見出し画像

【新規事業、他地域連携、サステナビリティ】三陸水産イノベーションサミット2022 DAY3 速報

11月28日から3日間、三陸を世界一水産イノベーションが起きる地にすることを目指して開催した『三陸水産イノベーションサミット2022』の最終日。DAY1、DAY2のディープなトークセッションが、DAY3でも展開されました。

山菱水産(株)坂本修朗氏。20年以上、DJとしての活動も行っている。

最終日、最初のトークセッションは、「『世界の海から旬のおいしさを食卓へ』いわきの老舗水産会社の挑戦」と題し、昭和52年創業の福島県いわき市 山菱水産(株) 総務部リーダー 坂本修朗氏がオンラインで登壇。9割が冷凍マグロを取り扱う同社はマグロだけにとどまらず、小名浜海星高校の実習船「福島丸」が獲ってきたマグロを一船買いし、その後の加工や実際の販売まで行うまぐろ祭りも開催する。

また、福島県葛尾村で始まった国内最大規模のエビの陸上養殖の中核を担う山菱水産。漁業養殖の研究開発、海外での水産資源を守る漁労育成、首都圏と東北エリアを結ぶ冷凍倉庫兼加工工場など、幅広くさまざまな取り組みを行っている。

左:(株)フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング代表 津田祐樹

「営業スタイルとして、お客さんと話をした中で、どこがボトルネックでどこに力を入れると風穴が開くかと常に考えている。社員一人一人が肩の力を抜きいろんな情報を集め初速を早めると、結果的にいろんなことに挑戦しようという社風が革新力を生み出す。さまざまな人とタッグを組み、いろんな側面からいろんなことをやっていきたい」と、話した。

左:グローバル・オーシャン・ワークス(株) 外木場晢史氏
右:(株)フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング 村上日奈子

三陸だけにとどまらず「広域連携 『鹿児島×石巻』連携で北米輸出加速!」を目指している、鹿児島県垂水市 グローバル・オーシャン・ワークス(株)業務部マネージャー 外木場晢史氏と宮城県石巻市 (株)フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング 海外事業部 兼 石巻輸出協議会 村上日奈子。鹿児島県垂水市でブリの養殖・加工・販売を行い、北米へ輸出しているグローバル・オーシャン・ワークス。一方、地域一丸となり北米輸出を目指す石巻の水産業界が今、協力し合いアメリカ市場を攻めている。

「北海道ブランドがアメリカで認知されているように、石巻や宮城も現地のアメリカ人がわかるようにブランディングづくりをし、さらにアメリカへの売り込みをしたい。もし、輸出に興味がある人がいたらご連絡いただきたい」と村上。

GOWの外木場氏は、「2035年には人口90億人突破と言われている社会で、人口増加や食糧不足、タンパク源の確保には養殖が重要になり、養殖業は今後成長産業になる。原料系で加工度の高い個食に分けられているいい商品があればご紹介いただき、みんなで日本の水産業を盛り上げていければと思う」。GOWではさらに、アメリカでの拠点拡大を目指している。

株)北三陸ファクトリー 代表取締役 下苧坪 之典氏

DAY3最後のトークセッションは、「北三陸発!地域水産業を活性化するビジネスエコシステム」と題し、岩手県洋野町(株)北三陸ファクトリー 代表取締役 下苧坪 之典氏が登壇。世界中で深刻化する海の砂漠化(磯焼け)問題に、日本唯一の『ウニ牧場』を有する岩手県洋野町から解決に取り組む。磯焼けの原因の一つは、ウニが海藻を食べ尽くしてしまうこと。これまで、磯焼け防止のためにウニの駆除が推奨され、駆除されたウニは廃棄されている。そこを北三陸ファクトリーでは、『ウニの再生養殖』と『藻場造成』により世界各地で環境に配慮した持続可能な水産業の確立を目指す。

「陸の森林よりも、水の中の海藻の方が二酸化炭素の吸収量(ブルーカーボン)が多い。藻場を造成し、二酸化炭素を排出している大手企業がブルーカーボンクレジットを購入することで、SDGsの『気候変動に具体的な対策を』にコミットできる仕組み。洋野町では住友商事と連携し、藻場造成する取り組みを行っている。ウニ牧場のエリアが国内最大規模のCo2吸収源として認められ、ブルーカーボン先進地域になった。私が中学生の時は海藻をかき分けやっと海底に辿り着いていたけど、今は何もない。行政であろうが、漁師であろうが、誰であろうが、海のことをもう一度考えたい」。その思いが、世界の海を変えていく。

(一社)フィッシャーマン・ジャパン 担い手育成事業担当 島本幸奈

DAY3第2部の「フィッシャーマン・ジャパン レポート2022」では、漁師の担い手育成事業TRITON PROJECT]を紹介。漁師の仕事について学ぶ「TRITON SCOOL」や水産業の求人情報「TRITON JOB」。本プロジェクトでは2015年のスタートからこれまで60名が漁師になり、漁師以外の水産関係者を含めると180名が水産業の世界に飛び込んだ。
担い手育成事業担当の島本幸奈は、「東北のことを全国に伝えるきっかけになればと思っている。小さなことでも動き出すと何かが変わる。それが水産業に変化が生まれる一歩になる」。東北で始まった担い手育成事業は、南伊勢や日本全国に広がりつつある。

最後に司会進行を務めた津田は、「豊かな海を未来に繋いでいくのは、国でも行政でもなく、我々一人ひとりの努力と行動がすべて。サミットに登壇した三陸常磐エリアのイノベーターは多くの波を乗り越えてきた。この地から、日本のみならず世界の海を変えていきましょう」と締め、3日間にわたり熱いトークセッションが繰り広げられた「三陸イノベーションサミット2022」は幕を閉じた。

今年も配信はAri TVの配信チームが担当してくださいました。

ご覧いただいたみなさま。ご協力いただいたみなさま。ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?