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庭しごとのキロク2023

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遠距離庭しごとのキロク。アパートからやってきて、黙々と、誰もいなくなった荒れ果てた庭から、花園を夢見て、貧しいながら、も。
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記事一覧

貧しい者たちの庭、の日。

貧しい者たちの庭、の日。

『球根っていうもんは、
自然にふえていくんよ。

だから、
貧しい人たちの庭にも
花を咲かせることが
できるんよ』

バーネットの
秘密の花園のなかの

マーサのこの言葉に
励まされる立冬の朝。

あたらしい苗を
あたらしい季節ごとに
どっさり、と、

肥料や土に良いものを
どっさりと

消毒や殺菌のオクスリも
いろいろ揃えて

鉢なども、アンティークで
おしゃれなものを
いくつも、

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庭のハロウィン、の日。

庭のハロウィン、の日。

魔女庭にしてね、と
娘は言い、

わたしは、
そうなるように、と願った。

あれは、
父が倒れた10月が
悲しく過ぎて、

気がつけば
Novemberがやってきた、

そんな頃だった。


あの秋の終わりから、
丸二年が経った。

わたしは、
魔女庭になるように、と
独り、庭へ通い、

植物の種を巻き
苗を植えたが、

荒れ果てていた庭は
思いのほか、広く

重たいブロックが
至る所に敷き詰め

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ふたたび、花びら染めの日。

ふたたび、花びら染めの日。

古い白いシャツを
花びら染めしてみよう、と

種蒔きから育てた
マリーゴールドの花を
切り戻したので、
やってみることにした。

こんな風に、染まった!



着てみた。

2023年のマリーゴールドさんの
元気ないろの、シャツ。

庭の村で、着よう。

ある日は、空想のものを
染めてみることに、した。

Plan

《薬花の店》で
使われていると思われる、
包帯をつくる。

わたしのもうひと

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花びら染め、の日。

花びら染め、の日。

とにかく、わたしは
切り戻し、が、苦手だ。

わしゃわしゃ、と茎が伸びて
それが、混んできて、

蕾も、花も、花が終わった萼も、
一緒になった、夏の花たちを前に

どこまで剪って良いか、と
思案して、

でも、このままでは

蒸れてしまうし、
まだ、種もつけてほしくないし、

と、思い切って、鋏を入れるのだ。

切り戻した花たちは、
花瓶に活けたり、

庭に活けたり

ドライフラワーにしてみたり、

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芙蓉シュークリーム店の日。

芙蓉シュークリーム店の日。

酔芙蓉のちいさな苗を
父が庭に植えてくれたのは、

もしかしたら、もう
10年くらい前、かもしれない。

わたしが、

『酔芙蓉の花って不思議なの。

朝は真っ白で、午後を過ぎると
薄いピンクになって、日暮には
赤くなるのよ。

その様子が、お酒を飲んで
だんだん顔が赤くなる人みたいだって
名前に、酔う、って文字が冠されたの』

と、道で見かけた、
酔芙蓉の花を指差して言うと

父は、ろくに
返事

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小径づくり、半分、の日。

小径づくり、半分、の日。

小径をつくりたい、と

ふと、立ち寄った
エクステリアのお店で
フランス産の煉瓦を

20ほど買ったのは、
もう半年も前だ。

その日、には、まだ、

庭のどこに小径をつくるのか?

