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音楽が自分に与えた悪影響について

 音楽そのものを非難したいわけではありません。音楽は好きです。人類には太古の昔から音楽やダンスは必需品であり、それは時に自然に感謝し、神とつながる手段にもなりました。

 しかし、自分の人生を振り返った時、
 悪影響も多かったと感じるのです。

 何度でもいいますが
 音楽そのものには全く悪いところはないです。
 受け取る私の脳の問題だと思います。

 先日コーシローさんの記事で、
『心が折れそうになったときやってはいけないこと』
 に、
『音楽を聴くこと』
 が入っていました。
『音楽に浸るのは自己陶酔で、それは時に人を影の方に押しやる』
 と書いてあったと思います。
 そのとおりだなあと思うような体験を私は実際に何度かしているので、今回はその話をしたいと思います。




 元々聴覚過敏で、人の声やスピーカーの音は苦手です。街中によくあるスクリーンはただの騒音発生装置にしか感じないし(なんであんなもん設置するのか全く理解できない)、イベント会場にも近づけません。好きなアーティストがいても、騒音が駄目だからライブにも行けない悲しさ。

 聴覚過敏。
 発達障害には多いのですが、とにかく物音が気になります。本当は集合住宅には住まないほうがいいらしいのですが(同じ障害で有名な作家の方は、最初から一戸建てを借りたそうですが、誰もがそんなことをできるほど恵まれているわけではないし)、金銭的その他諸々の都合でずっと賃貸暮らし。

 とにかく音が苦手。
 近くの部屋で集まりとかされると地獄。
 騒音トラブルで殺人がよく起きてますが、あの気持ちわかります。


 なのに、音楽が好きでした。

 中学高校はCDの時代だったので、好きなバンドやアーティストの曲をひたすら聴きまくっていました。今思うと、音に過敏なのになぜあれが平気だったのか全く理解できません(歳をとってから大半の音楽がつらくなった)。

 しかも、音でダメージを受ける性質なのに、
 本格的に音楽活動しようとして、
 曲まで作っていた時代もありました。
 今思うと、自分の感覚の限界を超えていた。

 その後かなり重い病気を発症したのですが、
 このときに無理して大きな音を聴きすぎたのも原因ではないかと思っていたりします。


 元々、何事にも影響されやすい性質です。

 漫画に感動すれば漫画家になりたくなり、
 ゲームにハマれば自分で勝手に架空の地図やキャラを作ったり。
 音楽に感動すればアーティストになりたくなり。ケンタッキーのCMを見れば行きたくなる。

 気づきましたか?この集中力と我慢のなさ。
 すぐふらふらと色んなところに行く脈略のなさ。根気のなさ。

 一見いろんなことに挑戦しているように見えますが、実際には、外からの強い刺激にいちいち反応しているだけ。本気では続かない。

 そうなんです。
 刺激に弱いんです。

 だから、しばらくテレビを部屋に置いてなかったし(コロナ禍に気づかなかったのがきっかけで設置しましたが)今も動画は音楽のPV以外見ません。
 音楽なら大丈夫だと思っていました。
 でもそれが一番の間違いだった。


 Katy Perry の、
『Chained To The Rhythm  ft. Skip Marley』
 という名曲があるんですけど、この曲のPVが社会問題を扱っていて評判になったことがあるんですね。ちょうどトランプとかが出てきて「アメリカがおかしくなりはじめた」みたいな雰囲気になっていたのもあるでしょう。
 国際情勢は私にはどうにもできないので置いておくとして、
 私は当時、
 この曲とPVにかなり衝撃を受けました。(今思うと、セカオワの『Habit』に少し似てるかも)。 
 その前後に、
 当時通っていた作業所を辞めました。
 遠すぎて通うのが辛いとかいろいろ理由はあったんですが、その中の一つがやはりこの曲を聞いて、
『世界はこのままでいいのか。
 自分はこのままでいいのか
 いや、いいはずがない!』
 とか、精神不安定になってしまったのも原因の一つだと、今になってわかりました。

 自分の人生を振り返ると、こういうことが実は何度かあったんですね。
 音に敏感とか、頭が妄想しやすい障害ということもあるのだと思いますが、とにかく影響されやすい。
 一度その考えに取り憑かれると、なかなか抜け出すことができない。
 そのときは幻聴の治療で薬の副作用などがあったこともあり、辛さ倍増で我慢できなくなってしまったんだと思います。

 同じようなことは若い頃にもありました。
 発達障害の診断を受ける前のこと。
 仕事もプライベートも何もかもうまくいかないと絶望して支援員に相談しながら泣いてたりした(それで診断を受けることになった)頃。
 ある曲のライブ映像を見ました。

 Celtic womanの『VOICE』です。

 聞いた人、歌詞がわかる人なら知っていると思いますが、この曲はまさに、
『私の新しい人生の始まり』
 みたいな曲なんです。独特の高揚感があります。世界の始まりみたいな。
 私はこの曲をすっかり気に入ってしまい、その挙げ句なんと、

「そうだ!私は音楽をやる運命だったんだ!」

 と思い込みました(なんでやねん)。
 今振り返ると意味がわかりませんが、当時は本当にそう思っちゃったのです。貧乏なくせにボイストレーニングに通い始め、自作の曲を発表会で歌い、下手なギターで弾き語りまでしていました。なんだか書けば書くほど黒歴史すぎて恥ずかしくなってきます。
 当時の痕跡は、『小説家になろう』の『詩集』や、消したいんだけど消せないyoutubeの歌動画などの形で残っています。
 歌を作るのは確かに楽しかった。
 でも、うまく行きませんでした。
 合わない先生(やたらに怒鳴りまくる)とのトラブルでショック状態になり、教室に行くのはやめました。
 音楽活動?はそこで終わりました。

