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食品に含まれるカフェインの過剰摂取について 概要

食品に含まれるカフェインの過剰摂取について 概要(本文2,552文字)
 
 
消費者庁は、令和6年5月23日に「食品に含まれるカフェインの過剰摂取について」を更新し、カフェインを多く含む清涼飲料水の摂取について注意喚起しています。ここであらためて食品に含まれるカフェインとその摂取についてまとめます。
 
<はじめに>
近年、カフェインを多く含む清涼飲料水(いわゆるエナジードリンク)が販売されています。カフェインは、コーヒー、紅茶、緑茶といった日常的に摂取している飲料程度であれば、過剰摂取につながる可能性は低いものの、海外においてはカフェインを多く含む清涼飲料水を過剰に摂取したことによる死亡事例も報告されていることから、製品に記載されているカフェイン含有量を確認するなどして、多量のカフェインを摂取することは避けましょう。
 
 
<カフェインを多く含む清涼飲料水の過剰摂取に注意しましょう>
1.  カフェインを多く含む清涼飲料水の摂取について、特に注意が必要な方
■子供
■妊婦
■授乳中の方
■その他カフェインに敏感な方
 
2.  カフェインの過剰摂取による影響
■めまい
■心拍数の増加(動悸)
■興奮
■不安
■震え
■不眠症
■下痢
■吐き気等
 
3. カフェインを含む主な食品
■いわゆるエナジードリンク
■コーヒー
■紅茶
■緑茶等
 
<健康被害を予防するために注意すべきこと>
1. カフェインを多く含む清涼飲料水を1日に何本も飲まないようにしましょう
1-1. 飲料に含まれるカフェイン量
■コーヒー、紅茶、緑茶だけでなく、コーラなどの清涼飲料水にもカフェインが含まれています。
■特に、いわゆるエナジードリンクは、缶や瓶1本当たりにすると、コーヒー2~3杯分に相当するカフェインを含むものもありますので、1日に何本も飲まないように注意しましょう。
■業界における自主的なガイドラインに基づき、カフェイン量とともに小児や妊婦等に対して飲用を控える旨の表示が行われています。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/topics/topics_002/assets/topics240522_03.png

1-2. 特に注意が必要な方のカフェイン摂取量
■カフェインは感受性の個人差が大きく、国際的にも現時点で一日摂取許容量(ADI)等の指標値は設定されていません。
■一方、カナダ保健省においては、年代ごとに推奨するカフェインの1日の摂取上限の目安量を設定しており、健康成人で最大400mg/日、妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は300mg/日、10-12歳児で85mg/日、7-9歳児で62.5mg/日、4-6歳児で45mg/日としています。
■この量を超えたとしても、必ずしも健康に悪影響がおよぶものではありませんが、子供、妊婦、授乳中の方、その他カフェインに敏感な方は、摂取を控えましょう。
■妊婦の方におかれては、カフェインの過剰摂取による自然流産や出生児低体重の可能性を示唆する報告もあります。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/topics/topics_002/assets/topics240522_04.png
 
1-2-1. 英国食品基準庁(FSA): Pregnant women advised to limit caffeine consumption
http://webarchive.nationalarchives.gov.uk/20120206100416/http://food.gov.uk/news/newsarchive/2008/nov/caffeinenov08
※筆者による仮訳の要約
「妊婦のカフェイン摂取制限に関する勧告」(2008/11/03)
・英国食品基準庁(FSA)は、新たな研究結果に基づき、妊婦のカフェイン摂取量を200mg/日(コーヒー2杯相当)に制限することを勧告
・FSAが資金提供したリーズ大学とレスター大学によるこの新しい研究結果では、カフェインの摂取制限によって低出生体重、出生後の健康問題、流産のリスクをさらに低減できることが示唆された
・現在200mgを超えて摂取している妊婦は、妊娠中に減らすことを推奨
・FSAは、妊婦がカフェインを完全に断つ必要はなく、注意して摂取量を制限するだけで十分であるとしている
・この勧告は、FSAの毒性委員会の独立した専門家によって検討され承認された
 
1-2-2. 世界保健機関(WHO): Restricting caffeine intake during pregnancy
https://www.who.int/tools/elena/interventions/caffeine-pregnancy
※筆者による仮訳の要約
「妊娠中のカフェイン摂取制限」(2023/08/09)
・カフェインは、お茶、コーヒー、チョコレートなど様々な食品に含まれる刺激物
・妊娠中は、カフェインの代謝が遅くなり、胎児に影響を与える可能性がある
・過剰摂取は、成長遅延、出生体重減少、早産、死産のリスクを高める
・WHOは、毎日のカフェイン摂取量が多い(1日300 mg以上)妊婦は、流産や低体重児出産のリスクを減らすために、妊娠中の毎日のカフェイン摂取量を減らすことを推奨
・個人の体質や代謝によって影響は異なるため、医師に相談しながら摂取量を調整する
・カフェインフリーの飲料や食品の活用も検討する
 
1-2-3. 世界保健機関(WHO): WHO recommendations on antenatal care for a positive pregnancy experience
https://www.who.int/publications/i/item/9789241549912
※筆者による仮訳の要約
「前向きな妊娠体験のための妊産婦ケアに関するWHO勧告」(2016/11/28)
2016年発行のWHOガイドラインは、日常的な出産前ケアに関する世界規模の推奨事項を提供します。人権に基づくアプローチで、死亡・罹患予防だけでなく、妊婦・思春期少女、胎児・新生児の健康と幸福を優先することを目的としています。
・ガイドライン(英文): https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/250796/9789241549912-eng.pdf?sequence=1
・対象読者: 政策立案者、母子保健プログラム関係者、NGO・専門団体、医療専門家、公衆衛生政策立案者
・推奨事項: 栄養、母体・胎児評価、予防措置、生理学的症状への介入、産前ケア利用・質向上介入
 
2. カフェインを多く含む清涼飲料水とお酒(アルコール)を一緒に摂取しないようにしましょう
■カフェインを多く含む清涼飲料水とお酒(アルコール)の同時摂取について、米国疾病予防管理センター(CDC)は、カフェインがアルコールによる機能低下を隠すことにより、アルコールを飲み過ぎてしまい、結果としてアルコールによる健康への悪影響を受けやすくすると指摘しています。
■いわゆるエナジードリンクなどのカフェインを多く含む清涼飲料水とアルコールを一緒に摂取しないように注意しましょう。
 
3. カフェインを含む医薬品を服用する方は、カフェインを多く含む清涼飲料水を同時に摂取しないようにしましょう
■カフェインを含む医薬品の使用において、用法・用量を超えて服用したり、カフェインを多く含む清涼飲料水と併用した場合には、カフェインの過量服用となり、重大な健康被害につながるおそれもあります。
■したがって、カフェインを含む医薬品を服用する方は、カフェインを多く含む清涼飲料水を同時に摂取しないようにしましょう。
 
 
<(参考)関係府省・団体のページ>
食品安全委員会「食品中のカフェイン」(ファクトシート)
https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/caffeine.pdf
厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
農林水産省「カフェインの過剰摂取について」(令和4年9月12日更新)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
全国清涼飲料連合会「カフェインを多く添加した清涼飲料水(いわゆるエナジードリンクを含む)の表示に関するガイドライン」(2017年11月16日制定)
https://www.j-sda.or.jp/manufacturing/caffeine-guidelines.php
 
 
<一次情報>
食品に含まれるカフェインの過剰摂取について(最終更新:令和6年5月23日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/other/contents_002/

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