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選挙が人の差別意識をあぶり出す


#この経験に学べ

「福祉政策?弱者への支援?いらねえよ。死なせとけよ。俺の税金をそんなことに使うなよ。そのへんで空き缶でも拾わせとけばいいんだよ」

 選挙の話をしている時にある人が放った言葉。
 私は自分が障害者なので、この言葉にはかなり傷ついた。
 その人は奥さんも子供もいる普通の健常者。きっと、自分に不幸が起こるとか、いつか事故にあうかもしれないとか、生まれてきた子供が障害をもってるかもしれないとか、そういうことを考えたことがない、幸せな人なんだろう。

 最近、コロナ禍で経済が低迷したこともあって、ホームレス、生活苦の人はかなり多いし、テレビやネットでも貧困がとりあげられたりして、

 私は迂闊にも、
『世の中もそういう人のことを理解して支援するようになったのだな』
 と思っていた。


 しかし、蓋を開けてみたら、
 健常者の意識なんて、そんなもんだった。

 彼らは、福祉の助けがなければ、
 死んでしまう人がいることを、知らない。

 障害のある人や、生まれつき病気を持っている人が、どれだけ生活に苦労しているか、知らない。

 ただ、税金を取られるのが嫌で、
 それをなぜか弱者のせいにする。
 私も『税金の無駄』と言われたことが何度がある。
『おまえなんか生きてても無駄だよ』
 という圧力。
 これが差別でなくて何なのだ。



 選挙の話をすると、だいたい『福祉政策』と言うときに有権者や候補者が見ているのは『お年寄り』『高齢者のための政策』だ。有権者として人数が多いからだろう。
『障害のある方のためにがんばります!』
 と言う人が、たとえ票のための表向きでも、一人でもいてくれれば、障害者(みんな忘れてるけど、有権者である。投票できる人達なのだ。しかもけっこう数が多い)はその人に投票するかもしれない。
 しかし、そんな候補者は見たことがない。
 医療ケアが必要な児童のことは、ある有名議員さんが『自分の子供が医療ケアが必要だから』とかなり苦労してがんばったおかげでやっと実現したもの。
 でも、そういう、本当に人のために何かやってくれる候補者が出ることは、まずない。

 今回の選挙も『誰に入れても同じ』みたいな空気がただよっている。

 健常者はだいたい、差別的だ。
 そして、候補者はみんな健常者である。
『弱者なんて死ねばいい』とうそぶく人達に支持されている人、あるいは、言わないだけで、本人もそう思っているかもしれない人だ。

 自分を差別したりいじめたりする人達に投票しなきゃいけない気持ち、わかるだろうか。

 だから本当は選挙に行きたくない。投票したい人がいないから。
 でも、人として一票をもらっているので、これを使わないと世の中変わらないので、
 明日は選挙に行きます。
 それで、冒頭の差別的な人とは別に、福祉政策をきちんとやってくれそうな人や、弱者を救ってくれそうな人に投票します。


 でも、健常者はなぜそんなにも弱者を嫌うのでしょう?
 自分だって病気や事故で働けなくなったら、あっという間に生活保護やホームレスになる可能性があるのに。
 明日は我が身ですよ?

 きっと、考えたくないんだろうな。
 ネガティブなものを避けたいんだろうな。
 そして、世の中の現状を見てないんだな。
 自分が生きるのに手一杯で、
 他人を思いやる余裕もなくしてるんだな。

 今は、どんなにがんばっても生活費が稼げず、一日一食しか食べられない人や、子ども食堂や炊き出しでなんとか命をつないでる人がかなりの数いる時代です。

 むかしは、
『日本に生まれれば飢えることはない』
 と言われていましたが、
 今は、日本はそんなに豊かではありません。

 なのに、特に会社勤めの人は、
 未だにバブル頃の豊かなイメージで日本を見ているんですね。
 そんな時代、とっくの昔に去ったのに。


 私がこの悪口から学んだのは、やはり健常者に期待してはいけないということ。
 世の中は依然として差別的であること。
 障害者の前でこういう発言を平然とする程度に、無神経な人が世の中にはたくさんいるということです。

 これを読んでいる人がいたら、どうか、障害者や生活苦の人、立場の弱い人の前で、そういうことを言わないようにしてください。
 お願いします。
 本当に辛いです。
 言われてからずっと冒頭の言葉が頭の中でグルグル回って、考え込んでいます。

 こんな怖い人だらけの世の中で、
 私はどうやって生きていこうかと。

 日本人の差別の仕方って、
『存在の無視』なんですよね。
 外国みたいに、暴力や迫害ではなく、
『無視』なんです。
『死なせとけばいいよ』はその究極の形。

 さきほども言ったように、
 障害者も弱者も、選挙権を持っていて、
 数もけっこう多い。
 一票の重みには変わりないのに、
 なぜか軽んじられていて、
 政策に意見が反映されない。


 変だなと思います。
 きっと、もっと声をあげるべきなんでしょう。
 でも、生活するだけでも大変なので、
 難しいのです。


 世の中には、福祉で命を繋いでいる人がいることを、ぜひ知ってください。
 私達の命は、生活は、
『税金の無駄』なんかじゃありません。



 読んでくれてありがとう。




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