第49話 こんな自分なら要らない
静かなだけの部屋で、ゆっくり余生を過ごすだけの人生を過ごしたい。贅沢を言うなら隣に君がいれば文句はない。
こう言うと随所から非難を浴びせられそうだが、お金持ちの家に生まれたかった。資産家とまでいかなくてもいいから、一生寝ているだけの生活を送れるくらいの蓄えがあればよかった。もっと贅沢を言うなら、君がたまに訪ねてきてくれればよかった。
バイタリティとかいう概念は生まれる前に母親の腹の中に置いてきてしまったので、私は怠けること、横になっていること、待つことばかり考えている。