見出し画像

タイムトラベル

子供の頃、バック・トゥ・ザ・フューチャーという映画が好きだった。

その名の通り、トラブルでタイムスリップしてしまった過去から、未来へ戻るために悪戦苦闘する話だ。

バウレスに滞在するようになってから早三ヶ月。日常生活のあらゆる場面で、その映画のことを思い出す。
そう、本当にタイムスリップしたかのような錯覚を起こすくらいに、日本での日常生活とのギャップを感じるからだ。


今回は、そのギャップを少しご紹介しよう。

日本にあってこの町に無い〝もの”は上げたらキリがない。
しかし最近では町に無いものは、「足りない」のではなく「必要ない」のだと思うようになった。


例えば信号機はないが、それはこの小さな町では必要ないだろう。

だいたい車がほとんど通らないし(富裕層しか持っていない)、みんなバイクで二人乗り、、いや家族で四人乗りだったりするが、それでも〝混む”ことは絶対にない。
そして道が良くないので、最大でも20キロほどしかスピードを出さない。


携帯電話を持っている人はいる。
子供や若者がオンラインゲームやTikTokをしているのを見かけるし、富裕層の人たちは先進国同様にビジネスツールとして使っている。
だが、もちろんバウレスに住むほとんどの人は持っていない。
そのため町の中心部で、フリーWi-Fiが飛んでいるのにはかなり驚いた。


それもあってなのか分からないが、昼過ぎや夜になると、人々は家の外に椅子を置いたり、または公園に集まったりして、ひたすらおしゃべりをしている。
世間話だったり仕事の話だったりと、リアルな情報交換の場だ。

懐かしく思える光景。
日本だとどうだろう、地方は車社会だし、、東京の下町や京都ならたまに見るかな。


もちろんコンビニはないが、なにかと店はある。
しかし看板がない。これはかなり面白かった。
コマーシャルメッセージが一切ないのだ。

例えば、誰かの家の外に服や靴がたくさんあったら、そこはアパレル店だ。笑
パン屋も普通の家の入り口に、パンの入ったショーケースがひとつ置いてあるだけ。
御飯時に表でロースト臭を漂わせていたら、そこはレストランだ。

つまり店と言っても、それぞれみんな自宅なのだ。
専門職というのがなく、みな農業や土木、家事に修理など様々な仕事しているためだ。
そもそも仕事の概念が、先進国とは違うのだろう。

だから誰も居ないことも日常茶飯事。
ほとんどの場合、玄関先で「セニョーラ!セニョーラ!」と大声で叫ぶ。
いれば出てくるし、誰もいなければただ沈黙が流れる。
また出直すか、他の店を探すかどちらかだ。

しかしシンプルで分かりやすくて、とても良いと思った。
ネオンサインだらけの東京でやったら、逆に新鮮で面白いかも知れない。笑


そして町を散歩すれば、放し飼いの家畜たちとたくさん出会う。
馬とすれ違ったり、豚や鶏のファミリーが道を横切ったり、牛が目の前を歩いていたりする。
犬はたくさんいて、ペットなのか野良なのかよく分からないが、よく道端で寝ている。

なにより皆きちんと家に帰るから関心する。
まっすぐ帰れないのは人間だけか。

それはさておき、こういった光景は日本の田舎でも、なかなか見ないだろう。
ひよこ達の横断が優先で、バイクが止まるのだから。


近くにネグロ川(黒い川)という川があるが、そこでは洗濯をしている光景をよく見る。
そして近くでは馬が水浴びをしていたりする。
川で洗濯なんて、まるで日本昔ばなしじゃないか。

川の水が黒く見えるからネグロ川なのだが、これは樹液が溶け出しているようで、近くへ行くと水自体は透き通っていて、とても綺麗なことが分かる。
ある人は「この水飲めるよ」と言っていた。

そう、この村にあって日本に無い〝もの”も実は上げたらキリがないのだ。

ここバウレスは、ボリビアアマゾンの中でも、広大なサバンナからパンパ島、湿地帯、森林まで多種多様な生態系に囲まれている。

ここでホームレスになっても、命を落とすことは無いだろう。トゥクナレを釣ったり、プラタノを取って食べればいい。笑
それくらいに自然環境が豊かだ。

そしてこの自然環境は、この町やボリビアだけでなく、地球にとっても重要だ。
日本から見れば、文字通りエネルギー消費国の裏側というわけだ。


しかし僕は日本人なので、ファミリーマートが懐かしい。

#やってみた

この記事が参加している募集

やってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?