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日本文学で学ぶイタリア語:人間失格9

こんにちは Minori です。
現在,朝7時。
こちらはまたまた,予告なしの突然の
断水中でございます。
朝起きて,顔洗おうとしたら,水が出ない😭
うちだけなのか,建物全部なのか,
はたまた,ここ地域全体なのかも分からない。
周りは静か。誰も騒いでないし,まったく
状況が分かりません。

こういうときだよね,
日本に戻りたくなるのは …😩

ヴァレいわく,水道事業が民間に
委託されてしまったせいだと。
小池都知事は,水道民営化を
推進しているそうですね。
こんな大事なこと,都知事選の
争点にまったく上りませんでしたね。
こういうことって,知らないうちに,
どんどん決まってくんですよ 😔
都民の皆さま,ウォッチしてないと,
ですよ‼️

では,再び水が出るまで待ちながら,
記事を書いていこうと思います。

日本文学で学ぶイタリア語。
カタツムリのごとく,ゆっくりとした
進み具合でございますが,
9回目の今回は,《はしがき》の
3枚目の写真の描写部分に入ります。

もう一葉の写真は、最も奇怪なものである。まるでもう、としの頃がわからない。頭はいくぶん白髪のようである。それが、ひどく汚い部屋(部屋の壁が三箇所ほど崩れ落ちているのが、その写真にハッキリ写っている)の片隅で、小さい火鉢に両手をかざし、こんどは笑っていない。どんな表情も無い。謂わば、坐って火鉢に両手をかざしながら、自然に死んでいるような、まことにいまわしい、不吉なにおいのする写真であった。奇怪なのは、それだけでない。その写真には、わりに顔が大きく写っていたので、私は、つくづくその顔の構造を調べる事が出来たのであるが、額は平凡、額の皺も平凡、眉も平凡、眼も平凡、鼻も口も顎あごも、ああ、この顔には表情が無いばかりか、印象さえ無い。特徴が無いのだ。たとえば、私がこの写真を見て、眼をつぶる。既に私はこの顔を忘れている。部屋の壁や、小さい火鉢は思い出す事が出来るけれども、その部屋の主人公の顔の印象は、すっと霧消して、どうしても、何としても思い出せない。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。眼をひらく。あ、こんな顔だったのか、思い出した、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、眼をひらいてその写真を再び見ても、思い出せない。そうして、ただもう不愉快、イライラして、つい眼をそむけたくなる。
 所謂いわゆる「死相」というものにだって、もっと何か表情なり印象なりがあるものだろうに、人間のからだに駄馬の首でもくっつけたなら、こんな感じのものになるであろうか、とにかく、どこという事なく、見る者をして、ぞっとさせ、いやな気持にさせるのだ。私はこれまで、こんな不思議な男の顔を見た事が、やはり、いちども無かった。

人間失格《はしがき》より

今回は,真ん中あたりまで行ければ
いいかなと思っております。
では,1文ずつ見ていきましょう。

もう一葉の写真は,最も奇怪なものである。
La terza fotografia è la più strana di tutte.

原文は「もう一葉の写真は」となっていますが,
イタリア語翻訳文は la terza fotografia と
なっています。

la più strana di tutte

相対最上級。
他と比べて「〜の中で一番〜だ」を
表現します。簡単におさらいです。

《相対最上級》
定冠詞 + più + 形容詞 + di / tra 〇〇
〇〇の中で一番 [形容詞]だ

定冠詞,形容詞ともに,主語の性・数に
合わせます。

Franco è il più alto della classe.
フランコはクラスで一番背が高い。

主語が Franco で,男性単数なので,
il più alto となります。

これが女性単数名詞 Franca なら…。

Franca è la più alta della classe.
フランカはクラスで一番背が高い。

となります。
ragazzo 「男の子」などの名詞を
いれるパターンもあります。

Franco è il ragazzo più alto della classe.
フランコはクラスで最も背が高い男の子だ。
Franca è la ragazza più alta della classe.
フランカはクラスで最も背が高い女の子だ。

最上級って,比較級とごっちゃに
なっちゃうんですよね,いつも。
名詞と名詞を比較する《比較級》の
構文はこちら。

《比較級》
A più + 形容詞 + di B
A はBより [形容詞] だ。

Franco è più alto di Giovanni.
フランコはジョバンニより背が高い。
Franca è più alta di Giovanni.
フランカはジョバンニより背が高い。

まるでもう,としの頃がわからない。頭はいくぶん白髪のようである。
Non si riesce a indovinarne l’età. Nei capelli ha già diversi fili bianchi.

indovinare[他]
直感的に当てる,推測する

「当ててみ!」とよく言いますが,この
indovinare を使います。

Indovina chi viene a cena stasera!
今夜の夕食に誰が来るか当ててごらん!
Ho una sorpresa per te. Indovina cosa è!
君にサプライズがあるんだ。何か当ててみて!

