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グランシャトーへいらっしゃい♩

「京橋は〜♪」と大阪人に問い掛けてみてください。

「ええとこだっせ〜♪」と返してくれます。

「グランシャトーがおまっせ♫」とハモりましょう。

これが歌えなきゃ、大阪の人間としてはもぐりです。

グランシャトー。大阪のDEEPタウン、歓楽街・京橋のアイコン的存在のレジャービルである。JR大阪環状線からもその姿は見える。昭和感コテコテ、もはや前世紀の遺物、もとい大阪を代表する歴史遺産である。

かつてはパチンコ・スロット、キャバレー、中華料理店、カラオケ、そして最上階のサウナという節操のない構成のビルであった。昨今はだいぶ廃れてしまったが、サウナはまだ健在だ。

ちなみに冒頭のやりとりは、大阪ローカルTV局の深夜放送のCMで流れていたメロディーである。YouTubeに映像があるので興味のある方はご覧いただきたい(←クリックするとリンクに飛びます)。

僕はこのCMを見て、子ども心に「いつか、グランシャトー行かなあかんわ」と胸に誓った。

実際に僕がグランシャトーに行ったのは30歳を過ぎてからであった。当時、立ち飲みにはまっており、京橋の立ち飲み屋を何軒か梯子酒をした後、酔い覚ましにとこのサウナに入った(飲酒後のサウナは危険です!)。

昨今、サウナブームで「整う」などと言われているが、大阪のサウニストであるならば、サウナ・グランシャトーは絶対外せない場所だ。

値段も手頃だし、タオルから髭剃りまで一式揃っているので至れり尽くせりの大浴場。施設は昭和感あふれる「派手こそ美徳!」という内装であるが、メンテナンスが行き届いており、清潔で問題はない。ただし、開け放した窓からは隣を走る京阪電車が丸見えなのはいかがなものか?こっちも丸見えかも??

肝心のサウナも広々としており、哀愁漂う、うらぶれた中年オヤジたちが列をなし、みな黙々と汗を流していた。

ああ、僕もついに仲間入りかと、しみじみとした気持ちになった。

いや、僕も「大人になった」と言うべきなのだろう。

その時、僕は不思議と自分が大人の仲間入りをしたという実感を感じとることができていた。

僕は後、数年で50歳。「知命の歳」を迎えるのであるが日々、己の人間的な未熟さを嘆いている。40歳は「不惑」と言うが、僕は惑い悩みの中でなんとか答えを見つけ、折り合いをつけている。僕が若かりし頃は、50歳の男性はとても大人に見えたものだが、果たして僕はどうだろう?と自問自答してしまう。なんと、自分が幼いのであろうか、と。

しかし今では、我が物顔でひな壇の最上段に陣取っている自分を鑑みると、良くも悪くも年齢相応なのかな、と感じている。

しょせん、僕は別の誰かではなく、自分自身にしかなれないのだから。

僕はグランシャトーのサウナへ行って、そんなことを感じていた。

もし、あなたが大阪に来ることあったら、是非、京橋はグランシャトーへ足をお運びいただきたい。

グランシャトーへ、いらっしゃい♬








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