらもっと片付けてあげられるんだけど』

ありがたい。男の一人暮らしでは今日は布団圧縮袋を買いに行こう!とはなかなかならないわけで、その提案に感謝し2人で日用品も幅広く備える近所のスーパーへ繰り出しました。

日用品があるのはお店の2階のフロア。

しばらくは広いフロアを2人で一生懸命探したのですが、かなりの品揃えのためなかなか見つけられず、通りがかった店員さんに彼女が聞いてみることに。

『あの、すいません。布団圧縮袋を探してるんですけど取り扱いありますか?』

『布団圧縮袋ですか?、、、少々お待ちください。』

『はい』

その場を後にする店員さん。推定年齢、受け答えからすると新人さんのような雰囲気を感じていましたが、まあ何かしらの結論は得られると思っていたし、他にも必要なものもあったので、店員さんを呼び止めたその場からあまり離れない距離感で残りの買い物をしていました。

10分後、先ほどの店員さんが僕と彼女の前に戻ってきました。

『どうでした?』と彼女

『え〜っと、わからないです。』

『え?』

『布団圧縮袋、わからないです。』

『は?どう言うことですか?』

『だから、あの〜布団圧縮袋があるのかないのかわかりません。』

スルーするタイプの僕はここで話が終わります。もう一度、自分で探すか、店を変えるか、ネットで頼むか、の方法に切り替えます。

ところが【見過ごさない】タイプの彼女は違います。


『わからないって何ですか?有るか無いかがわからないの?布団圧縮袋がそもそも何なのかわからないの?』

それはわかってるやろ。心の中でツッコむ僕。

『あの私、新人なんで、わからないです』

『だったら、誰か上の人に聞いてきてほしいんですけど。聞かれたんですか?』

『いえ、聞いてないです』

『は?どう言うこと?新人さんで布団圧縮袋があるかないかわからないんでしょ?だったら上の人とかに聞きますよね?それも聞いてないの?え、ちょっと待ってじゃあこの10分間あなたどこで何してたの?』

『え〜とそれは〜』

『もういいです、他の方に聞きます。』

店員さんは一礼して、そそくさとその場を離れて行きました。

『どう言うこと?意味わかんないんだけど、あるかないかわからないのに誰にも聞かず、この10分間何してたわけ?10分間ムダじゃん!ね?おかしくない?』

他の買い物できたからムダではないような。とは言わず、とりあえずレジにいるベテランさんらしき店員さんに会計をしてもらいながらもう一度、有無を聞いてみようとなった。

『お待たせしました〜、こちらのレジどうぞ〜』

『あの〜すみません、見つけられなかったんですけど布団圧縮袋ありますか?』と彼女が聞く。

『布団圧縮袋ですか?』

聞き返されたということは、やっぱり無いのか?

『ありますよ、持ってきますので少々お待ちください。』

『ありがとうございます。』

急ぎ足で陳列棚に向かってくれるベテラン店員さん。

スムーズに会計も終わり、いっぱいになった大きな買い物袋を2人で分担し家路を歩く。

『やっぱおかしいよね、あの最初の店員さん。
何しに行ってたんだろ?有るか無いかわかんなかったら上司に聞かない?自分で新人てわかってるわけだし。10分間何してたんだろ?』

『10分間探し続けてたんちゃう?』

『あの広さのお店で店員やってたら商品の位置を把握するの大変だろうけど、大体どのあたりに置いてるか想像つくんじゃ無いの?そこで有るか無いかも分からないのに10分も探す?ささっと探して無いならすぐ上の人に聞けばいいじゃん、お客さん待たしてるわけだからさ、案の定、ベテランの人に聞いたらすぐ持ってきてくれた訳だし。』

『まぁ、確かにな。』

『え、腹立たない?10分ムダだわ〜』

ちょっと気になったので聞いてみた。

『あのさ』

『うん、なに?』

『結構、詰めるよな?』

その一言でこちらの言わんとすることが彼女に伝わったようで。

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