第41話 おもちゃ付き菓子の菓子の方

 君の恋人は猫を飼っていた。君はその猫をたいそう可愛がっていた。まあ猫を嫌いな人って、実際そう居ないから。
 君が落ち込んでいた時、私は猫を撫でればいいと言った。アニマルセラピーだ。
 そしたら君は「別れたんだよ」と少しぶっきらぼうに答えた。いつの間に。知らなかった。
 私は「元から猫のオマケじゃん」なんて言って、君は「確かに」なんて笑った。
 笑い事じゃない。だって私は本気だった。冗談じゃないことに気付かない君は、私を理解していないのかもしれない。
 酷い人間の自覚はある。私は君の恋人が、猫の付属物であることを疑わない。
 もう元恋人、か。私は君の元恋人が、猫の付属物であることを疑わなかった。
 なんだかんだ友人としての付き合いは続いているようで、君はそれからも元恋人との交流を続けていた。猫は相変わらず可愛いし、通話中に付属物さんの声が聞こえることもあった。
 今となっては付属物さんが羨ましい。
 私も、そうなりたかった。

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