N°06 ミモザの似合う女性にまなぶ、真の国際感覚とは
去る 3月8日は[Festa della Donna]でした。
イタリアでは女性にミモザを贈って日頃の感謝を伝える日で、わたしは伊友からミモザをもらったのをきっかけに、ミモザが一番好きな花になりました。この時期はイタリアにいられないことが多いのですが、今年も伊友からメッセージとミモザの写真をもらい、とっても嬉しい気持ちになりました。
そしてちょうどこの日、仕事の関係でお知り合いになったとある女性とランチをして、彼女の国際経験豊かな半生や貴重なお話をたっぷりお伺いすることができました。自分の頭を整理するためにも、彼女のお話と自分の考えたことをあわせて記したいと思います。
母国語の日本語とネイティブに近い英語を武器に、
アメリカで異業種を渡り歩いた女性
70年代まだ留学などの環境がいまほど整っていない時代、アメリカの大学に留学した彼女。卒業後もアメリカで仕事をし、ネイティブ並みに話せる英語に加えて母国語の日本語を生かし、異業種への転職も経験したそうです。トータル 30年以上アメリカで働いたのち帰福し、現在は国際的なプロジェクトに尽力されています。
言語習得には、まず発音
アメリカではビジネス上、英語の発音がネイティブ並みでないと説得力がなく、聞く耳を持ってもらえないそう。まず聞いてもらうためには、語彙力よりも発音が大切なのだそうです。
わたしもイタリア語習得において意識してシャドーイングするようにしています。聞いて話して、正しいリズムや発音を身に付けることがやはり重要で、ひいては近道のようです。
[真の国際感覚]とは
[外国語が話せる][海外に住んだことがある]だけで真の国際感覚が身に付くわけではないという彼女。それはわたし自身痛感していて、真の国際感覚とは、彼女のようにビジネスで現地のひとと対等に渡り合ったり、現地のコミュニティに溶け込んでこそ身に付く、肌感覚のようなものだと思います。
自身のことに置き換えると、わたしは日本とイタリアを行き来しているとはいえ、イタリア人と仕事をしているわけではなく、コミュニティも限定的です。お話を伺いながら、自身の中途半端な現状に唸りそうになってしまいました。
ビジネス上の相違
ビジネス上、アメリカと日本では違いがあまりに多く、日本には独自ルールがあったりもして、国際基準をもっと意識すべきということ。それから最近大企業でこそようやく賃上げの傾向にありますが、日本はまだまだ賃金が安すぎるとのこと。
私見ですが、日本の低賃金は、自分達の仕事に自信を持てていないことの表れではないでしょうか。わたし自身道半ばなので、自信の持てる仕事を積み重ねて、自分の価値を高めていかなければと思います。
福岡はグローバル都市にはなれない
帰福後、福岡のグローバル化に尽力してきた彼女でしたが、結局はさじを投げてしまったそうです。彼女のパワーを持ってしてもグローバルにはなれなかった福岡。福岡に彼女の国際経験を受け止めるだけの器がなかったということだと思います。なんともったいない。
わたしも福岡は、そして日本はいつまで経っても鎖国のようだと感じていました。海だけでなく見えない壁が立ちはだかって、本当の意味では決して世界に開かれていないと。[グローバル化したい]と言う一方で[楽に仲間内だけでやっていたい]という反作用が働いているように思います。グローバル化しないことが必ずしも悪いとは思いません。しかし特に福岡は、京都のような歴史的な街並みや白川郷のような田舎の原風景が残っているわけでもないので、どっちつかずだと感じてしまうのです。
若いひとにはもっと海外に挑戦してほしい
彼女が最後におっしゃっていた言葉です。世界とつながるさまざまなツールが発達した昨今ですが、やっぱり若いひとに世界を見るために一歩踏み出してほしいと。
わたしも日本とイタリアを比べて、日本はまだまだ古い価値観に縛られていると歯痒く感じることが多々ありますが、わたしたちや若いひとたちが、世界のひとと触れ合って世界を知ることこそが、そんな世の中を変える一助になるのではと思います。
彼女のお話を伺っていると、圧倒され、なるほどと思うのと同時に、自分の痛いところを突かれているようで胸がいっぱいになり、最後にはもう何も言えなくなってしまいました。
彼女は唯一無二で豊富な国際経験に裏付けられて、凛として、自信に溢れていました。いまのわたしはとてもじゃないけど、自分のことをあんなに自信を持って話せないなぁ。
彼女はまさにミモザの似合う女性、ミモザにふさわしい女性でした。
旅に役立つイタリア語フレーズ
Lei è Maria. Ha un lavoro internazionale.
(レイ エ マリア. ア ウン ラヴォーロ インテルナツィオナーレ.)
彼女はマリアです。彼女は国際的な仕事をしています。
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