ささまる

月2でなんか更新したいです。 卒論研究忙しくていやです。 将来の夢はバオバブか新興宗教…

ささまる

月2でなんか更新したいです。 卒論研究忙しくていやです。 将来の夢はバオバブか新興宗教の教祖です。

マガジン

  • MBTIミステリー

    MBTIというものを知ったので題材にしました。とりあえずみんなには疑いあってもらいます。 ちなみに僕は提唱者でした。

  • シュレディンガーの君

  • 𝙣𝙤 𝙣𝙤𝙫𝙚𝙡

最近の記事

「Queen Anne's prayer」

 「Queen Anne's prayer」とは、富裕層向けの定期契約客船のサービス名である。  契約者は企業が課した一定の規約をクリアした後、企業が所有するヨット、モーターボート、小型客船、大型客船等、様々な種類の船舶から自由に選択し、バカンスに利用することが出来る。金があることさえ証明出来れば驚くほどの自由性を保証されるその便利さが、一部の層に深く刺さった。もちろん企業側が提案している季節折々のツアーに参加しても良い。  だがほとんどのユーザーは、アンプレの自由度に惹

    • MBTI殺人

      MBTIというものを初めて知ったので、面白いと思ったので、題材に短編小説を書こうと思います。 ちなみに僕はinfjでした。話には関係ないです。 「昨今は色々なサブスクリプションがあるよね」  彼女が唐突にそう言った時、彼の意識は色々なことを想起し始めた。聡明な彼女は、言葉に色々な意味を持たせる。サブスクリプションという単語が定期契約サービスであるという以上の意味を、言外で持たされている。そのことを、彼はこれまでの経験で感じ取ったのだ。  大海原の真ん中、中型船舶のデッ

      • 第50話 さよなら以外全て

         私を失くした君が、今も傷ついたままであればいい。私が君を思い出して言葉に込めるように、君も私をなにかに変えていればいい。  私が君を、不本意ながら太陽に例えるように、君も私を、世界のひとつに例えていればいい。それが君にとって身近なものであれば、尚更いい。  私が君を言葉にして、繋ぎ止めたいのか、あるいは消し去りたいのか迷い続けているように、君も私を、どうするべきか懊悩していればいい。答えの出ない問いに身をやつして、心がぐちゃぐちゃに溶けていればいい。  同じ空は見ない

        • 第49話 こんな自分なら要らない

           静かなだけの部屋で、ゆっくり余生を過ごすだけの人生を過ごしたい。贅沢を言うなら隣に君がいれば文句はない。  こう言うと随所から非難を浴びせられそうだが、お金持ちの家に生まれたかった。資産家とまでいかなくてもいいから、一生寝ているだけの生活を送れるくらいの蓄えがあればよかった。もっと贅沢を言うなら、君がたまに訪ねてきてくれればよかった。  バイタリティとかいう概念は生まれる前に母親の腹の中に置いてきてしまったので、私は怠けること、横になっていること、待つことばかり考えている。

        「Queen Anne's prayer」

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        • MBTIミステリー
          2本
        • シュレディンガーの君
          48本
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          2本

        記事

          第48話 寝具はこだわれ

           君に膝枕されたい。枕も敷かない硬いベッドの上、そう思う。  寝具は拘った方がいいらしい。そんな言説を否定する訳でもなく、今日もペラペラな布団の上に横たわる。みんなはふわふわモチモチのマットレスで眠るんだろうか。私は枕すらテキトーなクッションで済ませている。首が痛い。  そういえば、君のベッドは柔らかかっただろうか。君の部屋に泊まった時、君は空気で膨らむタイプの寝具を用意してくれたんだけれど、正直寝心地は最悪だった。朝まで一睡も出来なかった私は、起きた君と入れ替わるようにして

          第48話 寝具はこだわれ

          第47話 嘆きの君

           大切なものを切り捨てることでしか得られないものがある。  それでいて、失ってから大切だったことに気づくなんて嘘なのを、私は知っている。  君を捨てた時のことがいまいち思い出せない。感情の起源は、もちろん持ち合わせている。私の中の仄暗いものが、君を私から遠ざけた。そんな曖昧な記憶の霧が、本当の記憶を覆い隠している。  君を失って、自分自身に何の得もないなんて、私はとっくにわかっていた。そんなのは君と一緒にいる時から、当たり前に自覚していたことだから。  本当に、なんで君を捨て

          第47話 嘆きの君

          第46話 最強ビジネスパートナー

           君が居なくなったところで、私の人生には実利的な負の影響がない。君が居なくなったところで、私は全然困らない。  だからダメだったんだな、と今になって気づく。  もしこれが、一蓮托生連帯責任みたいな関係だったら、磁石のS極とN極みたいにひかれあってくれただろうに。  私たちの繋がりは、心とかいう不定形で目に見えないものでしかなかった。私は君が大好きで、君も多分私のことが好きだった。けれど……結局、そうでしかなかったわけだ。  私のこの感情も、君のそれも、大した価値が無いというの

          第46話 最強ビジネスパートナー

          第45話 人生は選択の連続

           私は何より自分の心に忠実なんだけれど、それでいて感情というものを信頼してはいない。  私には生まれつきの病気があって、けれどそれが発覚したのは大人になってからだった。私は自分が病に侵されていることを知らず、また周囲にも気づかれずに大人になってしまったのだ。  私の病というのが簡単に述べると、代謝ホルモンが自分では出せないというものだ。私はお世辞にも活発な人間ではなく、むしろベッドに横になっていることが多かった人生なんだけれど、それも病気のせいだったらしい。  だから感情の機

