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7月17日(水):梅雨明けに向けた暑熱順化を②

昨日は梅雨明けに向けた熱中症予防としての暑熱順化のことに触れましたが、本日もその続きばかり。

暑さに慣れる暑熱順化ができると、汗のもとになる血漿が増えて発汗や血流量が増えることで、深部体温が下がりやすくなったり、心拍数の上昇が抑えられやすくなります。

そんな暑熱順化に向けた一般的な方法は昨日に記した通りですが、最近は暑熱順化への様々な研究が行われていて、一般的な方法のほかにも効果的なアプローチも見えてきつつあります。

とりわけ研究が進んでいるのはスポーツ科学の観点ですね。

屋外で行われるスポーツでは開催国(開催地域)の気温や湿度といった特定の条件下でベストなパフォーマンスを発揮することが求められ、そのためのコンディショニングが探られ続けているためです。

前回のサッカーW杯のカタール大会では、従来の開催時期(6月中旬~7月中旬)だと同地域の気温が40度に達することから、開催時期が11月~12月へとスライドされることになりましたが、いまだに気温の高い地域、湿度の高い環境で試合や大会が開催されることはあります。

そうしたなか、できるだけ早く暑さに順応するような方法が模索されており、先般には日経新聞で「暑熱に強いアスリート育成法」と題した記事で、その一端が紹介されていました。

■香港のバプテスト大学などのグループによる論文発表
研究では、30~60分間の温浴と高温多湿で強度の低い運動を合わせて7回実施すると、心拍数が1分間で最大6回減り、汗に含まれるミネラルの濃度も下がり、熱に順化した状態になった。

■米国の研究チーム
セ氏40度の環境で40分間の自転車型トレーニングマシンの運動をすることで、わずか3日間で順化が進み、体温や心拍数、血漿量などが変わる。

■欧州の研究チーム
サウナ、温浴によって順化を促す取り組み成果を報告。

そのほかで最近になって注目をされているのが高地トレーニング(低酸素環境)の活用でした。

酸素濃度の低い環境で練習を重ねることで、血中の酸素を運ぶヘモグロビンと血流量が増えるほか、低酸素の刺激で血管が拡張します。

そうした特性を活用して「低酸素環境でのトレーニング」と「暑熱環境でのトレーニング」を掛け合わせるアプローチが有効だとして、細かな運用の仕方を試行錯誤している段階だといいます。

ただ、アスリートではない一般生活者が高地トレーニング(低酸素環境下でのトレーニング)をしたり、暑熱環境を自在にコントロールする場を用意するのは難しいでしょう。

大事なのは方法論としての形よりも、どんな状態が起きれば暑熱順化をするか、ということへの理解だと思います。

前述したように汗をかいて血漿を増やすこと、血流を増やすこと、血管を拡張させること、これらを果たすことができるなら、必ずしも高地トレーニングをする必要はないからです。

先のような点を踏まえながら、一般生活者ができそうな暑熱順化の形を考えていくのが良いですね。

続きはまた明日に持ち越します。

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