20代中盤、結婚にザワつく

今から一年前、新卒での就職から程なくして、
人生に急展開が起きました。
今の恋人ができたことです。
相手から告白されて、付き合い始めました。

当時の自分としては、4月に出会ったばかりの相手に対し、
好感や人としての興味は抱いており、
「今後もっと仲良くなりたい」ぐらいには思っていたものの、
まだ恋愛感情には遠い認識でした。
告白された際も、意外ではありつつも、
「試しに付き合うのもいいな」と思ったので承諾しました。

そして、社会人2年目に入った今、
一年後に結婚する前提で準備を進めています。

これは自分の、約四半世紀の人生においては結構な事件です。
そもそも自分は、恋愛経験がかなり少ない。
ほとんどないと言っても過言ではありません。
まず興味がなかったし、やってみても面倒臭いことの方が圧倒的に多かった。
勉強や趣味の方がずっと楽しいし、人付き合いは友達だけで十分でした。

でも結婚は、願わくばいつかしてみたい。
家庭を新しく築いたり、子供を持ったりするのは、
得難い経験だろうと思ったからです。
そこに、どんなつまづきや、もしかしたら絶望が待っていようとも。

でも当面は興味がないので、
30歳ぐらいになったら婚活して相手を見つける想定でした。
それまでは脇目も振らず、しっかり働いて、同時に勉強や趣味も続ける腹づもりで。
40・50代まで独身、あるいは一生独身の未来も、思い描いていました。

でも20代中盤で、普通に結婚しそうな流れになっているのは、全くの想定外です。
今後、余程のことがなければ、このまま1年後には結婚することになるでしょう。

むしろ「想定外のことなのに、そんなにすんなり結婚に踏み切って大丈夫か」と脳内で声をかけてくる心配性の自分も、いるにはいます。
でも同時に、それよりも多数の自分が、「結婚でOK」と言っているのも聞こえます。

結婚をしない主義の友達に、なぜ結婚したいのかを聞かれたことがあります。
これについては論理的に説明することができません。強いて言えば、今の相手と「パートナーでいたい」と思ったからです。
何をするにも、しないにも、共にいられるパートナー。
互いに醜悪な態度を晒してしまっても修復可能な、信頼の上に成り立つ関係。
それを共に一生ものとする相手としては、今の恋人意外にいないと思ったからです。

実際、今までまともに人と付き合ったことがないのですが、
この一年で、良好な交際関係というのは、こんなにも良いものかと思わされました。
人の気持ちを考えるきっかけを沢山もらいましたし、
自分の気持ちも、より上手に伝えられるようになったと思います。
助け合うことや、隣にいるだけで穏やかな気持ちになれる存在の貴重さも、身に沁みました。

それに、誰よりも大切な相手が、必ず自分と結婚したい、1年後にしようと約束してくれたのだから、それを叶えたい気持ちもあります。

ただこれにより、私に対する周りの視線が、ちょっと変わってきたと感じることもあります。

学生時代から、しょっちゅう連んでいた十人ほどの男女の仲間内で、
現状では自分が3番目に結婚しそうになっています。
友人達からしたら、大変意外なことです。
そもそもみんな、私が恋愛しているのを想像することすらできません。
恋愛がらみの話をふれば、「やる気がない」とばかり言って何も話題提供してこなかった自分が、早くも「ゴールイン」しようとしている。

明に暗に結婚を意識している人たちは、その話になると、
全く気にしていないフリをしていても、微細なピリピリを発します。
必ずしも言語化されないそのピリピリが、自分には見えます。
「〇〇(私)はいつ結婚?」といったように話をふられると、
複数のピリピリが自分の方に向きます。

20代中盤という年齢。
SNSには急に婚活とか式場の広告が増えましたし、
実際に周りがどんどん結婚しだします。
昨日まで、そんなこと気にせずフラットな関係でいた気がする人との間にも、
自分には何か、今までになかったものが見えてきてしまう。
それは「苦しい」とか「つらい」まで行かないまでも、
ちょっと「ウッ」と胸が詰まる感触をもたらすものです。

そんな、20代後半に入り出した自分の日常です。
今後、彼ら彼女らとの間でも、
「子供の話を出すか出さないか」みたいなことを気にする時代が来るのでしょうか。

しかし、仮にどんなに気を遣うことがあっても、
学生時代から長年つるめる相手というのは、そう何十人もいるものではありません。
だから、そんな貴重な関係を続けていきたいものです。

それにしても、人生わからないもんだ。
ついこの間、その仲間内で一人の男がプロポーズをしました。
彼は学生時代、私もよく知るAちゃんのことが大好きで、
何年も思いを引きずった後、呆気なくフラれ、彼女いない歴を更新していました。
その彼も、就職後にアプリで出会った年上の女性と交際し、
先日めでたくプロポーズに成功したそうですから。

これもまぁ、仲間内では当初想定していなかったことです。
結婚を意識している人々の間では、またピリピリ度が増しました。

でもこの場合、自分はなぜか「ウッ」とならず、笑って静観することができます。
人の結婚話で盛り上がれるのって、単純に楽しいことです。
みんなの成長とか、人生のステップを遠くから見つつ、一緒に年を取れるのは嬉しいことです。

20代後半、これからもきっとピリピリに「ウッ」となることがあるけれど、
それ以上に楽しいことを一緒に共有していける仲であれば良いと思います。

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