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車で話す


2023年5月4日(木)朝の6:00になりました。

格安航空の直角の椅子に耐えながら、東京に降り立ちました。

どうも、高倉大希です。




わたしたちはよく「食事」を名目に、人と会って話します。

「いっしょにランチでもどうですか?」

「週末、飲みに行きませんか?」


食事をしながらのコミュニケーションは、とても有意義です。

食事という「ほかのやるべきこと」があるおかげで、会話にリズムが生まれます。


自分でいうのもおかしいけど、ひとりでご飯を食べてておいしいことないです。ひとりで野菜を食べているときは本当にさみしい。やっぱり家族、好きな人といっしょのほうがいい。二人っきり、まずはふたりになること。きれいな言葉を使いあうこと、きれいなことに感動すること、ふたりで声をそろえて感動してください。

全国こども電話相談室「Q.好きな人に告白する言葉を教えて」より


コミュニケーションにおいて、「食事」以上によいシチュエーションがないのかというと、そんなことはありません。

ベストな環境は、間違いなく「車」です。


乗車人数は、ふたり。

運転席と助手席に、ひとりずつ。

これが、あらゆるシチュエーションの中で、第1位に輝きます。


社会人になったばかりのころに、先輩と話をしたこと。

ひさしぶりに会った友人と、近況を報告しあったこと。

職場の後輩と、くだらない冗談を言いあったこと。


車の中で話したことは、なぜだかとても印象に残っています。


思春期の頃、人との会話を通して最も僕が快楽を感じるのは、知らないことに気付けた瞬間であり、誰かから新しい価値観や視点を与えられる瞬間だった。

又吉直樹(2023)「月と散文」KADOKAWA


車は「ほかのやるべきこと」の具合が、ちょうどよいのだろうなと思います。


壁に囲まれたひとつの空間に、ふたりだけしか居ないので、まわりに気をつかう必要がありません。

お互いがおなじ方向を向いているので、目線を気にする必要もありません。

運転手は運転に集中しているわけですから、表情やジェスチャーもほとんど影響することがありません。


要するに、車の中でのコミュニケーションは、言葉に集中することができるのです。


僕は、正しく傷つくべきだった。本当にやり過ごしてしまった。僕は、深く傷ついてしまった、気も狂わんばかりに。でも、だから、それを見て見ぬふりをした。自分自身に耳を傾けなかった。だから、僕は音を失ってしまった。永遠に。

映画『ドライブ・マイ・カー』家福悠介の台詞より


今日も、明日も、明後日も。

毎朝6:00に、運転しています。

助手席でお読みください。





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