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北海道への差別と過剰な美化に関する懸念

これ、九州や沖縄の人からも似たような話を聞くんです。
『差別と夢(妄想)がセットで来る問題』

東京の某アナウンサーが、オリンピックのマラソンが札幌で行われることについて、『景色が良くない』など色々と非難し、『地方に対する差別』と言われている件。


私は生粋の道産子です。『道産子』は元々は馬のことなんですが、いつからか『北海道で生まれ育った人』『あとから来て馴染んじゃった人』を意味するようになりました。元々移住者の多い土地だから、あまり住んだ年数は気にしません。ていうか、年数自慢すると嫌われます(笑)

本州(主に関西)に住んでいた頃、

『北海道から来ました』

と言うと、わりと「いいな~」と言われました。派遣のおじさんには「そんなにいい所にいたのに、なんでわざわざこんな所に来たの?」と言われました。

しかし、よくよく話を聞くと何かがおかしい。

『北海道ってシチュー食べるんでしょ?』

「うちではめったに出ない」と言ったら、なぜか嘘つき呼ばわりされました。いや、うちは焼き魚メインの食卓だったし、なんでシチュー食わないかんねんて感じ(笑)

『カニ食べれていいね』

高いから買えません(笑)
お正月にスーパーに並びますが、小さなパックでも3000円はします。ボンビーさんな私には買えません。ここ数年、カニは食べてません。別に困ってないし。

以前某自己啓発の女性作家が、

『北海道におばあちゃんがいたらカニを送ってもらえる』
という妄想を書いていて『アホかいな』と思いました。おばあちゃんはカニ漁師なんでしょうか。確かにカニギフトはありますが、当然ながら値段は高いです。お歳暮で人気があるのはハムじゃないかな。お正月にみんなで食べれるし。

関西のスーパーに行ったら、道産豚肉が入荷していて、
『夢の大地』
という寸劇のような仰々しい横断幕(笑)
馬鹿馬鹿しすぎて笑いが止まりませんでした。

カタストロフィ系の小説で、『本州滅びた、北海道に逃げよう』みたいなのもありましたねぇ。同じ日本だし、本州が崩壊したら北海道の経済だって崩壊すると思うのですが。


夢見すぎですみなさま(笑)

そんな夢見られすぎ北海道ですが、
一方でかなりバカにされてもいます。

だいぶ前ですが、某アイドルグループの東京出身の子が、北海道出身の子を『イモくさい』と呼んで非難されたことがあります。未だにあの子は応援する気になれません。

開拓時代以前から罪人が移住(流された、と言ったほうがいいのか)していた、というイメージもあり、年配の人は未だに『蝦夷』という差別用語を使い、『うさんくさい蝦夷の人間』と呼んでくることがあります。

今回のオリンピック問題もそうですが、東京あたりで都合の悪いことがあるとなぜか地方に飛んできて(原発や基地問題が典型ですが)それには必ず、差別や見下した態度がセットで付属する。
人に迷惑をかけたうえに悪口。
あれ?
これって、学校のいじめに似てますね(笑)


むやみに夢見ちゃう人も、けなす人も、

北海道=異質な土地

という捉え方をしていることに変わりはない。よく女性差別や障害者差別で『賛美と差別は表裏一体』と言いますが、地方にもそれは当てはまるように私は感じています。

都合のいい夢みたいな部分は見るが、
実際にそこに住んでいる人がどんなことを考えたり感じたりしているか、
どんな暮らしをしているかには興味がない。


移住を検討している人は、そこんとこよく考えないと、絶対に失敗します。夢見たいだけなら、ファンタジー小説を趣味で書いたほうがマシです。私のように(笑)

北海道は合理、個人主義の国です。
特に札幌は『他人に干渉するのは良くない』と考える人が多いです。

だいぶ前ですが、『本州には家族会議があり、親戚が集まって子供の進路を決める』という話を聞いて、かなり不気味に思ったことがあります。さすがに21世紀に入ってからはそんなことはしてないと思いたいですが……どうなのかな?

『何で自分の未来を良く知りもしない遠くのおじさんに決められないかんのよ』

家の方針にもよりますが、進路に限らず、札幌では『自分のことは自分で』が当たり前。所得が低いため共働きは20年前から普通。原則、家事は男女二人でやります。片方だけに任せるなんて論外です。(まあ、現実には『夫(妻)が全然家事を手伝ってくれない……』と嘆く人はそこらじゅうにいますが)

昔、北海道出身の講演家が、九州の男性に、
『俺は九州男児だからゴミ出しができないんだよ』
と言われ、
『僕、普通にゴミ出ししてますけど?』
と、ケロッと返した話がありました。感覚としてはそんな感じ。
『考えてないで早く投げてこいや』
です。あ、『投げる』は『捨てる』という意味です。




北海道の生活は都会でもかなり厳しいです。
マイナス気温の世界をナメてはいけません。
気温が下がると気分も下がります。
『冬季うつ病』というのがあります。
雪かきにもかなりの体力が必要で、
屋根から落ちて死ぬ人もいます。
凍った道で転んで骨折したりします。
水道凍ります。
燃料への依存が強く、冬に停電になったら数千人が死ぬという予想があります。


実は道内でも、住んでいる場所によって文化や人の考え方が違い、特に『札幌とその他の町』はよくぶつかり合います。『札幌人は自然の厳しさを知らない』などです。『マニュアル人間』『ライブでも盛り上がらず静か』など色々と言われますが、それが札幌色なのですよ。

悲しいですが、本州の地方差別問題は、それぞれの県の中でさらに細かい地域びいき?みたいな軋轢を生む。
どこに住もうが、その土地のイメージから人は逃れられない。

だからこそ、よその土地を安易に非難したり賛美したりせず、「本当に私はそこを知っているのか、興味があるのか」を考えたほうがいいのです。そして、むやみに田舎や都会のあり方を非難しないほうがいいのです。


そういえばだいぶ昔(平成初期)、8月頃に、

『雪まつりの会場はどこですか』

って尋ねてる人がいてめっちゃ驚いたんですよ……年じゅう雪が降ってる場所だと思っていたのかな。イメージって怖いですね。


この問題は、道産子である限り死ぬまで考えなければいけない事なので、いつかまた何度かしつこく記事にすると思います。







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