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2月9日(金):自分らしさから始まるオーセンティック・リーダーシップ

先日からは日経ビジネスの特集「エンゲージメント崩壊」を取り上げながら、それに関連したことを書き記しています。

同特集で触れられていた社員の力を引き出す3原則は「任せる(権限移譲)」「伝える(フィードバック)」「認め合う(心理的安全性)」で、いずれも社員個々に良いパフォーマンスを発揮してもらうためには大切なことだと思います。

こうした点は良いパフォーマンスを発揮するチーム作りにおいても重要になってきます。

昨日には書籍「THE CULTURE CODE―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法」(ダニエル・コイル著)から本書が説く最強のチーム像である「弱さを隠さず協力し合う」点にフォーカスをしました。

そのようなチームを作るために必要な要件として提示されているのは「安全な環境」「弱さを見せる」「共通の目標」です。

本日は、この「弱さを見せる」ことから派生してオーセンティック・リーダーシップに言及しようと思います。

振り返りになりますが、先に記した「弱さを見せる」とは自分を良く見せようと必要以上に飾り立てたり、上に立とうとしてマウントを取るようなことをせず、あえて弱さも含めたありのままの自分を見せることです。

互いに弱さとしての率直な自分を見せられるような「弱さのループ」があることで、不信や警戒、それに対する防御の姿勢を持たずに本音で向き合うことから生まれる信頼とチーム内の協力につながっていく旨が書籍内で説明されています。

この自分らしさを基軸にするリーダーシップはオーセンティック・リーダーシップと呼ばれるものです。

オーセンティックとは本物、真正、確実といった意味合いを持ちます。

オーセンティック・リーダーシップが提唱されるようになった背景は、リーダーシップをめぐる各種の研究のなかで理想のリーダーシップ像を突き詰めた研究が皆無であること、共通の特性やスキルが見出せなかったことから、演じるべきリーダー像は存在しない点がスタンダードな理解になったことが大きいでしょう。

それゆえ自分を偽らずに自分の価値観に従って発揮するリーダーシップからスタートしていくのが望ましい、との考え方です。

また当然ながらリーダーは万能ではないし、知識社会である現在では現場や専門的なことに関しては各担当者のほうがそこに精通している状態であって、リーダーがすべてを考えて決するトップダウンよりも、リーダーが自分にはないものを持つ人や、その能力を活かせる状況をつくり出すほうが有益でもあります。

そのため前述したような「弱さ」を含めて自分を偽ることなく誠実に、そして周囲へのリスペクトを持ちながらリーダーが謙虚さを示していくことが肝要だと思います。

なお昨日の「弱さを見せる」ことと同様に、オーセンティックリーダーシップについても勘違いが生じやすい面があります。

それは「自分らしさ出せばいいなら、今と変わらないままでいい」といったもので、自己正当化や過去の自分に逃げるための言い訳になってしまうのは謝った解釈です。

「自分らしさ」はあくまでも起点であって、「自分はどんな人間であるか」を見つめる習慣をもち、時間軸のなかで人として、リーダーとして成長していくことが大切になってきます。

ありのままとしての自然体の自分は周囲にどう映っているのかなど、自分を客観的に捉えることをしながら、より良いものへと変えていくことが求められます。

このような留意点をふまえながら、無理に似つかわしくないリーダーを演じるよりも、あえて弱さを隠さず自分らしさを出しつつ、自分を見つめながら時間経過とともにリーダーとしての自分を成長させていくことが大事になってくるのだと思います。

明日は「安全な環境」としての心理的安全性に触れる予定です。

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