第39話 愛の不完全証明
君の代わりが欲しい。誰でもいいから、良くないけど、君をかき消すくらいの誰かが欲しい。
君が私の心から消えてくれるなら、誰かじゃなくて何かでも構わない。ものすごく面白いゲームとか、面白い小説とか。とにかく心の底から夢中になって、一秒でも君を追い出せるように。
私はせっせと君を文字にする。文字にした君が、私の心から排出されることを願って。
こんな言葉がある。
誰もが自作は完全に自分と同質なので、一番のお気に入りは自作である、と。要するに、自分の文章が結局一番しっくり来るし面白いよね、だって自分で書いたんだもん、という意味だ。
全くもってその通りだと思う。何だかんだ捨てられない気持ち悪い自己愛を、私は自分の文章に込めてしまっている。それは、正直、あまり良いことじゃない気がしている。尤も、好きになってもらうのは結構だ。だって、それって客観的に認められたと言うことでしょう?
それはそれとして、私の文章は君を書いている。それって、私が自作を愛するならば、イコール君を愛していることにはなりませんかね?
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