 さっき久しぶりに『Voice』の動画を見直したんですが、当時なぜあんなに熱狂したのか、今となってはよくわかりません。彼女たちの歌う姿がファンタジーのお姫様みたいに美しいので、そこに惹かれたのかもしれませんね。

 なんかの曲に出会って、
 ガーッと盛り上がったり、
 ワーッと思い込みに走ったりして、
 人生がおかしな方向に行く。

 これもアスペルガーだから?
 それともADHD?
 単に私がバカだから?(←可能性高い)

 ほんと、何やってんだろうと自分に呆れます。
 ボイトレに払う金があったら貯金しておけば……としか思えないくらい、今となってはなんの実りもない音楽活動時代でした。
 コミュ障だから友達もできんかったし。
 でも、教室で出会った人はみんないい人ばかり(怒鳴る先生すら、ミュージシャンとしてはかっこいい人でした)だったな。
 みんなが音楽を楽しく続けられますように。

 あ、でも『アンゲルとエレノア』を書くとき、エレノアの音楽について書くのには役に立ったな。もしかしたらあの作品のためだけに音楽やったのかな?私ったら。


 もちろん悪い影響ばかり受けたわけではありません。
 書きかけで長く中断していた、
『ロンハルト物語』
 これの続きを書き始めたとき、テイラー・スウィフトの『Look What You Made Me Do』のPVを繰り返し繰り返し繰り返し見てました。小説の内容とは関係ないのですが、PVの雰囲気と、曲の歌詞やメロディが、私が人生で抱えていた鬱屈みたいなのとマッチし、さらにPVのファンタジー的な要素が小説の世界観に良い影響を与えてくれました。
 この曲、テイラーが古い自分を皮肉っているような要素もあり、けっこう過激です。でもなぜか合ったんだよなあ。魔法とお嬢様が出てくるファンタジーに。

 文章(特に小説)を書くのを助けてくれた曲というのは、他にもあります。
 クラシックが多いかなあ。


 つまり、こういうことです。

『良い曲からいい影響を受けるとは限らない』
『曲の良し悪しではなく、受け止める私側の心や脳や過去、考え方などの問題』
『つまり、超個人的な問題』
 だということ。

『音楽を聴く』って、
 超個人的な体験なんですよね。
 聴いた本人に何が起きるか、
 アーティストにもわからないし、
 本人にすらわからない。




 実は音楽をやめたあと幻聴を発症し、その後何年も、音楽を聴かない期間がありました。
 重い病気を発症してようやく、
「私、本当に音が駄目なんだな」
「影響されやすいんだな」
 とわかってきたからでしょう。
 それと同時に小説も書けなくなり(幻聴で脳の構造が変わったのではと疑うくらい感じ方が変わった)、2015年頃『サキと所長』の話を書き始めるも、薬の副作用が苦しくて中断、未だ未完成のまま。

 しばらく治療をしながら福祉施設(A型作業所)で生活費を得る生活をしていました。その間にもさきほど書いたようなことがあり作業所を変わったりしました。
 その後、5年ほど、
 部屋で音楽を聴かない日々を送りました。
(いや、ラッキリと髭男の曲は聞いていたから、全く聴かなかったわけではないか)。


 でも最近、
 また音楽が聞きたくなって、
 昔の曲とかを聴き返していたら、
 また出ました。

 セカイノオワリ『Habit』が。

 このPVに、私はかなりショックを受けました。いや、PVより歌詞に。

 昔の懐かしい曲を聴いて、
「私の人生こんなんでよかったんだろうか」
 とか、感傷的になってるところに、
「もちろんダメダメに決まってんじゃ〜ん」
 というノリ(私が勝手に感じた)。

 聞いた時しばらくパニックになりましたよ。
「私の人生は全部間違いだった!!」
 みたいな感じに。

 まさに、
『心が折れそうになってるときに音楽を聴いてはいけない』
 ですね。

 もうその日はすっかり、
『もう文章なんか辞める』
 モードになっていました。

 ただし、その次の日には、
 普通にここに記事書いてましたが(笑)。



 改めて思いましたね。
 歳をとっても変わらないんだなあと。
 私、影響されやすいんだなあ、音楽に。

 実は私、20代前半で漫画を読むのをやめたんですよ。
 それもやはり『影響されやすい』から。
 実際にはその後も3年に一冊くらいは読んでたりしましたが、今はもう全く読みたくないです。ネット広告に出てくる漫画が下品すぎて、そのせいで漫画そのものに嫌気がさしたのもあるかも。

 広告が嫌いなのも、自分が影響されやすいのがわかっているからです。
 
 なのに、音楽が自分に与える悪影響を、こんな歳まで自覚できなかったのはなぜか。

『音楽はいいものだ』
『NO MUSIC NO LIFE』

 みたいな言葉を聞きすぎて育ったせいか。 
 自分に才能があると勘違いしていたからか。

 みんなが『いい』と思うものが、
 自分にとってもいいとは限らない。






 長い文章になりましてすいません。

 何がどう自分に影響するかわからない。
 どこで、どんな曲に出会うかわからない。

 だからこそ、
 摂取する音楽には注意したいと思います。
 


注)ちなみに、今はもう落ち着いていろいろ考えられるようになったので、セカオワの『Habit』は普通に好きです。ダウンロードして聴いてます。こういう曲を作れるってほんと凄いと思う。ケイティの曲も単純にすごいと思います。私多分、社会情勢系の歌に弱いんだろうなあ。




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