8月29日(木):町内会から考えるコミュニティ②
最近はシニア男性向けコミュニティである「メンズ・シェッド」や、温浴施設を住民の憩いの場としている青森県むつ市脇野沢の「コミュニティセントー脇野沢温泉」のことなどを取り上げた流れで昨日は自治会・町内会のことに触れましたが、本日もその続きをもう少しばかり。
先般に数日間にわたって記載をしたオーバーツーリズムの問題を解消するにも、地域の共同体における「自治力」がその鍵を握る旨を記しました。
こうした地域の自治を担うのは自治会や町内会だったりするわけですが、昨今は自治会への加入率が低下している現状もふまえ、改めて自治会・町内会の意義や役割について考えてみようと思った次第です。
そこで手に取ってみたのが書籍「町内会 ーコミュニティからみる日本近代」(玉野和志著)でした。
書籍では自治会・町内会の現状に触れつつ、改めてこれらの組織の成り立ちを振り返りながら、機能や性質といったものの説明などがなされていて、理解を深める助けになりましたね。
昨日は同書の内容に基づいて町内会の機能にフォーカスをし、聚落社会の2つの基本的機能である「生活協力」と「共同防衛」のことに触れました。
このうち、現在は生活協力の色合いは薄れているといいます。
昨日に具体例としてあげた野沢温泉村のように冬が雪深くて生活が大変な環境ではない都市部では、近隣との協力なしに日常生活がままならないケースは減っているからです。
必要な物やサービスが市場で流通し、そこでの交換によって日常生活が成り立つし、さらにはネットの普及で家に居ながらにしてできることが格段に増えましたからね。
そうなると、より重きを置かれる機能は「共同防衛」ということになるでしょう。
とりわけ昨今は地震や台風などの自然災害が頻発している状況なので、いざという時に協力し合える状況を作っておく意義は大きいと思います。
また自然の猛威以外で、現代に共同防衛の対象になりえる要素に健康があげられるんじゃないかと感じます。
コロナ禍では過剰な自粛により、外出や人との接点が減ったことで高齢者の認知症が進んでしまうなどの健康二次被害が生じたのは記憶に新しいところです。
現在は高齢者の単身世帯も増えており、孤独・孤立対策推進法も成立して、ソーシャルキャピタルとしての人とのつながりなど、そのケアが求められる状況になっています。
安心して暮らせる日々の営みを守るため、との観点でいえば、前述した点もまた共同防衛の一環と捉えることもできるでしょう。
この共同防衛は皆が参画することで得られるものであって、誰かがやってくれるだろうことを期待したり、フリーライダーばかりでは成立しないので、より多くの人が参画していくのが望ましいですね。
昔と今とでは共同防衛として守るべき対象が少しずつ移り変わりつつあるものの、コミュニティが必要である所以は普遍だと再確認した次第です。
明日もこの話題を続けます。
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