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スケッチとイラスト

実は、今年の初めからブログを始めるべく準備をしておりました。しかし、他のSNSに載せているものとちょっと違ったものを出さないと面白くないと思いほったらかしにしていたら、お盆を過ぎてしまいました。私が行っている寄生虫の研究は個人で行なっているもので、論文などを発表しても大学や研究機関のようなプレスリリースはされていません。ただ、知り合いから「せっかく面白いことをしているのだから、色々と発信してみては?」と提案されたのが、「さかなとムシの研究所」としてアカウントを作ったきっかけです。とは言っても、論文を書く時間が十分にとれなかったり、査読が返ってこなかったりで、研究成果を紹介するでもなく、漁港とか魚の話しかできていませんが…。

発信を薦めてきた知人からは、いつも食べている魚に寄生しているのに和名(日本語の名前)もついていないせいで知られていない寄生虫を、身近に感じてもらう手段も考えてみることも提案されました。私の寄生虫の話を聞いていると面白いらしいのですが、文字にされると全くわからなくなるらしいです。そんな時に、記載論文に載せるスケッチに色をつけてイラストにして、アクリルキーホルダーにでもしてみようと思い、とりあえずやってみました。
最初は、スケッチに色をぬるだけだと思っていたのですが、改めて寄生虫と向き合うきっかけになりました。というのも、スケッチは寄生虫(生物)の体の構造を示した図で、イラストはその生物が見えたものを描いた絵になります。具体的に違いをあげれば、スケッチは陰影をつけてたらいけませんが、イラストは陰影をつけないと形がはっきりしません。スケッチは体の隅々まで観察して構造を正確にかかなければなりませんが、イラストはどう見えたかが大切です。イラストを描きながら、標本を見直したり、論文を読んで体の構造を改めて確認したりすることになりました。
そんなイラストを描く時に、改めて感じた寄生虫について紹介する場所としてほったらかしにしていたブログを利用することにしました。

最初にイラストのモデルにしたMenziesia sebastodisの染色標本の顕微鏡写真です。寄生虫のほとんどが色はついていません。写真の寄生虫は赤色に染めています。

ちなみに、イラストにした寄生虫の条件は、私の手元に状態のいい標本もしくは写真があることに加えて、見た目がよいかというところです。その条件にあった寄生虫が、Menziesia sebastodisという単生類の仲間です。この単生類のどこが見栄えがよいのかと言えば、丸っぽいところでしょうか。私の手元にある単生類の標本の多くがやじりのような鋭い形をしているのですが、このMenziesia sebastodisは体の前方にある1対の吸盤が耳のように見えるので、“ちいかわ”のキャラクターみたいな感じになってませんかね?

単生類は扁形動物とよばれる動物のグループに属しているのですが、体の構造が「生殖器官(オスとメス両方)」「消化器官」「宿主にはりつく吸盤」くらいしかありません。しかも、大半が2,3mmくらいの大きさで中には1mmにみたないものいます。つまり、小さな体のわずかな違いを探して種類を分けているのですが、そのせいで学名がよく変わります

Menziesia sebastodisについては、ブログの方でご覧ください。


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