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地域資源で最高の製品を作り、北三陸を世界に発信する-サミット登壇者紹介⑩

三陸水産イノベーションサミット2021の登壇者紹介、10人目の登壇者はDAY3イノベータートークセッション⑤『水産業×地方創生』に登壇する株式会社 北三陸ファクトリー 代表取締役 下苧坪之典 氏です。

北三陸ファクトリーは岩手県の最北端の洋野町で2018年創業した水産ベンチャーで、前身となるひろの屋は2010年に創業しました。同社は『北三陸を世界に発信する』をミッションに掲げ、北三陸で獲れるキタムラサキウニ、アワビ、ワカメを国内外へ販売しています。

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下苧坪氏の家系は曽祖父の時代より水産業を営んできた水産一家です。下苧坪氏はいつかは実家を継がなくてはいけないと思いつつも、大学卒業後はカーディーラーそして生命保険に務めました。完全出来高制の保険会社での仕事に充実感ややりがいを感じていたものの、父が病になってしまったことをきっかけに洋野町にUターンしました。当時父が経営していた水産会社は非常に苦しい状況にあったため、父の会社を縮小して事業を引き継ぐ形でひろの屋を創業しました。それが2010年の5月のことでした。

そしてやっと故郷に戻り、スタート地点に経った8ヵ月後にあの震災が起きました。

『津波で町が破壊されていく姿を間近で見て正直辞めようかとも思いました。しかしそれと同時に何かをしなくてはと強い気持ちも沸き起こってきました。』

何か売れそうなものはないかと探した時、天然ワカメだけが被災を免れていたので、まずはこれを売ることから始めようと決め、首都圏でのワカメの催事販売を開始しました。

とにかく目の前の出来ることをすることから始めましたが、今後どう自社をどう地域を復興していくか悩む日々は続きました。そんな中で出会えたのが東北で同じ志を持つ仲間達です。同じ水産業に従事し、同じように被災し、それぞれの地域で悩みを抱え、しかしながら力強く復興へ突き進む仲間達の姿に、励まされ、切磋琢磨していくことで、徐々に自分がやるべきことが明確になってきました。

『自分に何が出来るのか、どうすれば北三陸を再生できるかを考え、地域資源をもう一度見直した時に、北三陸の自然と人が産み出す食材や製品は、世界の市場で高く評価されるポテンシャルを持っていると改めて感じました。そしてその食材で最高の製品を創り、その価値を世界に発信することこそが自分のミッションだと確信しました。』

そう考えた下苧坪氏は北三陸で獲れる最高品質のキタムラサキのブランディングに着手し、東京の大手仲卸や国内の高級寿司店への直接営業を開始しました。国内での販売が順調に伸びるのに伴い、台湾や香港への輸出も拡大させています。

そして『北三陸を世界に発信する』というミッション実現のために、2018年に北三陸ファクトリーを設立、2021年に新工場の竣工、食品安全マネジメントの国際認証規格「FSSC22000」「ISO22000」「JFS-C」を取得し、世界中への輸出の準備を進めています。

さらに数年がかりで研究機関とウニの養殖システムの確立を目指してきましたが、いよいよ実証段階を経て通年でウニの生産も実現しつつあります。それが実現すれば地域に通年で安定した産業を作ることが出来ます。

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『震災の翌年に、70年くらい前に撮った曽祖父達と地元の生産者の集合写真を見つけたんですよ。当時すでに香港に干しアワビを直輸出してたんです。驚きました。今より遥かにインフラは整ってないんですよ。それを見つけたとき自分も負けてられないなと思いました。自分にも同じDNAが流れているんですね。』

当セッションでは、大きな困難にも負けずに地方から世界を見据える下苧坪氏の、これまでの苦労や地域への思い、そして世界展開への情熱などを聞いていきたいと思います。

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■登壇情報
DAY3 10/23(土)18:05~19:05
三陸水産イノベータートークセッション⑤『水産業×地方創生』
登壇者①:㈱ヤマナカ 代表取締役 髙田慎司 氏
登壇者➁:㈱北三陸ファクトリー 代表取締役 下苧坪之典 氏


■株式会社 北三陸ファクトリー
https://kitasanrikufactory.co.jp/

■三陸水産イノベーションサミット2021
https://sanrikusuisan-innovation.go.jp/summit/

■視聴申込み
https://forms.gle/zemPDwewS6QAHpj26

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