          第45話 人生は選択の連続

          第43話 世界の片隅で細々と愛を嘆く

           世界の片隅で愛を叫ぶ、なんて言葉がある。私の場合は「世界の片隅で細々と愛を嘆く」だ。更に言うなら「世界の片隅というかTwitterなのかXなのか訳分からん沈み掛けのSNSでフォロワーも特にいないのに延々と君について愛を嘆く」だ。  たった一人について、それももうとっくに過去になった人物について、ずっと嘆き続けているのは人としてどうかと思う。しかもそれを勝手に小説にするのもどうなんだろう?  普通に気持ち悪い所業であるのは間違いない。執着がエグい。  それにしても、私をチラリ

          第43話 世界の片隅で細々と愛を嘆く

          第42話 こちら天文台。曇り

           ただ一つのものをよすがにしてしまった人生は最悪だ。そして、そのよすがを失くしてしまった人生は、救いようがない。  北極星は変遷する。今はポラリスという星なのだが、地球の歳差運動だかなんだかという物理法則のために、ポラリスから違う星へと、北極星を担うものが変わるのだ。過去には夏の大三角たちが北極星だったこともあったらしい。また、これから数千年、数万年で、何度も彼らは巡る。  長い長い時を経て、あのポラリスさえも北極星ではなくなるなら。  いつか君も、私の大切ではなくなるんだろ

          第42話 こちら天文台。曇り

          第41話 おもちゃ付き菓子の菓子の方

           君の恋人は猫を飼っていた。君はその猫をたいそう可愛がっていた。まあ猫を嫌いな人って、実際そう居ないから。  君が落ち込んでいた時、私は猫を撫でればいいと言った。アニマルセラピーだ。  そしたら君は「別れたんだよ」と少しぶっきらぼうに答えた。いつの間に。知らなかった。  私は「元から猫のオマケじゃん」なんて言って、君は「確かに」なんて笑った。  笑い事じゃない。だって私は本気だった。冗談じゃないことに気付かない君は、私を理解していないのかもしれない。  酷い人間の自覚はある。

          第41話 おもちゃ付き菓子の菓子の方

          第40話 パンダとかいうクソ雑魚生物

           動物園の動物になりたい。見世物になりたい。みんなの輪の中心に立って笑われたい。なんだあいつって馬鹿にされたい。  パンダは動物園の人気者だが、私はあんまり好きじゃない。だっていざ見てみると、あいつらは結構黄ばんでいる。可愛いというよりは汚いなという印象を持つ。外飼いの動物に清潔感なんて求めるべきじゃないのはわかっているけれど。  それにパンダはクマ科で、本来肉食動物のくせに笹を食べていると聞いた。肉食動物の胃腸で植物を消化できるはずも無く、更に言うなら笹という植物には元から

          第40話 パンダとかいうクソ雑魚生物

          第39話 愛の不完全証明

           君の代わりが欲しい。誰でもいいから、良くないけど、君をかき消すくらいの誰かが欲しい。  君が私の心から消えてくれるなら、誰かじゃなくて何かでも構わない。ものすごく面白いゲームとか、面白い小説とか。とにかく心の底から夢中になって、一秒でも君を追い出せるように。  私はせっせと君を文字にする。文字にした君が、私の心から排出されることを願って。  こんな言葉がある。  誰もが自作は完全に自分と同質なので、一番のお気に入りは自作である、と。要するに、自分の文章が結局一番しっくり来る

          第39話 愛の不完全証明

          第38話 凡人ですけどね

           君と出会わない方が、私の人生は上手くいっていた。君を責めたいわけじゃない。こんなのはただの事実だ。  君を太陽に例えるのは陳腐だと以前言ったんだけれど、それからほどなくして私は、とある英雄の話を思い出した。イカロスとか言っただろうか。海外の神話か何かだったと思うんだけれど、太陽に近づきすぎて羽が融け、海に墜落して死んでしまった英雄の話。  恐らくは悲しい話、身の程を知らない人間への教訓として成立している訓話なのだと思うのだけれど……私は、少し思うところがある。君のせいで人生

          第38話 凡人ですけどね

          第37話 消せない願いを迷妄と呼ぶ

           語り得ないものには沈黙する他ない。いや、沈黙するべきだ。  そんな言葉がある。  だから私は、君を書くべきじゃない。  例えば美味しいものを食べた時、美味しいという言葉が美味しいという感覚を起こすことは無い。どれだけ上手な食レポも、美味しそうと思わせるだけで美味しいとは思わせられない。  痛いという言葉が、同等の痛みを引き起こしてくれることも無い。  君が、私の知っている君が、どれだけ尊い存在か。私がどれだけ君を強く痛いほど想っているのか。  私の言葉は、君という存在も、私

          第37話 消せない願いを迷妄と呼ぶ

          第36話 夢くらいは

           君にもう一度会えた時のことを、毎日考えている。これから来るかもしれない、ずっと来ないかもしれない未来を、夢想している。  この一年で、私は随分変わったと思う。持病がいくらか改善したのだ。君が知っている私は、病気によって根暗だったに違いないけれど……それは今もか。  しかしまあ、私は変わったのだ。色々あって体重が激減した。見た目に気を遣えるようになったので、きちんと化粧をするし、もう君にファッションを笑われることは無い。  だから君に会ったら、「綺麗になった」とか「可愛くなっ

          第36話 夢くらいは