Non si riesce a indovinarne l’età.
まるでもう,としの頃がわからない

ne などの代名詞は,名詞の繰り返しを
避けるために使われるものですが,
強調させるために,ここは,代名詞 ne と
名詞 l'età をあえて重複させる形が
使われています。

Nei capelli ha già diversi fili bianchi.
頭はいくぶん白髪のようである。

形容詞 diverso
〜と違う,〜と異なる という意味ですが,
ここでは複数名詞をともなって
「いくつかの」「いくらかの」という
意味で使われています。

Nella biblioteca ci sono diversi libri di storia antica.
図書館には古代史に関する本がいくつかあります。
Durante il viaggio abbiamo visitato diversi paesi europei.
旅行中に私たちはいくつかのヨーロッパの国を訪れました。
Ho visto diversi film interessanti al festival.
そのフェスティバルで興味深い映画を何本も見ました。
Nel giardino crescono diverse varietà di fiori.
庭にはいくつかの種類の花が育っています。

「いくつかの」「いくらかの」といえば,
alcuniqualche が思い浮かびますが,
この2つは,どちらかというと,「少量」を
表すことが多いとのこと。
一方,diversi は,文脈によっては「かなりの数」
という意味合いを持つこともあるとか。
ヴァレに確認してみました。

👧 Ci sono alcuni libri. っていうと,
      何冊ぐらいの本を想像する?
👱‍♂️ そうねえ,3冊とか4冊とか5冊?
      とにかく,そんなに多くない数だね。
👧 じゃ,Ci sono diversi libri. は?
👱‍♂️ もっと多い数を想像するよ。
       10冊とか20冊もあり得る。
👧 やっぱし。

また,こんな記述も見つけました。

diverso は,一般に名詞(複数形),また集合名詞の前に置かれるとき,「数・量の多さ」のニュアンスが強く,後に置かれるとき,種類の多様性を示唆する。

日本語でもニュアンス違いますよね。

① イタリア旅行中に,いくつかの古い街を訪れた。
② イタリア旅行中に,様々な古い街を訪れた。

①は,《数》に焦点を当てていて,
②では《種類》に焦点を当てています。
diverso を置く位置で,その違いが
出せるということです。

Alla festa c'erano diverse persone che conoscevo.
パーティーには知人が数人いた。
Ho incontrato persone diverse durante il viaggio.
旅の間に,様々な人に出会った。

Ho letto diversi articoli sulla tecnologia.
テクノロジーに関する記事をいくつか読んだ。
Abbiamo provato vini diversi alla degustazione.
テイスティングで様々な種類のワインを試飲した。

それが,ひどく汚い部屋(部屋の壁が三箇所ほど崩れ落ちているのが,その写真にハッキリ写っている)の片隅で,小さい火鉢に両手をかざし,こんどは笑っていないーどんな表情も無い。
Se ne sta in un angolo di una stanza squallida (si vede chiaramente che i muri sono scrostati in tre punti), con le mani protese al di sopra di un piccolo braciere, e qui non sorride.

starsene じっとしている
squallido[形]わびしい,惨めな,悲惨な
in un angolo di una stanza squallida
みじめな部屋の片隅で

i muri sono scrostati in tre punti
壁は三箇所剥がれている

scrostati は,他動詞 scrostare 剥がす
の過去分詞。動詞の過去分詞を形容詞
として用いています。
特に,《動作の結果としての状態》を
表現する際に,用いられます。
形容詞ですからね,修飾する名詞の
性・数と一致させます。

La porta è aperta.
ドアが空いている。
動詞「aprire(開ける)」の過去分詞
aperta」を使って、「ドアが開いている」
という状態を示します。

Le finestre sono rotte.
動詞「rompere(壊す)」の過去分詞
rotte」を使って、「窓が壊れている」
という状態を示します。

Il cibo bruciato è cancerogeno?
焦げた食べ物に発がん性があるか?
動詞「bruciare(燃やす)」の
過去分詞「bruciato」を使って、
「焦げている」という状態を示します。

過去分詞が形容詞として使われることで、
《動作の結果としてのものの状態》を
表現しています。

余談ですが …。

男性名詞 muro の複数形 muri 。
私の感覚からすると,壁ってつながってるんで,
部屋の壁は全体で「ひとつ」と捉えたくなる。
でも,ここは,muri と複数形を使っている。
なんで複数形なんだろう❓️と調べました。

イタリア人は,壁を「面」と捉えるそうです。
したがって,一般的に部屋には前面の壁,
後面の壁,左右の壁の4つの壁(面)が
あるということになります。

i muri sono scrostati in tre punti は,
部屋の壁全体のうちの3箇所が剥がれて
いるということを表現しています。

また muro ,男性名詞ですから,複数形は muri
ですが,古い建物や都市を囲む「城壁」や
「城塞」を指す際には,女性複数形の
le mura が用いられます。le mure じゃなくて,
le mura です。le mure は文学や詩で
使われることもあるそうですが,古い城壁や
都市の壁は le mura が用いられています。

Starsene con le mani protese al di sopra di un piccolo braciere
小さい火鉢に両手をかざしてじっとしてる。

直訳すると,「小さい火鉢に差し出された
手を伴ってじっとしている」ですが,
この前置詞 con は,名詞や形容詞と一緒に
使われることで、主語の行動や状態に伴う
状況《付帯状況》を表します。
この場合、「con le mani protese」
「手を差し出している」という,
状態や動作を示しており、その状態を
伴っていることを表現しています。
他にもこんな表現があります。

parlare con voce alta
大声で話す
con le lacrime agli occhi
目に涙を浮かべて
con le mani in tasca
ポケットに手を突っ込んで

なかなか出てこないです,
この con の表現。

はい,本日はここまででございます。
現在,午前10時をまわりましたが,
まだ水が出ません (T_T)
先ほど,近くのスーパーに水を
買いに行ったんですが,かなりの人が
水を買いに来ていました。
と,いうことは,この辺り一帯が
断水ということでしょうか 😭
でも,みんな慌てることなく,
淡々と過ごしているようで,
特に,大騒ぎしている人はいません。
はぁ〜( ´Д`)=3

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イタリア語講師歴30年。
日本人が陥りやすいミスを熟知
しております。
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あまり話せない方もご安心ください。
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