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ダッシュで乗ったシャトルバスで思った子どもたちの機会損失ー東京オリンピック観戦記・前編ー

7月30日。東京オリンピック・女子サッカー準々決勝カナダvsブラジルが開催された宮城スタジアムに行ってきた。初めての夏季オリンピック観戦だ。サッカーのW杯は何度も行っているが、オリンピックは冬季オリンピック(平昌)しか行ったことがない。

■延期の淡い期待、と裏切られた想い

「お・も・て・な・し」のフレーズとともに、2013年に決定した2020年の東京オリンピック。たくさんの競技が見られる夏季大会になると思っていた。自国開催だし、東京在住だから。

日韓W杯の時に、巨大スポーツイベントが自国開催されるインパクトを体感したけど、今回はオリンピック。サッカーだけではない、色々な競技の選手、そのファンの人たちが一堂に介す。単純比較はできないけど、サッカーW杯とはまた違った盛り上がりを日本中が見せるんだろう。そう期待していた。

新型コロナウイルスの流行によって、1年延期となった東京オリンピック。1年延期すれば、本来のオリンピックに近い形で開催できるだろう。当時はそう思っていた。その淡い期待はあっさり裏切られる。

東京だけでなく、下記の競技・会場以外の全てが無観客となった。

自転車競技 トラック/伊豆ベロドローム
自転車競技 マウンテンバイク/伊豆MTBコース
自転車競技 ロード/富士スピードウェイ
サッカー/宮城スタジアム

1年延期した意味って……。と思ったのは私だけではないはずだ。ほぼないに等しい東京オリンピックの現地観戦のチャンス。今回友人の好意でチケットが手に入ったので、宮城スタジアムに行ってきた。

都内在住の私が、宮城県に観戦に行くのは、賛否両論あるだろう。一人暮らし、在宅勤務、ワクチン2回接種済み(7月21日)に加え、万全の感染対策をして行ったという点で否定派の方にはお許しいただきたい。

■ボランティアの方々の優しさに触れた、炎天下ダッシュ

どうしても抜けられない業務があったため、スタジアムにはキックオフ直前の17時少し前となった。本来ならスタジアムの隅々までチェックしたり、選手のアップの様子を見たりしたかったけど仕方がない。

16時30分。に利府駅を出るシャトルバスに乗ることにした。シャトルバスは無料だ。シャトルバス乗り場の場所をよく確認していなかったので、利府駅近くのボランティアの方にシャトルバスの乗り場を聞いた。

「ここから500mくらい先にありますよ」聞いた時点で16時23分。間に合わないのではないか?そう思って「タクシーに乗ろうかな」呟くとボランティアの方から「タクシーは高いよ、走れば間に合うはず。ファイト!」と言われた。これは何としても急いでシャトルバスに乗るしかない。

実際はこんな写真を撮っているくらいなので、死ぬ気ではダッシュしていない。結構頑張って走ったのは事実だけど。ちょっとだけ嘘ついてごめんなさい。

100m間隔くらいでボランティアの方がいて、声をかけてくれるのがありがった。利府駅から結構離れたシャトルバス乗り場にようやくついて、検温してバスに乗車した。

バスの乗客は結構いて、16時30分ちょうどに滑り込んで申し訳ない気持ちでいっぱい。他の方の話では、シャトルバスは空いているということだったが、私が乗ったバスは満員だった。15分ほどバスに揺られて、宮城スタジアムについた。

■子どもたちの姿を見て思ったこと

シャトルバスを降りて、スタジアムに向かう途中「オリンピックで世界中の選手たちの戦いが観られるんだよ」子どもに語りかけるお母さんがいた。

周りを見渡すと結構子どもたちの姿がある。世の中夏休みだ。

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オリンピックを生観戦することができる、と自分のことだけ考えて浮かれていたけど、本当だったらもっとたくさんの子どもたちがかけがえのない体験ができていたと思うと切なくなった。

Twitterで呟いたあとに、リプをもらってから気づいたが、競技本番だけではない。日本全国各地では、世界各国の選手たちがキャンプをしていた。地元の子どもたちとの交流会のようなイベントもあったはずだ。

何事も遅すぎるということはないが、感受性の豊かな子どもの頃の経験と大人になってからの経験では意味合いが違う。

千載一遇の自国でのオリンピック開催。無観客の判断は、多くの子どもたちの機会を奪う判断になったんじゃないかな、と少し思った。

オリンピック誘致には莫大なお金と時間と労力がかかる。安易にまたオリンピックやろう、と言えないだけに、せっかくかけたコストを還元できる何かがあって欲しい。

今回の東京オリンピックが残すレガシー(長期にわたる、特にポジティブな影響)はどんなものになるのだろう。

新型コロナウイルスの感染者数の増加は深刻だけど、もう少しやりようがあったのではないだろうか。実際にスタジアムに行くことでその想いは強くなった。



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