スポンジ?こいつ動くぞ!1.1
先日、投稿した「スポンジ?こいつ動くぞ!」ですが、記事を作成するために色々と海綿とスポンジについて調べていると、天然スポンジが日本でも販売されていることを知りました。しかも、それなりに安価であったことから、これを利用すれば自宅で海綿動物の観察ができるのではないかと考えたのが、今回の記事になります。
密林で海綿探し
上記リンクの記事を書き終えたのち、早速Amazonで天然スポンジを探してみました。古代ギリシャでは飾りや装飾品としても使われていたようなのですが、現在では「肌に優しい赤ちゃん用」や「メイク用」に用途が限られているようです。当初は、天然スポンジを顕微鏡で観察して、海綿動物の体の構造を記録するつもりでしたが、いつのまにか「天然スポンジと合成樹脂のスポンジの違いは何か?」ということを調べていました。
さわった感触
Amazonで「赤ちゃん用」「化粧用」「合成樹脂」の3種類のスポンジを購入しました。実際に触ってみた感想としては、「赤ちゃん用はフワフワでとても柔らかい」「化粧用は赤ちゃん用に比べフワフワ感がなく硬い」「合成樹脂はゴワゴワで硬い」です。合成樹脂の方はそもそも用途が掃除用なので比較するのは適切でないかもしれませんが、多孔構造になっており、内部に水を含みやすくなっていることは同じはずです。顕微鏡で感触の違いを探っていました。
顕微鏡で見てみたら
携帯電話(iPhone12)の接写、実体顕微鏡(4倍)、生物顕微鏡(40倍)で繊維の様子を観察してみました。本来は、海綿動物の体内が多孔構造になっていることを確認するだけでしたが、いつの間にか繊維の太さを注目していました。
生物顕微鏡の写真からわかることは、「合成樹脂のスポンジは繊維が太く、網目が均一」「天然のスポンジは繊維が細く、網目が不均等」「赤ちゃん用のスポンジの方がメイク用に比べて網目が大きい」です。ちゃんと長さを測定したわけではないのですが、ここから触った感触の「フワフワ」と「ゴワゴワ」の違いが推測できます。合成樹脂のスポンジは繊維が太いため形が崩れにくく、硬く感じるのではないかと考えられます。一方、天然のスポンジは繊維が細いため、柔らかく感じるのだと考えられます。また、赤ちゃん用のスポンジは、網目が大きかったことから、より形が変わりやすくなっており、より柔らかく感じるのだと思われます。
自由研究になる!?
天然スポンジを購入したり、研究用の顕微鏡を占領してスポンジの切れ端を観察したりしているのをみた生徒が「なんか自由研究はじめたの?」と聞いてきました。個人的には遊んでいるつもりだったのですが、言われてみれば自由研究になりそうですね。ただ、これを自由研究にするのでしたら、もう少し客観的な測定をする必要があります。たとえば、スポンジに加える力を測定して柔らかさを数値で示す、同じ体積のスポンジをビーカーに入れた水につけて減少した量を測る、スポンジの繊維の太さをはかるなどです。「硬い」とか「肌に優しい」など主観的な言い方だけでは研究にはなりません。数値などの客観的な基準が必要です。
スポンジ以外のネタは?
バイオミメティクスという言葉をご存知でしょうか?バイオミメティクスは生物の仕組みや体の構造を参考に、様々な問題解決を行う技術兼学問です。簡単にいうと、生物の特徴を研究して仕組みを理解し、それを人間が使う道具の技術として利用するということです。例として、新幹線の先頭車両が鳥のくちばしのようになっていることがあげられます。これは、川に飛び込んで魚を捕まえるカワセミを真似ています。カワセミは高速で水に飛び込みますが、このときにあがる水しぶきはとても少ないです。これを、トンネルという空気が詰まった空間に高速で進入する新幹線に応用し、騒音を減らすことに成功しています。
以下のサイトを参考にするとスーパーマーケットに売られている野菜や魚からヒントを得て作られた製品がたくさんあることがわかります。もとになった生物と開発された製品をそれぞれ顕微鏡で観察することによって、生物だけでなくものづくりへの理解を促進することができるのではないかと考えています。私も気がついたら色々みて紹介してみようと思います。
https://lab-brains.as-1.co.jp/serialization/scientist-column/2022/12/35901/
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