も、わかっていなかった。

ただ、煉瓦のいろを
気に入って、とりあえず

庭へ、つれてきた。

それから、数ヶ月、
庭を耕したり、

植物さんの苗を植えているうちに

ある日、ふと

ここに、まず、
ひとつめの小径を

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風は秋いろ、の日。

風は秋いろ、の日。

酷暑の2023summerも
そろそろ、去っていく。

酔芙蓉の花が、咲き始めて、
薔薇が蕾をふくらませて、
箒草はうっすら茎を赤くして

暑さに疲れたわたしを、

もうすぐですよ、
いまに、秋が
空色の睫毛を
風に揺らしながら
金木犀の匂いと共に
やってきますよ

と、励ましてくれる。

買っておいた秋の苗たち。

夫に車を出してもらって
アパートから、庭へ運んだ。

それぞれ、植えて、秋を待つ

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ようこそ、Septemberの日。

ようこそ、Septemberの日。

八月のさいごの夜は
満月、だった。

庭に、夜、到着。

雲が晴れたので、
ゆっくりと、眺めた。


満月さんと雲と夜。

月を眺めながら、
このまま、庭で睡る、ことが
できたら、幸せだろうなあ

と、思いつつ、部屋に戻り、
深く眠った。

いちにち働いて
パート先から、電車を乗り継いで
バスに揺られ、来たので

やっぱり、疲れていた。

翌朝、9月が来ていた。

風は秋色、だ。

切り戻しや草

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秋がくるよ、忙しくなるよ、の日。

秋がくるよ、忙しくなるよ、の日。

🕯️種蒔きメモ

ギリア  9月中旬〜10月上旬
ブルーレースフラワー 9月下旬から10月中旬
ジギタリス  9月から12月の間
セリンセマヨール 10月の間
カンパニュラ  8月下旬から9月
ホリホック 9月から10月上旬
ルピナス 9月から10月
ニゲラ  9月下旬〜10月ごろ

⬆️今年、庭で採取した種たち。

これらの種は、

①庭に直播きする
②アパートでポット苗にする

ことにする。

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秋への小径、の日。

秋への小径、の日。

2023.8.19.20

まだまだ、残暑の日々。

それでも、朝夕は秋。

雲のかたちも、気づけば
秋を、現す日があり、

空に、すいすいと蜻蛉が飛び、

秋の蝉よりも、虫の声が
夜には、響く。

昨夜の三日月は、
秋の、濃い金いろだった。

わたしたち、ヒトが

暑さがおさまった、
秋が来た

と、深々と呼吸をするころ、

秋はもう、真ん中を過ぎ、

その、爽やかな薄荷の香りが
混じっているよ

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ムーンライト、の日。

ムーンライト、の日。

2023.8.12.13

八月の庭は、花が少ない。

加えて、雨の少ない《酷暑》により

秋まで咲き続ける筈が
体力がなくなり、
枯れてしまったり、

とりあえず、葉を落として、
命をつないで、秋を待つ

と、決めた植物さんもいて、

その潔さに、息を呑む。

しかし、暑さのなか、
花をひらく、方々もいる。

励まされる。

真夜中に、ふと、
貧しい寝床で、

ちいさな窓べへと差した、
ひとすじ

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ふたたび、水やりの日。

ふたたび、水やりの日。

2023.7.29.30

今年の7月は、雨が降らない。

暑いあついアツイ日が、

なんにちもなんにちも
なんにちも、続く。

わたしは、庭の村の天気を
iPhoneで、検索しては

嗚呼、と、嘆く。

38度、37度、
本日も明日も雨の気配、無し。

もはや、庭は、からから、に
乾ききっているだろう、と予想し、

みなさま、どうか無事で、と
願うばかり。

心配なココロで、
ウィークディを過ご

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水やり、の日。

水やり、の日。

2023 7.21.22

暑いあつい日が続いている。

この二週間、庭へ来られず、

『にわか雨さえ、
降っていないようだ』

と、庭がある村の天気予報を

アパートで、
気を揉みながら、
まいにち、見ていた。

『離れている、と
肝心なときに
お世話できないなあ』

と、嘆きつつ、

来てみたら、

植物さんたちは、
それでも、

世話する人がいない庭で、
なんとか、暮らしていてくれた。

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紫陽花ルームライトの日。

紫陽花ルームライトの日。

2023.7.9

紫陽花を、半分、
剪定することにした。

鮮やかなBlueの紫陽花。

花びらの端から、
茶色く、焼けたように
枯れてきたものを、

もう来年の花芽が出ている
三節目から、ぱちんぱちんと剪った。

剪定したり、
切り戻ししたり、

夏の庭しごとは、

たくさんの、いわゆる
《ごみ》が、出る。

それらを、ごみ、にしたくない、と
都度、思うが、

なかなか、そうもいかない。

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