7月31日(日):心理的安全性の本質は良好な対話
このところは企業文化に関連して遠藤功さんの新刊「『カルチャー』を経営のど真ん中に据える」を引き合いに、自分のなかでの整理も兼ねて同書の内容と関連付けたことを記しています。
一昨日は「組織風土の病は『死に至る病』」と題して、良い風土や悪い風土の特徴を示しながら、組織風土が劣化した企業に見られる事象や、そこに至る代表的なメカニズムに触れました。
そして昨日は組織風土の劣化は組織内のコミュニケーションが決定的に不足することから生じている旨に言及したと思います。
コミュニケーションの語源的な本来の意味合いは「分かち合うこと」「共有すること」であり、一方通行的な伝達ではなく「相手に伝わる」ために腐心する必要があるとの指摘でした。
このように相手に伝わることやコミュニケーションの双方向性を確保するために不可欠な要素として挙げられているのが「心理的安全性」の確保です。
心理的安全性は「率直に発言したり懸念や疑問やアイデアを話したりすることによる対人関係のリスクを、人々が安心して取れる環境のことである。」と定義されています。
双方向でのコミュニケーションをしようと思っても、要は言いたいことがストレートに言えない状態であってはそれも画餅に終わります。
組織というのは何もしなければ「言えない化」「言わない化」に陥るのが普通であるからこそ、あえて自由闊達にものが言える状態を意図してつくっていく必要性を説いています。
書籍内ではアイスの「ガリガリくん」で有名な赤木乳業の事例を挙げながら、「言える化」を進めるにあたって管理職層の「聴ける化」をセットで実践する意義を説明していました。
建前上は「積極的に発言するように」と言っておきながら、本当になにか言おうものなら上司や年長者の側が「すぐに話を被せてくる」とか、「話を最後まで聞く前に否定的な意見を浴びせてくる」、といったことは「あるある」です。
そうならないようにするには建設的な対話が成立するように「聴く側の姿勢」が大事だとの指摘は納得ですね。
その他、心理的安全性について大事な観点での補足は、単に感じよく振る舞うことや気楽さや心地良さは心理的安全性と同意ではなく、様々な観点から学ぶために建設的な対立を厭わず率直に発言することだと示唆しています。
つまり部下に嫌われないように不自然に優しくしたり、腫れ物に触るかのように部下と接することではなく、「異見」を尊重し、建設的かつ前向きな衝突を恐れず、誰もが自由にものが言える環境を整えることと説明されています。
単に波風が立つのを避けるような表面的で誤った解釈による心理的安全性ではなく、本質的な理解のもとで良好な対話ができる状態をつくっていくのが大事なのだと思います。
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